意外と知らない健康保険の落とし穴について社労士が解説!④〜一般被保険者の資格取得・喪失〜
2025/06/02
はじめに
健康保険は、企業に勤める従業員やその被扶養者が業務上以外の理由で病気や怪我、死亡、出産をした場合に、保険給付を行うことを目的とした社会保障制度のひとつです。健康保険制度は医療保険制度の基本であり、高齢化の進展や、疾病構造の変化、社会経済状況の変化等に応じて定期的に改正がなされているため、情報を常にアップデートする必要があります。当ブログでは、複数回にわたって健康保険に関する基本的な知識や、間違えやすい論点などを解説していきます。
第4回は一般被保険者の資格取得時期・届出についてです。
一般被保険者の資格取得時期・届出
資格取得時期
一般被保険者は、次の日に被保険者の資格を取得します。
① 適用事業所に使用されるに至った日
② 使用される事業所が適用事業所・又は任意適用事業所となった日
③ 適用除外に該当しなくなった日
一般被保険者については、例外なく事由が生じた当日に資格を取得します。仮に試用期間があったとしてもその期間について資格取得を遅らせることはできません。なお、①でいう「使用されるに至った日」というのは、雇用契約が締結された日とは限りません。雇用契約の前から使用関係が発生していることが発覚した場合は、事実の日に遡って資格取得が行われるため注意しましょう。
また、当初から自宅待機した場合であっても、雇用契約が成立しており、かつ、休業手当が支払われるときは、資格取得することとなります。
反対に、実質的に使用関係がないものが、偽って資格を取得し保険給付を受けた場合は、その資格を取り消し保険給付も返還することとなります。
資格取得届出
一般被保険者の資格の取得に関する届出は、当該事実があった日から「5日以内」に、健康保険被保険者資格取得届を年金事務所もしくは健康保険組合に提出することとなります。一例として日本年金機構の資格取得届の記載例を添付しますが、同時に保険料徴収する場合や、健康保険組合に提出する場合などは他の書類が必要になりますので、必ず該当のH P等を確認した上で、届出を行うようにしましょう。

参考:日本年金機構H P
一般被保険者の資格喪失時期・届出
資格喪失時期
一般被保険者は、次の日の翌日に被保険者の資格を喪失します。
① 死亡した日
② 適用事業所・任意適用事業所に使用されなくなった日
③ 適用除外の規定に該当した日
④ 任意適用事業所の取り消しの認可があった日
例外的に資格喪失事由が発生した日にさらに一般被保険者の資格を取得する場合は、その日に一般被保険者の資格を喪失します。
なお、同じ事業所において一旦退職した者が1日の空白もなく再雇用された場合は、原則として被保険者の資格は継続することとなりますが、60歳以上の者が退職する場合は、資格喪失届と資格取得届を提出しても問題ないこととなっています。これは、改めて資格取得届出をすることによって、すぐさま再雇用時の標準報酬月額にて再度社会保険料を計算できるようにするための措置です。
反対に、同じ事業所において一旦退職した者が、1日でも空白を設けて再雇用された場合は、原則は被保険者資格は一旦喪失されますが、保険料の徴収を逃れる目的などで、意図的に期間を空けている場合は、事実上の使用関係が中断することなく存続していると認められて、被保険者資格は継続することとされています。
解雇の効力について裁判等で係争中の場合
解雇の効力について裁判等で係争中の場合は、一旦資格は喪失したものとして取り扱うこととされています。その後仮に解雇無効の判決がなされた場合は、訴求して資格喪失の処理を取り消されることとなり、保険料徴収が行われることとなります。係争中に療養の給付が行われなかった部分がある場合は、後日療養費が支給されることとなります。
登録型派遣労働者の資格喪失
登録型派遣労働者については、派遣就業に係る雇用契約が終了した後に、1月以内に同一の派遣元の事業主のもとで別の派遣就業に係る雇用契約が開始する場合には、派遣元において使用関係が継続しているものとして、資格喪失手続きは不要とされています。1月を経過するか、新たな雇用契約が開始することが見込まれないことが確実となった場合に、使用関係が終了し資格喪失となります。
資格喪失届出
一般被保険者の資格の喪失に関する届出は、当該事実があった日から「5日以内」に、健康保険被保険者資格喪失届を年金事務所もしくは健康保険組合に提出することとなります。一例として日本年金機構の資格喪失届の記載例を添付しますが、状況に応じた添付書類が必要になりますので、必ず該当のH P等を確認した上で、届出を行うようにしましょう。

参考:日本年金機構H P
まとめ
いかがだったでしょうか。
被保険者資格の取得や喪失に関する届出は、そこまで面倒な手続きではないにしろ、頻繁に従業員の入退社があるような会社ではかなり工数がかかる作業になるかと思います。提出漏れを防ぐ観点からも、専門家にお任せするのも一つの手段かと思います。
次回は、任意継続被保険者について解説します。
磯会計センターでは、茨城でお困りの中小事業主様や個人事業主様に、会計・税務・労務から補助金・融資など幅広くサポートをしておりますので、お悩み事がございましたらぜひお気軽にご相談ください。
(※ 当該記事は投稿時点の法令等に基づいて掲載しております。当ウェブサイト上のコンテンツについて、できる限り正確に保つように努めていますが、掲載内容の正確性・完全性・信頼性・最新性を保証するものではございません。)
----------------------------------------------------------------------
株式会社磯会計センター
〒308-0844
茨城県筑西市下野殿852-3 メゾンルーチェⅡ
電話番号 : 0296-24-3630
FAX番号 : 0296-25-1588
----------------------------------------------------------------------