【インボイス】インボイス制度における振込手数料の取扱いを税理士が解説!
2023/09/22
はじめに
インボイス制度の開始まで約2週間となりました。登録事業主としても最終準備の段階をしている頃かと思います。インボイス制度の中で、インボイスが必要になる取引、必要とならない取引の区分は非常に細かく、一つ一つを覚えるのに苦労をするかと思いますが、その中でも、金融機関に支払う振込手数料については支出頻度が非常に多い上に、同じ取引でも会計処理は異なる可能性があります。今回はこのインボイス制度における振込手数料の取扱いをパターン毎に解説します。
パターン① 売り手が負担する振込手数料
売り手側が負担する振込手数料は、売り手側が売上値引きとして取り扱うか、支払手数料として取り扱うかによって処理が異なります。
・売上値引きとして取り扱う場合
売上値引きを売り手側が行う場合は、買い手である課税事業者に対して適格返還請求書を交付する義務が課されています。しかし、令和5年度の税制改正により、売上に係る対価の返還等に係る税込価格が1万円以下である場合は、適格返還請求書の交付義務が免除になっているため、振込手数料が1万円を超えることはほぼほぼないと考えられることから、売り手が売上値引きとして処理する場合、適格返還請求書を交付する必要はありません。
・支払手数料として取り扱う場合
振込手数料を支払手数料である課税仕入として処理する場合は、売り手が仕入税額控除を行うためには、原則として金融機関や取引先からの支払手数料に係る適格請求書が必要となります。しかし、会計上は支払手数料として処理し、消費税法上は対価の返還等として課税売上のマイナスと同様に取り扱うことができ、これにより上記の売上値引きと同様に、会計上の支払手数料について適格請求書の保存は必要がなくなります。消費税法上、売上値引きとして処理する場合には、適格請求書は必要ありませんが、帳簿に対価の返還である旨の記載をし、当該帳簿を保存することが必要です。また、仮に支払手数料に10%の消費税が貸されていたとしても、元となる取引が8%の軽減税率対象であった場合、支払手数料も消費税率8%の対価の返還として計上する必要があります。
パターン② 買い手が負担する振込手数料
振込手数料を買手側が負担する場合、仕入税額控除を行うためには原則として金融機関や取引先からの支払手数料に係る適格請求書が必要です。しかし、基準期間の課税売上が1億円以下または1年前の上半期の課税売上が5,000万円以下の事業者においては、令和5年10月1日から令和11年9月30日の期間に限り、1万円未満の課税仕入について、適格請求書の保存が無い場合においても、帳簿の保存のみで仕入税額控除が出来ます。そのため、振込手数料が1万円を超えることはほぼほぼないと考えられることから、適格請求書の保存無しに、仕入税額控除として取り扱うことが出来ます。
また、売り手に対する代金の支払いを銀行ATMで行う場合、特例により適格請求書の交付義務の免除の対象となります。(銀行窓口での支払いやインターネットバンキングによる支払いの場合は、原則通り適格請求書が必要となるため、取り扱いの金融機関の対応を確認するようにしましょう。)
まとめ
いかがだったでしょうか。
インボイスが開始された場合に上記のような会計処理の変更が生じる場合があるため、ご自身の会社はどのような整理になるかを早めに検討し、不明な点はお近くの専門家に相談するようにしましょう。
磯会計センターでは、茨城でお困りの中小事業主様や個人事業主様に、会計・税務から補助金・融資など幅広くサポートをしておりますので、お悩み事がございましたらぜひお気軽にご相談ください。
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