意外と知らない健康保険の落とし穴について社労士が解説!⑥〜健康保険の被扶養者〜
2025/06/16
はじめに
健康保険は、企業に勤める従業員やその被扶養者が業務上以外の理由で病気や怪我、死亡、出産をした場合に、保険給付を行うことを目的とした社会保障制度のひとつです。健康保険制度は医療保険制度の基本であり、高齢化の進展や、疾病構造の変化、社会経済状況の変化等に応じて定期的に改正がなされているため、情報を常にアップデートする必要があります。当ブログでは、複数回にわたって健康保険に関する基本的な知識や、間違えやすい論点などを解説していきます。
第6回は健康保険の被扶養者についてです。
健康保険の被扶養者の要件
健康保険の「被扶養者」とは、健康保険の被保険者に扶養されている家族のことを指します。被扶養者として認定されるには、下記の一定の条件を満たす必要があります。
① 日本国内に住所を有すること、もしくは日本国内に生活の基礎があると認められること
日本国内に住所を有していても、例えば下記の場合には被扶養者にはなれません。
・日本国籍を有しないもので、医療滞在ビザで来日し、長期間日本国内で医療を受けるもの
・日本国籍を有しないもので、ロングステイビザで来日し、1年以内の期間で長期的に滞在するもの
また、日本国内に生活の基礎があると認められるのは、次の場合です。
・外国において留学をする学生
・外国に赴任する被保険者に同行するもの(海外赴任中に出生した被保険者の子や、海外赴任中に結婚した被保険者の配偶者も含まれます。)
・就労以外の目的で一時的に海外に渡航するもの
② 後期高齢者医療の被保険者等でないこと
③ 被保険者に生計維持されている一定の親族の範囲内であること
具体的には、下記の範囲にいることが条件です。
A. 配偶者(事実婚を含みます。)
B. 直系尊属
C. 子、孫、兄弟姉妹
D. 3親等内の親族(上記A〜Cを除きます。また、事実婚の場合は対象外です。)
E. 事実婚の配偶者の父母、子
F. 事実婚の配偶者の死亡後のその父母、子
また、生計を維持されているかどうかについては、次の基準によって判定されます。
A. 対象者が被保険者と同一の世帯に属している場合
(原則) 対象者の年間収入が130万円未満であって、かつ、被保険者の年間収入の2分の1未満である場合、被扶養者と認定されます。
(例外) 原則の要件を満たさない場合は、対象者の年間収入が130万円未満であって、かつ、被保険者の年間収入を上回らない場合に限り、世帯の生計の状況を総合的に勘案して、被保険者がその世帯の生計維持の中心的役割を果たしていると認められる時は、被扶養者と認定されます。
B. 対象者が被保険者と同一の世帯に属していない場合
・対象者の年間収入が130万円未満であって、かつ、被保険者からの仕送り額が年収よりも多い場合、被扶養者と認定されます。(例外なし)
④ 被保険者と同一の世帯に属すること(上記D、E、Fの場合のみ)
「同一世帯に属する」というのは、被保険者が世帯主であることや、被保険者度同一戸籍内にあることは問いません。あくまで被保険者と住居や家計を共同にしているものを指します。入院や障害者施設等への入居で一時的に別居するような場合であっても、被扶養者の認定は取り消されないとされています。
年間収入について
・130万円未満の壁について、対象者が60歳以上である場合や、障害厚生年金の受給者である場合には、180万円未満と読み替えることとなります。
・年間収入は、過去、現在、将来の収入の見込み等から勘案して、今後1年間の収入によって判定されます。よって、繁忙期等で一時的に収入が増加した場合であっても、直ちに被扶養者から外れるものではありません。
・年間収入は、給与収入だけでなく、年金、家賃収入はもちろん、傷病手当金や、失業等給付等など、すべての収入を対象とします。
・個人事業主が被扶養者の認定を受けようとする場合、年間収入の計算にあたっては、「事業収入 – 直接的な必要経費」が130万円未満かどうかで判断されます。この『直接的な必要経費』の考え方については、協会けんぽや各健康保険組合によって、判断が分かれているようですので、検討する際には、一度加入されている健康保険の事業所に確認することをお勧めします。
・夫婦共働きの場合、子供をどちらの扶養に入れるかどうかについては、原則として年間収入の多い方の被扶養者とすることとされています。ただし、年間収入の差額が1割以内である場合については、届出により主として生計を維持するものとしたものの被扶養者とすることができます。
まとめ
いかがだったでしょうか。
今回は130万円の壁と言われる被扶養者の要件について解説しました。以前の『意外と知らない健康保険の落とし穴について社労士が解説!③〜パート・アルバイトの健康保険の加入条件〜』でも解説したように、130万円の壁を超えてしまっているのにも関わらず届出を忘れていたということにならないように、少なくとも1年に1回は被扶養者の確認するようにしましょう。
次回は、標準報酬月額の定時決定について解説します。
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