相続税の基礎知識を税理士が解説!⑫〜相続税の配偶者控除〜
2025/05/29
はじめに
相続税は、亡くなった人から相続人等が相続や遺贈などにより財産を取得した場合に課税される税金です。厚生労働省の「人口動態統計」によると、2022(令和4)年の死亡者数は1,569,050人で、そのうち相続税が課税された割合は9.6%と、約10人のうち約1人が相続税を支払っているということとなります。
相続税は所得税や消費税などとは異なり、一生のうちに何度も経験することはなく、難しい印象があるかと思います。実際に相続税の計算をするまでには、遺産分割から財産評価、特殊な税法の知識などの理解が必要です。
当ブログでは、今回から複数回にわたって、相続税に関して間違えやすいポイントを解説していきます。
第12回は相続税の配偶者控除についてです。
配偶者控除
相続税における配偶者控除とは、被相続人の配偶者が相続を受けた財産のうち、法定相続分又は1億6,000万円のどちらか多い金額まで相続税の対象から除くことができる制度です。
配偶者控除を適用するための要件や注意事項は下記のとおりです。
① 配偶者控除を適用するためには、相続税の申告をする必要があります。そのため、相続財産が1億6,000万円以下であっても、相続税を申告しなければ、配偶者控除は受けられません。
② 配偶者控除が適用できる配偶者は、婚姻届出をしたものに限ります。よって、内縁関係にあるものなどは配偶者控除の対象とはなりません。
③ 相続財産は、相続時に取得した財産だけでなく、相続時精算課税によって取得した財産や、相続開始前7年以内に被相続人から贈与により取得した財産も含まれます。
④ 配偶者控除は、配偶者が遺産分割等によって実際に取得したものに限ります。つまり、相続税の申告期限までに分割されていない財産は、原則として配偶者控除の対象にはなりません。しかし、相続税の申告書または更正の請求書に「申告期限後3年以内の分割見込書」を添付した上で、申告期限までに分割されなかった財産について申告期限から3年以内に分割したときは、配偶者控除を適用することができます。なお、相続税の申告後に行われた遺産分割に基づいて配偶者の税額軽減を受ける場合は、分割が成立した日の翌日から4か月以内に更正の請求をする必要があります。
⑤ 相続税の申告期限前に配偶者が死亡した場合、残りの相続人と、配偶者の相続人が遺産分割することとなります。その際に、配偶者が取得した財産として確定させたものがあるときは、その配偶者が取得したものとして、配偶者控除を適用することができます。
⑥ 配偶者控除を適用する場合、配偶者控除の明細を記載した相続税の申告書の他に、下記の書類を添付する必要があります。
・戸籍謄本
・遺言書の写しや遺産分割協議書の写しなど、配偶者の取得した財産が分かる書類
(遺産分割協議書の写しには、遺産分割協議書に押印した相続人全員の印鑑証明書も添付する必要があります。)
まとめ
いかがだったでしょうか。
配偶者控除は、相続税においてとても大きな控除であるため、うっかり要件を見落とすことのないようにしましょう。また、配偶者控除は2次相続の関係などによっては、必ずしもメリットばかりではない可能性もあります。これらのことを総合的に勘案するためにも、専門家と相談の上適用することをお勧めします。
次回は相続税額の2割加算について解説します。
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