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グループ法人税制を税理士が解説!〜④現物分配〜

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グループ法人税制を税理士が解説!〜④現物分配〜

グループ法人税制を税理士が解説!〜④現物分配〜

2024/04/15

はじめに

 皆様はグループ法人税制をご存知でしょうか。

 グループ法人税制は、一定の企業グループで行なわれる特定の取引について、税務上損益を認識しない仕組みのことをいいます。グループ法人税制をうまく活用することによって、グループ内の資源を有効に活用・移転することができますが、当該税制は強制適用であるため、税制を知らないと、思わぬところで税額の計算に誤りが生じる可能性もあります。

 当ブログでは、複数回にわたって、グループ法人税制について解説しています。第4回は現物分配についてです。

 

グループ法人税制〜現物分配〜

 概要

 まず、現物分配とは、剰余金の配当等をする際に、金銭以外の資産を株主等に交付することをいいます。通常の現物分配であれば、現物分配を行う法人(以下、現物分配法人といいます。)は、現物分配の対象となる資産を時価により譲渡したものとして譲渡損益を計上して、現物分配を受ける法人(以下、被現物分配法人といいます。)については、受取配当等の益金不算入の規定に準じて処理を行います。また、みなし配当の場合は、受取配当等の益金不算入の規定に加えて、現物分配法人の資本金等の額に対応する部分の金額を株式の譲渡対価として、現物分配法人株式の譲渡損益も計上されます。
 その中でも、グループ法人税制における現物分配(以下、適格現物分配といいます。)とは、現物分配のうち、現物分配法人※1 と被現物分配法人※2 との間に完全支配関係がある場合をいいます。

 適格現物分配の場合、現物分配法人は現物分配の対象となる資産を帳簿価額にて譲渡したものとされ、被現物分配法人においても当該資産を帳簿価額にて取得したものとされます。さらに、配当収入は全額が益金不算入となり、帳簿価額に相当する金額を利益積立金額に加算します。また配当に関する源泉徴収も行いません。

※1 内国法人(公益法人等及び人格のない社団等を除く。)に限ります。

※2 内国法人(普通法人又は協同組合等のみ)に限ります。
 

 完全支配関係

 完全支配関係とは、一の者が法人の発行済株式等の全部を直接若しくは間接に保有する関係(以下、『当事者間の完全支配の関係』と言います。)、又は一の者との間に当事者間の完全支配の関係がある法人相互の関係(以下、『当事者間の完全支配の関係がある法人相互の関係』と言います。)を指します。さらに当事者間の完全支配の関係には、一の者が法人の発行済株式等の100%を直接保有する関係(以下、『直接完全支配関係』と言います。)と、一の者が法人の発行済株式等の100%を間接保有する関係(以下、『みなし直接完全支配関係』と言います。)があります。
 具体的には下記のようなケースを指します。

 

  注意点としては、ここでいう一の者は、譲渡損益の繰延と同様、法人である場合には内国法人・外国法人が該当しますが、個人である場合にはその個人と特殊関係のある個人(6親等内の血族、配偶者、3親等内の姻族など)を含みます。よって次のような場合でも完全支配関係があるとみなされます。

組織再編税制との関係

 適格現物分配は組織再編税制の一つとなっています。組織再編税制においては下記のいずれにも該当しない場合には、原則として繰越欠損金の利用制限の適用を受けてしまいます。

 

 ・被現物分配法人の適格現物分配の日の属する事業年度開始の日の5年前の日から継続して支配関係があること

 ・被現物分配法人又は現物分配法人の設立の日から継続して支配関係があること

 

 利用制限を受ける繰越欠損金は下記のとおりです。

 

 ・被現物分配法人の支配関係事業年度の各事業年度で前10年内事業年度※1 において生じた欠損金額

 ・被現物分配法人の支配関係事業年度以後の各事業年度において生じた欠損金額のうち特定資産譲渡等損失額※2 に相当する金額からなる部分の金額

 ※1 平成30年4月1日前に開始した事業年度において生じた欠損金額については、前9年内事業年度

 ※2 特定資産譲渡等損失額とは、支配関係事業年度開始の日において被現物分配法人が有していた資産の譲渡損失等のことをいいます。

 

まとめ

 いかがだったでしょうか。

 適格現物分配については中小企業の事業主の方には馴染みの薄い論点かもしれませんが、それゆえいざ実施した場合に税務の取り扱いを誤りがちです。通例でない取引を行う際には、お近くの専門家に相談することをお勧めします。

 磯会計センターでは、茨城でお困りの中小事業主様や個人事業主様に、会計・税務から補助金・融資など幅広くサポートをしておりますので、お悩み事がございましたらぜひお気軽にご相談ください。

 

(※当該記事は投稿時点の法令等に基づいて掲載しております。当ウェブサイト上のコンテンツについて、できる限り正確に保つように努めていますが、掲載内容の正確性・完全性・信頼性・最新性を保証するものではございません。)

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