【税金】結婚・子育て資金の一括贈与の非課税制度について税理士が解説!
2023/08/02
はじめに
以前、『【税制改正】相続時精算課税の令和5年税制改正を税理士が解説!』の記事において、暦年贈与と併用できる以下の4つの特例制度を紹介しました。
・贈与税の配偶者控除
婚姻期間20年以上の夫婦間で、住宅購入費用等などの贈与をしたときに、最大2,000万円まで控除される制度
・教育資金の一括贈与
30歳未満の子や孫が、直系尊属から教育資金の贈与を受けたときに、1,500万円まで非課税となる制度
・住宅取得等資金の非課税制度
直系尊属から住宅取得等の資金の贈与を受けたときに、一定の金額が非課税となる制度
・結婚・子育て資金の一括贈与の非課税制度
18歳以上50歳未満の子や孫が、直系尊属からから結婚・子育て資金の贈与を受けたときに、1,000万円まで非課税となる制度
今回はその中の結婚・子育て資金の一括贈与の非課税制度について、詳細を解説します。
結婚・子育て資金の一括贈与の非課税制度
・制度の期限
令和7年3月31日までの間の贈与
・受贈者と贈与者の要件
⚪︎受贈者:18歳以上50歳未満の方(取得した年の前年分の受贈者の所得金額が1,000万円を超える場合には適用できません 。)
⚪︎贈与者:受贈者の直系尊属
・結婚・子育て資金口座の開設等に該当する行為(結婚・子育て資金に充てるため、金融機関等との一定の契約に基づき、贈与者から下記を行なった場合)
⚪︎信託受益権を取得した場合
⚪︎書面による贈与により取得した金銭を銀行等に預入をした場合
⚪︎書面による贈与により取得した金銭等で証券会社等で有価証券を購入した場合
・贈与の限度額
1,000万円(挙式費用・新居費用等の結婚資金については300万円が限度となります。)
・贈与時の手続き
受贈者が金融機関等の営業所等に結婚・子育て資金非課税申告書の提出等をすることにより贈与税が非課税となります。
契約期間中の手続き
・結婚・子育て資金口座からの教育資金の払出しをした場合
結婚・子育て資金支出の領収書を所定の期限までに金融機関に提出します。(先に結婚・子育て資金を支払い、後から口座から払い出した場合、支払年月日から1年を経過する日までに、それ以外の場合、支払年月日の翌年3月15日までに手続きを行います。)
・契約期間中に贈与者が死亡した場合
死亡日における残額等、一定の計算をした金額について相続を受けたものとみなされます。
契約期間終了時の手続き
受贈者が50歳になったときは結婚・子育て資金管理契約が終了しますが、その際非課税制度も終了し、残額があるときは、残額は契約終了時に贈与があったこととされます。
その他の留意点
・結婚・子育て資金口座からの結婚・子育て資金以外の払出しをした場合
結婚・子育て資金以外の支出を行い残高を減らしたとしても、結婚・子育て資金の払出しをしたとはみなされないため、上記で説明した贈与者が死亡した場合の相続の算定における残高や、契約期間終了時の贈与の算定における残高に、結婚・子育て資金以外の支出額を加算する必要があります。
・結婚・子育て資金の一括贈与の利用目的について
一般的に扶養の範囲内で生活費を必要のつど渡す場合は贈与税の課税対象にはならないため、あえて結婚・子育て資金の一括贈与を利用する必要もありません。当該制度は例えば、将来直系尊属が認知症になった場合に、必要な時に自由に資金が引き出せなくなってしまうリスクを回避するために利用するケースが考えられます。
まとめ
いかがだったでしょうか。
留意点でも記載したように、結婚・子育て資金の一括贈与は、ケースによって節税対策になる場合とならない場合があるため、検討に当たっては専門家に相談することをお勧めします。
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(本記事は、掲載時点の税制等に基づき記載しております。)
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