健康保険の保険給付について社労士が解説!②〜入院時食事療養費及び入院時生活療養費〜
2025/09/01
はじめに
健康保険は、企業に勤める従業員やその被扶養者が業務上以外の理由で病気や怪我、死亡、出産をした場合に、保険給付を行うことを目的とした社会保障制度のひとつです。健康保険制度は医療保険制度の基本であり、高齢化の進展や、疾病構造の変化、社会経済状況の変化等に応じて定期的に改正がなされているため、情報を常にアップデートする必要があります。当ブログでは、複数回にわたって健康保険に関する基本的な知識や、間違えやすい論点などを解説していきます。
前回から健康保険の保険給付についての解説をしています。保険給付は病院で診察等を受ける以外にも、下記の通り多くの種類があります。
| 保険事故 | 被保険者に関する保険給付 | 被扶養者に関する保険給付 |
|
疾病または負傷 |
療養の給付 | 家族療養費 |
| 入院時食事療養費 | ||
| 入院時生活療養費 | ||
| 保険外併用療養費 | ||
| 療養費 | ||
| 訪問看護療養費 | 家族訪問看護療養費 | |
| 高額療養費 | ||
| 高額介護合算療養費 | ||
| 移送費 |
家族移送費 |
|
| 傷病手当金 | ー | |
| 出産 | 出産育児一時金 | 家族出産育児一時金 |
| 出産手当金 | ー | |
| 死亡 | 埋葬料(埋葬費) | 家族埋葬料 |
このうち、今回は入院時食事療養費及び入院時生活療養費について解説します。
入院時食事療養費
入院時食事療養費とは、入院中に提供される食事の負担について受けることができる給付をいいます。ただし、療養病床に入院する65歳以上の被保険者は、入院時食事療養費は支給されず、後述する入院時生活療養費が支給されます。
入院時食事療養費の額は、食事療養に要する費用の額から、下記の食事療養標準負担額を控除した金額となります。つまり、下記の費用が実際の被保険者の負担額となります。なお、1日の標準負担額は、3食に相当する額を限度とします。
〈令和7年4月1日以降の食事療養標準負担額(掲載日時点のものとなります。)〉
| 区分 | 食事療養標準負担額 |
| 下記以外の場合 | 1食につき510円 |
| 難病患者、小児慢性特定疾病患者の方(住民税非課税世帯を除く) | 1食につき300円 |
| 住民税非課税世帯の方で過去1年間の入院日数が90日を超えていない場合 | 1食につき240円 |
| 住民税非課税世帯の方で過去1年間の入院日数が90日を超えている場合 | 1食につき190円 |
| 住民税非課税世帯に属し、かつ所得が一定基準に満たない70才以上の高齢受給者 | 1食につき110円 |
食事療養標準負担額については、高額療養費の対象から除外されることとなっています。
標準負担額の軽減措置を受ける場合は、「健康保険限度額適用・標準負担額減額認定申請書」に低所得の証明書を添付して、全国健康保険協会の都道府県支部に提出します。申請が認められると、1年間を上限して「健康保険限度額適用・標準負担額減額認定証」が交付され、マイナ保険証で医療機関を受診することで標準負担額の軽減措置がうけられます(資格確認書または被保険者証で受診する場合は、あわせて認定証を医療機関の窓口に提出する必要があります。)。
低所得の証明について、住民税の非課税世帯の人については、住所地の市区役所等で住民税の非課税証明を受けることができます。さらに所得が一定基準に満たない人は給与や年金の源泉徴収票が、生活保護法の要保護者は福祉事務所長が行う標準負担額認定該当の証明が、住民税の非課税証明に加えて必要となります。
入院時生活療養費
入院時生活療養費とは、療養病床に入院する65歳以上の被保険者が入院中に提供される生活費の負担について受けることができる給付をいいます。
入院時生活療養費の額は、生活療養に要する費用の額から、下記の生活療養標準負担額を控除した金額となります。つまり、下記の費用が実際の被保険者の負担額となります。
〈令和7年4月1日以降の生活療養標準負担額(掲載日時点のものとなります。)〉
| 区分 | 生活療養標準負担額(食費) | 生活療養標準負担額(生活費) |
| 下記以外の場合 | 1食につき510円 ※1 | 1日につき370円 |
| 課税世帯の難病患者等 | 1食につき300円 | 1日につき0円 |
| 低所得者Ⅱ(住民税非課税世帯) | 1食につき240円 | 1日につき370円 ※2 |
| 低所得者Ⅰ(年金収入80万円以下等) | 1食につき140円 | 1日につき370円 ※2 |
※1 管理栄養士等を配置していない保険医療機関に入院している場合は420円となります。
※2 難病患者等の場合は0円となります。
生活療養標準負担額については、高額療養費の対象から除外されることとなっています。
なお、標準負担額の軽減措置を受ける場合についての流れは、入院時食事療養費と同様です。
まとめ
いかがだったでしょうか。
今回は入院時食事療養費及び入院時生活療養費について解説しました。標準負担額については、改正により頻繁に変更がある箇所となっています。最新の標準負担額については、併せて全国健康保険協会のHP等を参考にするようにしてください。
次回は保険外併用療養費及び療養費、家族療養費について解説していきます。
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