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贈与税の基礎知識を税理士が解説!④〜相続時精算課税の概要・メリット・デメリット〜

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贈与税の基礎知識を税理士が解説!④〜相続時精算課税の概要・メリット・デメリット〜

贈与税の基礎知識を税理士が解説!④〜相続時精算課税の概要・メリット・デメリット〜

2025/08/07

はじめに

 贈与とは、当事者の一方(贈与者)が自分の保有している財産をもう一方(受贈者)に無償で与える意思を示し、受贈者がそれを承諾することによって成立する契約のことを指します。贈与を行う典型的なケースとして、相続税対策のための生前贈与などが挙げられますが、こういった贈与に関する知識を怠ってしまうと、思わぬ贈与税が課されてしまう可能性があります。

 当ブログでは、今回から複数回にわたって、贈与税に関して間違えやすいポイントを解説していきます。

 第4回は相続時精算課税の概要・メリット・デメリットについてです。

 

相続時精算課税

 相続時精算課税とは、60歳以上の父母または祖父母から18歳以上の子・孫への生前贈与について利用できる制度で、受贈者が基礎控除(110万円)控除後の贈与価格が合計2,500万円になるまで贈与税を納めずに贈与を受けることができ、贈与者が亡くなった時に、贈与財産の贈与時の価額と相続財産の価額とを合計した金額から相続税額を計算し、一括して相続税として納税しますこの制度を選択する場合には、贈与を受けた年の翌年の2月1日から3月15日の間に贈与税の申告書とは別に一定の書類を添付して提出します。

 相続時精算課税の税率は、基礎控除(110万円)控除後の贈与価格合計が特別控除額2,500万円を超えた場合、特例税率超えた部分について一律で20%の税率が課されます。特別控除額は贈与者ごとに2,500万円ですので、贈与者の別に暦年課税もしくは相続時精算課税で申告します。複数の相続時精算課税を適用する場合、110万円の基礎控除額は按分計算をします。

 この制度は、贈与した年の1月1日において、贈与者が60歳以上、受贈者が18歳以上である必要があり、贈与した時点で、受贈者が贈与者の直系卑属である推定相続人または孫である必要があります。推定相続人は必ずしも実子だけとは限らず、養子も該当しますが、養子縁組以前に贈与を受けたとしても、相続時精算課税の適用は受けられません。

 

相続時精算課税を適用した贈与者に相続開始があった場合

 相続時精算課税を適用した贈与者に相続開始があった場合、相続財産に生前の贈与財産の価格が加算されます(2024年1月1日以後の贈与については各年の贈与財産の価格から110万円を控除します。)。孫は原則として相続人ではありませんが、相続時精算課税を適用していた場合には必ず相続税の納税義務者となり、2割加算の適用もありますので注意しましょう。

 なお、相続時精算課税によって贈与を受けた土地や建物が、贈与者の相続開始時までに災害等により一定の被害を受けた場合、被害を受けた金額を控除することができます。

 

相続時精算課税のメリット・デメリット

 相続時精算課税はメリットとデメリットがどちらも大きい制度です。その両方を理解した上で適用するか否かを判断する必要があります。

相続時精算課税のメリット

① 一度に高額の資金を贈与しやすくなる

 特別控除額が2,500万円あることにより、贈与税の負担なく、一度に資金を移動することができます。これにより、高額な資産を購入することも可能になります。

② 贈与した財産の価値が相続時に上昇したとしても、贈与時の価格で評価される

 贈与した財産の価値が相続時に上昇したとしても、贈与時の価格で評価されるため、相続時に計算されたであろう財産の価格よりも低い価格で、財産を移転させることができます。

③ 複数人と相続時精算課税を適用することができる

 例えば、両親及びそれぞれの祖父母の合計6人と、それぞれ相続時精算課税を適用した場合、合計で1億5000万円について、贈与税をかけずに贈与することができます。

④ 暦年贈与よりも低い税率で贈与をすることができる

 特別控除額2,500万円を超えたとしても、超えた部分に対して20%の税率で贈与をすることができます。暦年課税の場合は財産価格が大きいと、20%よりも大きい税率がかかる場合があるため、暦年課税よりも低い税率で贈与ができる可能性もあります。

相続時精算課税のデメリット

① 相続時精算課税の適用を受けた後の贈与財産は、すべて相続税の課税価格に加算される

 暦年課税の場合、相続開始前7年以内の贈与を加算しますが、相続時精算課税の場合、適用を受けた後の贈与財産は、たとえ何年前の贈与であったとしても、すべて相続税の課税価格に加算されるため、それらを正確に把握しておく必要があります。

② 贈与した財産の価値が相続時に下落したとしても、贈与時の価格で評価される

 贈与した財産の価値が相続時に下落したとしても、贈与時の価格で評価されるため、相続時に計算されたであろう財産の価格よりも高い価格で、財産を移転しなければいけなくなる場合があります。

③ 小規模宅地等の特例が適用できない

 相続時精算課税を適用した後、生前に自宅を贈与したとしても、小規模宅地等の特例を適用することはできません。

④ 他の相続人と揉める可能性がある

 相続時精算課税によって多くの財産を贈与してしまうと、遺留分を侵害してしまう可能性もあり、他の相続時精算課税を適用しておらず、生前贈与をあまり受けていない相続人がいた場合、相続の際に揉める場合があります。また、相続時精算課税を適用することによって、過去の贈与を全て相続財産に加算しなければならなくなり、結果的に暦年課税を選択した相続人が多くの相続税を払わなければいけなくなるケースも考えられます。

⑤ 一度相続時精算課税を選択した場合、暦年課税に戻ることはできない

 一度相続時精算課税を選択した場合、暦年課税に戻ることはできないため、上記のデメリットを適切に把握していないと、思わぬ負担が発生してしまう可能性があります。

 

まとめ

 いかがだったでしょうか。

 今回は相続時精算課税の概要ならびにメリットデメリットについて解説しました。特にメリットデメリットに関して、前述したように相続時精算課税は一度適用すると後戻りはできない制度であるため、専門家とよく相談の上、適用するようにしましょう。

 次回は相続時精算課税制度のその他の論点について解説します。

 磯会計センターでは、茨城でお困りの中小事業主様や個人事業主様に、会計・税務から補助金・融資・労務など幅広くサポートをしておりますので、お悩み事がございましたらぜひお気軽にご相談ください。

 

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