【事業】領収書の受領時の注意点を税理士が解説!
2023/07/19
はじめに
領収書は税務申告の際の証憑書類となり、金銭を支払ったことの証拠になります。事業主の方はもちろん、従業員の方も経費精算のために領収書を受領することがあると思います。この領収書ですが、金額が書いてあればOKということにはならず、一定の要件があります。
さらに2023年10月1日からはインボイス制度が始まり、インボイスの発行業者は、買い手である取引相手から交付を求められたときは、下記の一定の事項が記載された請求書や納品書、その他これらに類する書類を交付しなければいけません。
・インボイス発行事業者の氏名または名称および登録番号
・取引年月日
・取引内容(軽減税率の対象品目である旨も記載)
・税率ごとに区分して合計した対価の額および適用税率
・消費税額等
・書類の交付を受ける事業者の氏名または名称
今回は、領収書を正しく記載し、経費と認められるための注意点を解説します。
領収書とレシートの違い
飲食店や小売店などでは、支払いの際にレシートを渡されますが、レシートについても下記の記載があれば、領収書と同じように証憑書類として利用することができます。
・販売者の名称
・取引が行われた日付
・販売した商品やサービスの詳細
・取引金額
レシートには宛名がありませんが、インボイス制度においても一定の事業者については宛名が不要な「簡易適格請求書」での発行が認められているため、レシートでも消費税の仕入税額控除が可能になる場合があります。(詳細は『【消費税】インボイスに関する国税庁Q&Aのポイントを税理士が解説!その1(適格請求書等保存方式の概要・適格請求書発行事業者の登録制度)』のQ1を参考にしてください。)
また、後述しますが、領収書には「お品代」など取引の内容が不明瞭な場合もあるため、改ざんのしにくいレシートのほうが税務上の信頼性は高いという考えもあります。
領収書の記載内容の注意点
・相手先名
領収書の宛名を「上様」と書く文化が以前から浸透されていましたが、税法上はかなり危険です。社長が複数の会社を経営しているときに、利益が出ている会社に上様領収書を振り分ける利益操作や、個人の出費である上様領収書を会社に請求する架空の経費計上ができてしまうことから、税務調査で損金と認められなくなるケースは多いと考えられます。
領収書の宛名を記載する際には、会社の名称や、個人事業主の場合は事業主の名前か屋号などを用いるのが良いでしょう。
・金額
領収書の金額の書き方にも、下記の注意点があります。
・金額の先頭に¥(円マーク)もしくは「金」をつける
・3桁ごとに「,」で区切る
・金額の末尾に「円也」などをつける
これらはいずれも、数字を後から付け足すといった金額の改ざんを防ぐための方法です。
・但し書きの記載
但し書きに「お品代」として記載することがありますが、税法上、「課税資産の譲渡等に係る資産又は役務の内容」が記載内容とされますので、使途が不明瞭な費用として経費計上が認められなくなるケースがあります。また、インボイス制度における記載事項には、「取引内容(軽減税率の対象品目である旨も記載)」を記載する必要があるため、対象品目が軽減税率対象のものとそうでないものが分かれている場合には、それぞれの但し書きを記載する必要があります。また、文章を後から付け足すことのできないように「〜として」と記載するのが一般的です。
(例)飲食代として
- セミナー参加費用として
- 食品(軽減税率対象)、雑貨代として
・印紙
領収書の発行者は、5万円以上から金額に応じた印紙を貼る必要があります。また、不正防止のために印紙に割印を押す必要もあります。印紙を貼り忘れた場合、印紙額面の3倍となる金額を支払う事になるため、発行者は印紙の貼り忘れがないように注意しましょう。
・税率ごとに区分して合計した対価の額および適用税率
インボイス制度の開始に伴い、領収書においても、軽減税率対象品目(消費税8%のもの)とそれ以外(消費税10%のもの)を区分してそれぞれに合計した金額と適用税率を記載する必要があります。
まとめ
いかがだったでしょうか。
普段何気なくもらっている領収書ですが、正しく受領しないと思わぬ落とし穴に引っかかる可能性がありますので、上記のポイントに注意して受領するようにしましょう。
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(本記事は、掲載時点の税制等に基づき記載しております。)
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