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【事業】交際費の論点を税理士が解説!⑥〜交際費の判定に関する主な判例〜

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【事業】交際費の論点を税理士が解説!⑥〜交際費の判定に関する主な判例〜

【事業】交際費の論点を税理士が解説!⑥〜交際費の判定に関する主な判例〜

2023/10/13

はじめに

 企業を運営する中で、取引先との飲食のためなどの交際費は重要な活動のための費用かと思います。しかし交際費は、損金算入の要件があったり範囲が決められていたりと、正しい知識を必要とする科目です。当ブログでは複数回にわたって交際費の論点を解説しています。今回は交際費の判定に関する主な判例についてです。

 

従業員等との飲食費の取り扱い

 従業員に対する飲食代について、福利厚生費として認められなかった下記の事案がある。

 ー裁判事例要旨ー

『請求人は、従業員との飲食代は、従業員の採用面接時の際の飲食代、若しくは本件クリニックで働いている従業員に対し、福利厚生を目的とする飲食代である旨主張する。
 しかしながら、従業員と懇親のために支出する費用が必要経費に該当するか否かは、当該懇親の目的、従業員等の参加割合及び支出した金額等を総合的に判断して、それが、業務の遂行上必要といい得るか否かによって判断されるべきであるところ、上記の従業員との飲食代は、請求人が個別の従業員と飲食した費用であって、いずれも従業員の一部を対象としたものであることからすると、一般的に業務の遂行上必要なものとは認められない。また、従業員の採用面接時の際の飲食代については、客観的に見てその必要性を認めるに足りる証拠はないから、業務の遂行上必要なものとは認められない。
 したがって、別表3の請求人が主張する本件各費用のうち、「スタッフ」と記載されたものについては、業務の遂行上必要であるとは認められないから、必要経費に算入することはできない。
 なお、平成21年9月28日に請求人が看護師全員と喫茶した際に支出した費用は、従業員の慰労を目的とするものと認められるため、必要経費に算入される。』

(国税不服審判所採決平25・7・9(東裁(所)平25-10)裁事92) 

 

新築店舗落成に関連する支出の取扱い

 開業に際して事業関係者から受領した祝金は、事業の遂行に付随して生じた収入であるから事業所得に該当するとした下記事例があります。

 ー裁判事例要旨ー

 『請求人は、小児科医開院に際して受領した祝金は、個人又は法人からの贈与であり、非課税所得又は一時所得に該当する旨主張する。しかしながら、民法は私人間の法律関係を規律するという見地に基づいた定めであるのに対し、租税法は、収入の経済的実質を重視し、担税力に応じた課税の実現を期するものであることから、租税法上の贈与の概念は民法上の贈与の概念とは別異に解すべきであるところ、本件祝金は、請求人が新たに事業として医療保健業を開業したことに伴い、請求人の事業関係者から受領したものであることから、経済的実質からみれば事業の遂行に付随して生じた収入というべきであり、租税法上、このような収入についてまで贈与と解するのは担税力に応じた公平な税負担の見地からも相当でなく、請求人の主張する非課税所得又は一時所得には該当せず、事業所得に該当するから、事業所得とした原処分は相当である。』

(国税不服審判所採決平14・1・23(熊裁(所)平13‐12)裁事63・153)

 

業務遂行上、直接関連のないゴルフ接待費用は、所得の金額の計算上必要経費に算入することはできないとした事例

 不動産貸付業務遂行上、直接関連のないゴルフ接待費用は、不動産所得の金額の計算上必要経費に算入することはできないとした下記事例があります。

 ー裁判事例要旨ー

 『請求人は、請求人が不動産所得の金額の計算上必要経費に算入した本件ゴルフ代の支出に関し、賃貸物件の補修の必要性や家主である請求人に対するクレーム等を把握し、これらに対応することで、賃貸物件を優良なテナントに長く貸し付けることができるよう、テナントの代表者等に対するゴルフ接待を行うとともに、種々の情報を得て不動産の購入を容易にし、また、購入資金の融資の点でも有利になるよう、かつての勤務先である銀行の後輩等に対するゴルフ接待を行っていた旨主張する。
 しかしながら、本件ゴルフ代についてみると、請求人が接待の相手方であると主張する者のうち、①請求人の主宰法人が所有する不動産のテナントについては、請求人の不動産所得に係る業務の遂行とは直接関係がなく、②請求人が所有する不動産のテナントの関係者についても、請求人が賃貸物件の補修の必要性や家主である請求人に対するクレーム等を把握するために、これらの者とゴルフをする必要があったとは認め難く、③かつての勤務先である銀行の後輩については、間接的に、請求人の不動産貸付業に有益な情報が得られる場合があるとしても、これらの者とゴルフをすることが、業務の遂行上直接必要であったとまではいい難く、さらに、④請求人はゴルフクラブの会員として、本件各年分を通じて、毎年相当の回数のプレーをしており、その大半を女子プロゴルファーと2人でプレーしている上、請求人が接待交際費に該当すると主張する上記各相手先とのゴルフについても、いずれも上記女子プロゴルファーを同伴させていることからすれば、本件ゴルフ代は、結局のところ、請求人の趣味・し好としてのゴルフプレーのために支出された家事上の経費であると評価せざるを得ず、家事費に該当するから、請求人の不動産所得の金額の計算上必要経費に算入することはできないというべきである。』

(国税不服審判所採決平22・4・22(東裁(所・諸)平21‐149)裁事79・164)

 

支出先を明らかにできないリベート等の取扱い

 支出先が明らかでないリベートであっても、必要経費に算入されるとされた下記事例があります。

 ー裁判事例要旨ー

 『原処分庁は、生命保険外務員であった請求人が、生命保険契約者である法人の理事長に対し販売促進費を支払ったとする根拠を具体的かつ客観的に示さず、また、理事長はその販売促進費を受け取っていない旨申述していることなどから、この販売促進費の支払いの事実は認められない旨主張する。

 しかしながら、本件はいわゆるバックリベートの支払いという事実の性質からすると、領収書等の直接証拠がないことは不自然ではなく、これのみで当該販売促進費の支払いの事実がないと判断するのは早計であり、具体的かつ客観的な複数の間接証拠によると支払の事実が認められるので、必要経費に算入される』

(国税不服審判所採決平25・6・6(名裁(所・諸)平24‐41)非公開裁決)

 

同業者グループ等に対する会費等の取扱い

 ロータリークラブの会費等は必要経費に算入できないとした下記事例があります。

ー裁判事例要旨ー

『請求人は、所得税法第37条《必要経費》第1項に規定する「販売費、一般管理費及びその他これらの所得を生ずべき業務について生じた費用」とは、文理解釈する限り、業務と直接の関係を持つものである必要はなく、客観的にみて所得を生ずるのに必要なものであれば足りるとして、加入するロータリークラブ(本件クラブ)の入会金及び年会費(本件各諸会費)は必要経費に算入できる旨主張する。
 しかしながら、事業所得の金額の計算上、必要経費が総収入金額から控除されることの趣旨は、投下資本の回収部分に課税が及ぶことを回避することにあると解されるところ、日常生活において事業による所得の獲得活動のみならず、所得の処分としての私的な消費活動も行っている個人の事業主における事業所得の金額の計算に当たっては、事業上の必要経費と所得の処分である家事費とを明確に区分する必要があり、それらを踏まえて所得税法第37条1項、同法45条《家事関連費等の必要経費不算入等》第1項及び所得税法施行令第96条《家事関連費》第1号の各文言に照らせば、所得税法第37条第1項のいう費用とは、単に業務と関連があるというだけではなく、その支出が業務と直接の関係を持ち、かつ、業務の遂行上必要なものに限られると解するのが相当であり、その判断は、単に業務を行う者の主観的な動機・判断によるのではなく、当該業務の内容や、当該支出の趣旨・目的等の諸般の事情を総合的に考慮し、社会通念に照らして客観的に行われなければならないと解される。以上のことから、請求人が本件クラブの会員として行った活動を社会通念に照らして客観的にみれば、その活動は、登記又は供託に関する手続について代理することなど司法書士法第3条《業務》第1項各号に規定する業務と直接関係するものということはできず、また、その活動が司法書士としての業務の遂行上必要なものということはできないため、請求人が支出した本件各諸会費は、請求人の事業所得の金額の計算上、必要経費に算入することはできない。』

(国税不服審判所採決平26・3・6(名裁(所)平25‐26)裁事94・63)

 

一定割合の交際費算入の取り扱い

 接待交際費の支出額のうち一定割合を交際費として必要経費に算入したものについて、認められなかった下記の事案がある。

 『請求人は、接待交際費の金額について、本件元帳計上接待交際費の金額を本件元帳に記載した後、各年末においてその一部を事業主貸勘定に振り替える本件各年末処理を行い、当該処理後の金額を必要経費に算入すべき金額として申告しているところ、原処分庁は、当該申告額の一部の金額(本件接待交際費)について、必要経費に算入できないとする本件各更正処分を行っている。
 この点、接待交際費が事業と直接関係し、かつ、事業の遂行上必要なものであったと認められるか否かの判断は、接待交際費個々の支出ごとにすべきものであることからすれば、本件各年末処理によって、本件元帳計上接待交際費から事業関連性が不明確なものが控除されたことにはならない。』

 

まとめ

 いかがだったでしょうか。

 上記の交際費をめぐる判例はごく一部であり、例年多くの裁判が行われております。少しでも興味のある方は国税不服審判所のサイトを閲覧してみることをお勧めします。また、「この事例の場合の判例があるかわからない…」といった場合は、一度専門家に相談してみることをお勧めします。

 以上で交際費の論点の解説を終了します。6回にわたりお付き合いいただき誠にありがとうございました。

 磯会計センターでは、茨城でお困りの中小事業主様や個人事業主様に、会計・税務から補助金・融資など幅広くサポートをしておりますので、お悩み事がございましたらぜひお気軽にご相談ください。

 

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