健康保険の保険給付について社労士が解説!①〜療養の給付〜
2025/08/25
はじめに
健康保険は、企業に勤める従業員やその被扶養者が業務上以外の理由で病気や怪我、死亡、出産をした場合に、保険給付を行うことを目的とした社会保障制度のひとつです。健康保険制度は医療保険制度の基本であり、高齢化の進展や、疾病構造の変化、社会経済状況の変化等に応じて定期的に改正がなされているため、情報を常にアップデートする必要があります。当ブログでは、複数回にわたって健康保険に関する基本的な知識や、間違えやすい論点などを解説していきます。
今回からは健康保険の保険給付についての解説となります。保険給付は病院で診察等を受ける以外にも、下記の通り多くの種類があります。
| 保険事故 | 被保険者に関する保険給付 | 被扶養者に関する保険給付 |
|
疾病または負傷 |
療養の給付 | 家族療養費 |
| 入院時食事療養費 | ||
| 入院時生活療養費 | ||
| 保険外併用療養費 | ||
| 療養費 | ||
| 訪問看護療養費 | 家族訪問看護療養費 | |
| 高額療養費 | ||
| 高額介護合算療養費 | ||
| 移送費 |
家族移送費 |
|
| 傷病手当金 | ー | |
| 出産 | 出産育児一時金 | 家族出産育児一時金 |
| 出産手当金 | ー | |
| 死亡 | 埋葬料(埋葬費) | 家族埋葬料 |
このうち、はじめに療養の給付について解説します。
療養の給付の範囲
療養の給付とは、健康保険の被保険者が業務以外の事由により病気やけがをしたときに保険医療機関等で治療を受けることをいいます。
療養の給付の範囲は次のとおりです。
・診察
・薬剤または治療材料の支給
・処置・手術その他の治療
・在宅で療養する上での管理、その療養のための世話、その他の看護
・病院・診療所への入院、その療養のための世話、その他の看護険料
上記に関連しないような、美容整形手術や健康診断、予防接種、治癒後の保養などの費用については療養の給付の対象外となります。また、他の保険給付の対象となるものについても、療養の給付の対象外となっています。
療養の給付の一部負担金
療養の給付を受けた場合、病院等にマイナ保険証を提出することによって、一部の費用負担で療養を受けることができます。なお、70歳~74歳の方(後期高齢者医療制度の被保険者等になる方を除きます。)は「高齢受給者証」もあわせて提示する必要があります。
療養の給付を受ける際に負担する、一部負担金は下記の通りです。なお、75歳以上は、原則後期高齢者医療保険に移行します。
| 被保険者の区分 | 一部負担金の割合 |
| ① 70歳に達する日の属する月以前 | 100分の30 |
| ② 70歳に達する日の属する月の翌月以後(一般所得者) | 100分の20 |
| ③ 70歳に達する日の属する月の翌月以後(現役並所得者) | 100分の30 |
③について、現役並所得者とは、標準報酬月額が28万円以上の人を指しますが、現役並所得者であっても、被保険者のみの年収が383万円(70歳以上の被扶養者を有する場合には、当該被扶養者の収入も含めた年収が520万円)未満である場合は、一般所得者として、2割負担となります。
また、被扶養者が75歳になり、後期高齢者医療保険に移行した場合、被扶養者は健康保険上の被扶養者ではなくなるため、上記においては原則として、被保険者のみで年収383万円未満か否かによって、現役並所得者かどうかを判断することとなりますが、5年間に限り、被扶養者であったものの年収を含めて年収520万円未満か否かによって、現役並所得者かどうかを判断することができるとされています。
まとめ
いかがだったでしょうか。
今回は療養の給付について解説しました。特に70歳以上の一部負担金については現役並所得者か否かによって一部負担金は大きく変わるため、標準報酬月額や年収を注意するようにしましょう。
次回は入院時食事療養費及び入院時生活療養費について解説していきます。
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