【事業】法人成りのメリット・デメリットを税理士が解説!その1
2023/04/12
はじめに
前回、『【事業】株式会社設立の流れとポイントを解説!』という記事で、会社設立の流れを説明させていただきました。
今回は、個人事業主の方が、法人成りをして会社を設立するメリットは一体なんなのかを解説します。
法人成りのメリット
法人成りのメリットは様々ですが、代表的なものは下記の通りです。
1.個人事業よりも税制上有利になる
2.個人事業よりも社会的信用度が高くなる
3.賠償に関しての責任が出資の額に限定できる
4.決算月が12月以外に設定できる
1.個人事業よりも税制上有利になる
やはり1番のメリットは法人化による節税メリットにあります。その中の一部をご紹介します。
・役員報酬を経費とすることができる。
個人事業主の場合、仮に事業用の口座から毎月同額を生活費として引き出したとしても、その金額は経費とはなりません。一方法人の場合は自身の給与を役員報酬として経費に計上することができます。役員報酬は給与所得として所得税の対象になりますが、役員報酬は給与所得控除の対象になるため、控除額分だけ所得を減らすことができ、節税につながります。
・役員への退職金が経費として認められる。
個人事業主本人に対する退職金は必要経費として処理することができませんが、法人であれば役員への退職金も原則として経費計上可能です。
・所得税の税率が低くなる
所得税は累進課税制度により、最大で45%もの税率がかかり、さらに10%の住民税がかかります。一方、法人の場合、法人税や事業税などを合わせた合計の負担率は、中小企業では30%前後になることが多いです。ある程度の所得が見込まれる場合は上記の対応等により所得を分散させることで、自身の税負担額を抑えることができます。
この、所得の分散効果がどのくらいあるのかについては、正確なシミュレーションが必要なため、専門家に相談することをお勧めします。
・欠損金の繰越控除可能期間が長くなる。
青色申告の個人事業主の場合は、欠損金を翌年以降に繰り越し、翌年以降に発生する事業所得と相殺することができますが、その期限は3年間です。
一方、法人であれば欠損金の繰越控除が10年間認められているため、欠損金を相殺しきれずに消滅してしまう可能性が減ることから、節税効果が出てきます。
・役員社宅として経費計上できる。
個人事業主の場合は、自宅を自宅兼事務所として利用している時に、事務所としての業務にかかる部分のみを経費にできますが、それ以外は認められません。
一方、法人の場合、法人契約で自宅を借り、社宅として役員に家を貸付け、一部を会社負担とすることで、会社負担分を経費にすることができ、さらに仲介手数料や引っ越し代、火災保険料も経費にできます。
この役員社宅については、社宅の要件などが細かく設定されているため、契約前に確認するか専門家に相談することをお勧めします。
2.個人事業よりも社会的信用度が高くなる
法人は法務局に住所や代表者の情報が登記されていることや、各種規定を整備する必要があることから、個人事業主に比べ、社会的な信頼が高いです。
金融機関から借入を行う場合も、法人成りによって信用度が上がり、資金調達もしやすくなります。
企業との取引や人材採用の面でも、法人の方が一般的には有利になると言えるでしょう。
3.賠償に関しての責任が出資の額に限定できる
株式会社や合同会社の場合、事業主は会社設立時に出資した資本金を上限として責任を負うことになります。
個人事業主の場合、事業で負債を抱えた場合、全額返済義務があるのに対し、株式会社であれば、会社の資産と事業主の財産は切り離されているため、事業主は出資した資本金までは失われている可能性がありますが、それ以上に事業主の財産で負債を返済する必要はありません。
4.決算月が12月以外に設定できる
個人事業主は1月から12月の事業の成果を確定申告することとなるため、仮に事業の繁忙期が2・3月の場合、確定申告と繁忙期が重なってしまいます。
一方、法人であれば、繁忙期を避けて決算月を設定することができるため、余裕をもった決算申告を行うことが可能です。
また、新卒者の入社や人事評価の兼ね合いにより、決算期を3月にする会社も多いです。
まとめ
いかがだったでしょうか。
今回は法人なりのメリットを説明させていただきましたが、法人成りにはデメリットも存在します。次回は法人成りのデメリットについて解説していきます。
磯会計センターでは会社設立の手続きも、一カラフルサポートしています。
茨城県で開業や法人設立を検討している方は是非一度ご相談ください。
(※当該記事は投稿時点の法令等に基づいて掲載しております。)
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