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【所得税】住宅ローン控除の論点を税理士が解説!〜⑥転勤をした場合〜

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【所得税】住宅ローン控除の論点を税理士が解説!〜⑥転勤をした場合〜

【所得税】住宅ローン控除の論点を税理士が解説!〜⑥転勤をした場合〜

2024/05/10

はじめに

 皆様は住宅ローン控除を利用したことがありますでしょうか。

 マイホームの購入等に当たっては、通常金融機関から借入を行うこととなりますが、住宅ローンは人生においてとても大きな決断であり、相当なプレッシャーがかかるものかと思います。さらに住宅ローンは通常長期間にわたって金利負担が大きくのしかかり、経済的にも圧迫を受けることとなります。こうした負担を軽減するために制定されたのが住宅ローン控除(正式名称は「住宅借入金等特別控除」と言います。)です。

 今回はこの住宅ローン控除について、細かい論点を含め解説いたします。なお、今回は令和5年度の所得税の申告時点に基づく法令にて解説を行いますので、令和6年度の確定申告にあたって改正されたものが公表された場合には、順次解説いたします。

 なお、住宅ローン控除の基礎的な情報をまとめたものや、年末調整時に記入する「住宅借入金等特別控除申告書」の書き方などを、別途当ブログにて解説していますので、ぜひそちらも併せてご覧ください。

 

【基礎論点】所得税の仕組みを税理士が解説!⑮税額計算及び税額控除(住宅借入金等特別控除)

【2023年】年末調整の全てを徹底解説!⑤〜住宅借入金等特別控除申告書の書き方〜

 

住宅ローン控除の概要

 住宅ローン控除とは、個人が住宅ローン等を利用してマイホームの新築、取得または増改築等(以下「取得等」といいます。)をした場合で、一定の要件を満たすときに、その取得等に係る住宅ローン等の年末残高の合計額等を基として計算した金額を、居住の用に供した年分以後の各年分の所得税額から控除する制度のことをいい、細かく「住宅借入金等特別控除」と「特定増改築等住宅借入金等特別控除」に分かれます※ 

 第6回は転勤をした場合、それまでの住宅ローン控除がどうなるのかを解説いたします。

※ 令和4年以後に住宅ローン等を利用し、特定の増改築等を行い居住の用に供した場合には、特定増改築等住宅借入金等特別控除を受けることができません。

 

転勤をした場合の住宅ローン控除

 

転勤後も引き続き住宅ローン控除が適用できる条件

 長年の思いでマイホームを購入したものの、様々な事情で引っ越しをするケースもあるかもしれません。一方、住宅ローン控除の適用を受けるための要件には、『住宅の新築等の日から6か月以内に居住の用に供していること。』というものと、『その年の年分の12月31日まで引き続き居住の用に供していること。』というものがあるため、住宅の所有者が、理由なく引っ越しをすると、上記の居住の用に供しているという要件が満たせなくなってしまい、住宅ローン控除を受けられなくなってしまいます。

 しかし中には、仕事の都合で転勤等により、単身赴任や引っ越しを余儀なくされるケースもあります。

 そこで、下記の一定の要件を満たす場合に限り、住宅ローン控除の適用を引き続き受けることができる規定が設けられています。

 

 ① 単身赴任等の場合

 住宅の所有者が、転勤や、転地して療養することなど、やむを得ない事情により、生計を一にする親族と別居する場合、下記のすべての要件を満たす場合は、住宅の所有者が引き続き居住しているものとしてみなされ、この住宅ローン控除の適用を受けることができます。

 

・親族が住宅の取得等の日から6か月以内に居住の用に供していること。

・親族がその年の年分の12月31日まで引き続き居住の用に供していること。

・住宅の所有者がやむを得ない事情が解消した後は、その住宅に居住すること。

 

 なお、転勤等の先が国外である場合は、上記に加えて、国内において総合課税の対象となる所得が発生している場合に限り、適用を受けることができます。

 

 ② 家族と共に転勤先へ引っ越す場合(住宅ローン控除を過年度から適用している場合)

 この場合は、居住の用に供しなくなった日の属する年以降、住宅ローン控除の適用は受けられませんが、次のすべての要件を満たす場合は、再びその住宅に戻った日の属する年※1 以後、残りの期間があれば、住宅ローン控除の再適用を受けることができます。

 

・勤務先からの転任の命令その他これに準ずるやむを得ない事由があること。

・家屋を居住の用に供しなくなる日までに、所管の税務署長に「転任の命令等により居住しないこととなる旨の届出書」及び、未使用分の「年末調整のための(特定増改築等)住宅借入金等特別控除証明書兼給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書」を提出すること。

 

  家族と共に転勤先へ引っ越す場合(住宅ローン控除を今年度から適用する予定だった場合)

 この場合も、居住の用に供しなくなった日の属する年以降、住宅ローン控除の適用は受けられませんが、次のすべての要件を満たす場合は、再びその住宅に戻った日の属する年※1 以後、残りの期間があれば、住宅ローン控除の再適用を受けることができます。

 

・勤務先からの転任の命令その他これに準ずるやむを得ない事由があること。

・当初、住宅の取得の日から6か月以内に居住の用に供していること。

・再び居住の用に供した日の属する年に、通常の必要書類を添付した確定申告書とともに、所管の税務署長に「転任の命令等により居住しないこととなる旨の届出書」を提出すること。

※1 再びその住宅に戻る際に、それまで住宅を他の人に賃貸していた場合には、その年は住宅ローン控除の対象外となり、翌年から再適用ができます。

 

まとめ

 いかがだったでしょうか。

 ここまで解説してきたように、やむを得ない転勤等をした場合、住宅ローン控除の適用が受けられなくなる可能性もありますが、一定の要件のもと適用を受け続けたり、再適用を受けることができるため、転勤等が決まってしまった場合も、諦めずにお近くの専門家に相談することをおすすめします。

 次回は住宅ローンの借入方法について解説します。

 磯会計センターでは、茨城でお困りの中小事業主様や個人事業主様に、会計・税務から補助金・融資など幅広くサポートをしておりますので、お悩み事がございましたらぜひお気軽にご相談ください。

 

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