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意外と知らない健康保険の落とし穴について社労士が解説!⑨〜標準報酬月額の随時改定〜

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意外と知らない健康保険の落とし穴について社労士が解説!⑨〜標準報酬月額の随時改定〜

意外と知らない健康保険の落とし穴について社労士が解説!⑨〜標準報酬月額の随時改定〜

2025/07/07

はじめに

 健康保険は、企業に勤める従業員やその被扶養者が業務上以外の理由で病気や怪我、死亡、出産をした場合に、保険給付を行うことを目的とした社会保障制度のひとつです。健康保険制度は医療保険制度の基本であり、高齢化の進展や、疾病構造の変化、社会経済状況の変化等に応じて定期的に改正がなされているため、情報を常にアップデートする必要があります。当ブログでは、複数回にわたって健康保険に関する基本的な知識や、間違えやすい論点などを解説していきます。

 第9回は標準報酬月額の随時改定についてです。

 

標準報酬月額とは 【第7回掲載済み】

  標準報酬月額とは、健康保険料の金額を算出する際に用いる、従業員の給与を段階的に区分して表したものです。

 標準報酬月額による健康保険料は都道府県や健康保険組合ごとに異なります。例えば茨城県の協会けんぽにおける令和7年3月分(4月納付分)からの健康保険料の保険料額表は下記のとおりです。

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 標準報酬の対象となる報酬は、基本給のほか、家族手当、通勤手当、住宅手当、残業手当等、労働の対償として事業所から現金又は現物で支給されるすべてのものを指します。ただし、臨時に受けるもの及び3月を超える期間ごとに受けるものは、報酬から除かれます。現物給与に関しては、都道府県ごとに定められた、その地方の時価によって決定されます。

また、2以上の事業所にて勤務している従業員は、それぞれの事業所で受け取る報酬を合計したものをもって、1つの標準報酬月額を決定し、それによって決定した健康保険料を、報酬の割合によって按分します。

 

随時改定とは

 随時改定とは、資格取得時決定被保険者(従業員)の報酬が大きく変動した場合に、標準報酬月額を見直す手続きのこといいます。報酬の大幅な変動があったときに、実態に合った保険料にすることによって、健康保険や厚生年金保険の保険料を適正にするための手続きとなります。

随時改定によって標準報酬月額が改定されるのは次の要件を全て満たしたときです。

① 固定的賃金の変更または賃金体系の変更があったこと

② 変動月以降継続した3月間のいずれの月も報酬支払基礎日数が17日(4分の3未満短時間労働者は11日)以上あること

③ 変動月以降継続した3月間の報酬平均による標準報酬月額が、現在の標準報酬月額と比べて、原則2等級以上の差があること

下記にて、それぞれの要件について詳しく解説していきます。

 

① 固定的賃金の変更または賃金体系の変更があったこと

固定的賃金の変更

 固定的賃金とは、毎月決まって支給される報酬のことで、金額や支給の有無が労働時間や成績などに左右されない給与項目を指します。月給・日給・時給などはもちろんのこと、家族手当、住宅手当など、固定的な手当も固定的賃金に含まれます。

 一方、非固定的賃金とは、毎月の金額や支給の有無が変動する報酬のことです。残業手当や臨時手当、賞与などはこちらに該当するため、これらが増減したとしても、随時改定の対象とはなりません。

賃金体系の変更

賃金体系の変更とは、日給が月給に変わったり、新たな手当が創設・廃止されたりするように、給与の支給体系が変更されることをいいます。よって、前述した非固定的賃金であったとしても、新たに創設されたり廃止されたりする場合には、随時改定の対象となります。

 

② 変動月以降継続した3月間のいずれの月も報酬支払基礎日数が17日(4分の3未満短時間労働者は11日)以上あること

 継続した3月間の全ての月で報酬支払基礎日数が17日以上ですので、17日未満の月が1月でもある場合は、随時改定の対象外となります

 なお、4分の3未満短時間労働者については、『意外と知らない健康保険の落とし穴について社労士が解説!⑦〜標準報酬月額の定時決定〜』にも記載がありますので、こちらも併せて参考にしてください。

 

③ 変動月以降継続した3月間の報酬平均による標準報酬月額が、現在の標準報酬月額と比べて、原則2等級以上の差があること

 3月間の報酬平均による標準報酬月額であり、3月間の標準報酬月額の平均ではないので注意しましょう。

 また、原則2等級の差があることと説明しましたが、下記の場合には1等級の差であっても随時改定の対象となります。

 ・第1等級の者(報酬月額が53,000円未満の場合に限る)が、第2等級となる場合

 ・第2等級の者が、第1等級(報酬月額が53,000円未満の場合に限る)となる場合

 ・第49等級の者が、第50等級(報酬月額が1,415,000円以上の場合に限る)となる場合

 ・第50等級の者(報酬月額が1,415,000円以上の場合が、第49等級となる場合

 

随時改定の改定月・届出

随時改定の改定月

 随時改定は、上記のすべての要件を満たした月の翌月から改定されます。そして改定月が1月〜6月の場合、その年の8月までが有効期間となり、改定月が7月〜12月の場合、翌年の8月までが有効期間となります。ただし、これらの有効期間内に、他の改定がなされる場合には、他の改定による改定月の前月までが有効期間となります。

随時改定の届出

 随時改定の届出は、特に期限が定められているわけではありませんが、速やかに「健康保険被保険者報酬月額変更届」を提出することとされています。健康保険被保険者報酬月額変更届の記載方法については、下記を参考にしてください。

(出典:日本年金機構 健康保険・厚生年金保険 被保険者報酬月額変更届/厚生年金保険 70歳以上被用者月額変更届(記入例)

 

まとめ

 いかがだったでしょうか。

 随時改定を適切に管理することは、保険料の適正化だけでなく、企業としてのコンプライアンス遵守にもつながります。小さな見落としが大きなトラブルにつながらないよう、制度理解と定期的なチェック体制を整えていきましょう。現在は便利な電子申請(参考:日本年金機構H P)による提出も可能となっていますので、こちらも併せて確認いただくと良いかと思います。

 次回は、標準報酬月額の育児休業等終了時改定について解説します。

 磯会計センターでは、茨城でお困りの中小事業主様や個人事業主様に、会計・税務・労務から補助金・融資など幅広くサポートをしておりますので、お悩み事がございましたらぜひお気軽にご相談ください。

 

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