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【事業】小規模企業共済のメリット・デメリットを税理士が解説!

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【事業】小規模企業共済のメリット・デメリットを税理士が解説!

【事業】小規模企業共済のメリット・デメリットを税理士が解説!

2023/09/01

はじめに

 皆さんは、『小規模企業共済』をご存知でしょうか。

 『小規模企業共済』とは、国の機関である独立行政法人中小企業基盤整備機構が運営する、小規模企業の経営者や個人事業主などが将来退職金を受けとるために積み立てを行う退職金制度です。税理士が節税対策としておすすめする1番の王道の制度ですが、今回はこの小規模企業共済制度の加入資格者からメリット・デメリットまで、詳しく解説します。

 

加入資格者・掛金

 加入資格は、業種により下記の通り異なります。

業種 従業員数等

建設業、製造業、運輸業、サービス業(宿泊業・娯楽業に限る)、不動産業、農業   

常時使用する従業員の数が20人以下の個人事業主または会社等の役員
商業(卸売業・小売業)、サービス業(宿泊業・娯楽業を除く) 常時使用する従業員の数が5人以下の個人事業主または会社等の役員
企業組合・協業組合 事業に従事する組合員の数が20人以下の役員
農事組合法人

常時使用する従業員の数が20人以下の役員

士業法人

常時使用する従業員の数が5人以下の社員

その他

上記「1」と「2」に該当する個人事業主が営む事業の経営に携わる共同経営者(個人事業主1人につき2人まで)   

 

 また、掛金は、1,000円から70,000円までの範囲内(500円単位)で自由に選択でき、途中で増減もできます。ただし、後ほど解説しますが、減額時には一定のデメリットがあります。

 

メリット

 小規模企業共済のメリットの主なものは3つです。

①掛金全額が所得控除できる(iDecoとの併用も可能)

掛金は確定申告の際にその全額を課税対象所得から小規模企業共済控除として控除することができます。課税金額ごとの節税額は下記の通りです。

参照:小規模企業共済 - 中小機構「掛金の全額所得控除による節税額一覧表」

 

小規模企業共済控除は他に個人型年金加入者掛金(いわゆるiDeco)がありますが、2つは併用して利用できるため、さらなる節税効果が見込めます。

 

②掛金以上の共済金が見込める、税額メリットもあり

 共済金は下記の事由が発生した場合に、請求することができます。

共済金等の種類 請求事由(個人/法人)
共済金A

個人事業を廃業した場合(個人)

共済契約者の方が死亡した場合(個人)

法人が解散した場合(法人)

共済金B

老齢給付(65歳以上で180か月以上掛金を払い込んだ方)(個人&法人)

病気、怪我の理由により、または65歳以上で役員を退任した場合(法人)

共済契約者の方が死亡した場合(法人)

準共済金

個人事業を法人成りした結果、加入資格がなくなったため、解約をした場合(個人)

法人の解散、病気、怪我以外の理由により、または65歳未満で役員を退任した場合(法人)

解約手当金

任意解約(個人&法人)

掛金を12か月以上滞納した場合(個人&法人)

個人事業を法人成りした結果、加入資格はなくならなかったが、解約をした場合(個人)

 共済金A・共済金Bに該当する際に36月以上納付した場合は、掛金以上の共済金が支給され、長年加入されている方だと、掛金の120%の共済金が支給されるケースもあります。

 また、共済金の受取は「一括」「分割」「一括と分割の併用」から選択することができ、一括受取を選択すると「退職所得」扱いに、分割受取を選択すると「雑所得」扱いになり所得税の課税対象となりますが、いずれの場合も「事業所得」に比べると税負担は軽減されています。

 

③低金利の貸付制度がある

 小規模企業共済に加入すると、掛金の範囲内で事業資金の貸付制度が利用でき、低金利で、即日貸付けも可能です。

 

デメリット

 小規模企業共済のデメリットの主なものは2つです。

①掛け捨て・元本割れリスクがある

 メリットにて、掛金以上の共済金が支給されるケースがあるという話をしましたが、反対に、掛け捨て・元本割れしてしまうケースもあります。

 掛け捨てになるケースは下記の通りです。

 ・掛金納付月数が6か月未満の場合

 ・掛金納付月数が12か月未満の場合(準共済金、解約手当金のみ)

 次に、元本割れになるケースは下記の通りです。

 ・掛金納付月数が、240か月(20年)未満で任意解約をした場合

 拠出した掛金を掛け捨て・元本割れしないようにするためには一定期間経過することが必要なため、急に資金が必要になった場合などに解約するには不向きな制度と思われます。

 

②掛金を減額した分は運用されない

 小規模企業共済は通常、納めた掛金が運用され一定の利率で増え続けますが、途中で掛金拠出額を減額した場合は、減額した分が運用されず放置されてしまいます。例えば、月額50,000円で3年間拠出した場合、合計で1,800,000円拠出されることになりますが、4年目に10,000円に減額した場合、(50,000円-10,000円)*180月=1,440,000円が4年目以降運用されずに放置されてしまいます。

 運用される元本が減少する結果、上記デメリット①で説明したような、240月以上拠出した場合でも、元本割れを起こす可能性が高くなってしまいます。そのため、小規模企業共済を活用する場合は、当初の掛金拠出額は無理のない範囲で設定することをお勧めします。

 

まとめ

 いかがだったでしょうか。

 小規模企業共済制度は、長期的な観点からはとても節税効果の高い制度ですので、まだ加入していない方は検討をお勧めします。加入の際は個人事業主の場合は直近の確定申告書を、法人の役員の場合は履歴事項全部証明書を準備して、お近くの金融機関に申し込みに行きましょう。

 磯会計センターでは、小規模企業共済で契約者様がどれだけ節税効果が見込めるか、どのようなプランで加入するのが良いかなどの相談も承っております。

茨城でお困りの中小事業主様や個人事業主様に、会計・税務から補助金・融資など幅広くサポートをしておりますので、お悩み事がございましたらぜひお気軽にご相談ください。

 

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