健康保険の保険給付について社労士が解説!⑤〜70歳未満のみ世帯の高額療養費〜
2025/09/22
はじめに
健康保険は、企業に勤める従業員やその被扶養者が業務上以外の理由で病気や怪我、死亡、出産をした場合に、保険給付を行うことを目的とした社会保障制度のひとつです。健康保険制度は医療保険制度の基本であり、高齢化の進展や、疾病構造の変化、社会経済状況の変化等に応じて定期的に改正がなされているため、情報を常にアップデートする必要があります。当ブログでは、複数回にわたって健康保険に関する基本的な知識や、間違えやすい論点などを解説していきます。
前々回から健康保険の保険給付についての解説をしています。保険給付は病院で診察等を受ける以外にも、下記の通り多くの種類があります。
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保険事故 |
被保険者に関する保険給付 |
被扶養者に関する保険給付 |
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疾病または負傷 |
療養の給付 |
家族療養費 |
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入院時食事療養費 |
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入院時生活療養費 |
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保険外併用療養費 |
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療養費 |
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訪問看護療養費 |
家族訪問看護療養費 |
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高額療養費 |
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高額介護合算療養費 |
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移送費 |
家族移送費 |
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傷病手当金 |
ー |
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出産 |
出産育児一時金 |
家族出産育児一時金 |
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出産手当金 |
ー |
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死亡 |
埋葬料(埋葬費) |
家族埋葬料 |
このうち、今回は70歳未満のみ世帯の高額療養費について解説します。
高額療養費
1ヶ月間月間(暦月)で医療機関等に支払う医療費が一定額を超えた場合に、その超えた額について払い戻しを受けることができる高額療養費制度というものがあります。
高額療養費は原則として1つの医療機関等での自己負担が一定額を超えた場合に支給され、1つの医療機関等であっても、歯科と歯科以外、入院診療と通院診療分はそれぞれ別個として算定されます。
また、下記のような自己負担分については、高額療養費の対象からは除かれます。
・食事療養標準負担額
・生活療養標準負担額
・評価療養、患者申出療養または、選定療養に係る特別料金
・訪問看護療養費及び家族訪問看護療養費に係るその他の利用料
70歳未満のみ世帯の高額療養費
被保険者及び被扶養者が全員70歳未満の世帯である場合、原則として下記のそれぞれの適用区分ごとの上限額を超えた場合に、その超えた額が高額療養費として支給されます。
| 適用区分 | 1月ごとの上限額 |
| 標準報酬月額83万円以上 | 252,600円 + (医療費 - 842,000円)× 1% |
| 標準報酬月額53万円以上83万未満 | 167,400円 + (医療費 - 558,000円)× 1% |
| 標準報酬月額28万円以上53万未満 | 80,100円 + (医療費 - 267,000円)× 1% |
| 標準報酬月額28万未満 | 57,600円 |
| 住民税非課税者 | 35,400円 |
また、同一世帯で、同一月内に、被保険者または被扶養者についてそれぞれ21,000円以上の一部負担金がある場合は、世帯を合算して算定することができます。ただし、共働きなど一つの世帯で被保険者が2人の場合、被保険者同士は世帯合算することはできません。
さらに、療養のあった月以前の12月以内にすでに高額療養費が支給されている月数が3月以上ある場合、多数回該当となり、4月目からは上限額が下記の通りに軽減されます。
| 適用区分 | 多数回該当の場合の1月ごとの上限額 |
| 標準報酬月額83万円以上 |
140,100円 |
| 標準報酬月額53万円以上83万未満 | 93,000円 |
| 標準報酬月額28万円以上53万未満 | 44,400円 |
| 標準報酬月額28万未満 | 44,400円 |
| 住民税非課税者 | 24,600円 |
そのほか、被保険者または被扶養者が下記の疾病に係る療養を受けている場合にも、通常よりも低い上限額が設けられています。
| 疾病の種類 | 1月ごとの上限額 |
| 人工腎臓を実施している慢性腎不全(人工透析治療等) | 10,000円(標準報酬月額53万円以上の被保険者とその被扶養者は20,000円) |
| 一定の血友病 | 10,000円 |
| 抗ウイルス剤を投与している後天性免疫不全症候群 | 10,000円 |
おわりに
いかがだったでしょうか。
今回は70歳未満のみ世帯の高額療養費について解説しました。世帯合算や多数回該当のケースなど、ひとことに高額療養費といってもさまざまなケースが考えられます。医療費が多額になることが想定される場合は、一度ご自身が高額療養費の支給を受けられるか否かについて検討することをお勧めします。
次回は70歳以上の人がいる世帯の高額療養費について解説していきます。
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