意外と知らない健康保険の落とし穴について社労士が解説!③〜パート・アルバイトの健康保険の加入条件〜
2025/05/26
はじめに
健康保険は、企業に勤める従業員やその被扶養者が業務上以外の理由で病気や怪我、死亡、出産をした場合に、保険給付を行うことを目的とした社会保障制度のひとつです。健康保険制度は医療保険制度の基本であり、高齢化の進展や、疾病構造の変化、社会経済状況の変化等に応じて定期的に改正がなされているため、情報を常にアップデートする必要があります。当ブログでは、複数回にわたって健康保険に関する基本的な知識や、間違えやすい論点などを解説していきます。
第3回はパート・アルバイトの健康保険の加入条件についてです。
パート・アルバイトの健康保険の加入条件:106万円の壁
原則として、パート・アルバイトといった短時間労働者についても、使用関係があるのであれば、法人の役員や実習生、試用期間中の従業員などの形態に関係なく、健康保険の被保険者となります。
しかし、1週の所定労働時間および1月の所定労働日数が常時雇用者の4分の3未満であり、かつ、下記のいずれかに該当する場合には、健康保険の適用除外とされています。
A. 週の所定労働時間が20時間未満 ※1
B. 所定内賃金が月額8.8万円未満 ※2
C. 高等学校の生徒、大学または短期大学の学生、専修学校に在学する生徒等 ※3
D. 短時間労働者を除く厚生保険の被保険者の総数が、50人を超える企業(特定適用事業所※4)以外に属している
※1 「所定労働時間」が週単位で定まっていない場合は算定のように算定します。
・1カ月単位で定められている場合
⇨1カ月の所定労働時間を12分の52で除して算定します。なお、特定の月に例外的な長短がある場合は当該月を除いて算定します。
・1年単位で定められている場合
⇨1年間の所定労働時間を52で除して算定します。
・1週間の所定労働時間が短期的かつ周期的に変動する場合
⇨その周期における1週間の所定労働時間の平均により算定します。
※2 各諸手当等を含めた賃金を月額に換算したものを元に算定しますが、次に掲げる賃金は除きます。
・結婚手当、賞与等、臨時に支払われる賃金および1月を超える期間ごとに支払われる賃金
・時間外労働、休日労働および深夜労働に対して支払われる賃金
・精皆勤手当、通勤手当、家族手当等、最低賃金法で算入しないことを定める賃金
※3 卒業した後も引き続き当該適用事業所に使用されることとなっている場合や、休学中、定時制課程および通信制課程に在学する場合、社会人大学院生等は除かれます。
※4 1年のうち6月間以上、短時間労働者を含む厚生年金の被保険者の総数が50人を超えることが見込まれる企業等のことを指します。
この規定は、上記のうち特に、『B. 所定内賃金が月額8.8万円未満』、つまり年間約106万円未満であれば、健康保険の加入対象にならないということで、「106万円の壁」ともいわれています。
注意していただきたいのは、上記の要件は「いずれか」に該当する場合ということですので、仮に年間106万円を超えたとしても、週の所定労働時間が20時間未満であったり、学生であったり、規模の小さい企業に属している場合には、健康保険の適用とならないということです。
ただし、特定適用事業所でなくても、次の者のうち過半数が同意することによって、事業主の申し出により「任意特定適用事業所」になることができます。この場合、残りのA〜Cの要件を満たしているかによって、被保険者に該当するかどうかが判断されます。
① 厚生年金保険の被保険者
② 1週の所定労働時間および1月の所定労働日数が常時雇用者の4分の3以上の短時間労働者
③ 上記のA〜Cの要件を満たす短時間労働者
④ 70歳以上の被用者(仮に70歳未満であれば厚生年金の被保険者となるもの)
⑤ 被保険者となっている事業主
パート・アルバイトの健康保険の加入条件:130万円の壁
上記の例でいえば、学生や特定適用事業所でない事業所で働いている場合は、被保険者とならないわけですが、その場合は上限なく働いても良いのかというと、そういうわけではありません。上記の判定において被保険者の適用除外となった場合であっても、年収が下記の場合には、扶養から外れてしまうため、健康保険の加入が必須となります。
| 世帯要件 | 認定対象者 | 認定対象者の年間収入等の要件 | ||
|
被保険者と 同一世帯にある場合 |
原則 | 130万円未満 | かつ |
被保険者の年収の 2分の1未満 |
| 60歳以上又は一定の障害者 | 180万円未満 | |||
|
被保険者と 同一世帯にない場合 |
原則 | 130万円未満 | かつ |
被保険者による 援助額より年収が少ない |
| 60歳以上又は一定の障害者 | 180万円未満 | |||
なお、ここでいう「年収」は、過去の収入や現在の収入から、今後1年間の収入を見込むものとして、判定が行われます。106万円の壁とは異なり、結婚手当、賞与等、残業代だけでなく、年金やありとあらゆる収入が含まれることとなります。
まとめ
いかがだったでしょうか。
パートやアルバイトの方が健康保険の被保険者になるか否かについては、皆さんが各自で気をつけていることかもしれませんが、経営者の方も106万円の壁や、130万円の壁を超えているのにも関わらず、届出を忘れていたということにならないように、随時確認を怠らないようにしましょう。
次回は、一般被保険者の資格取得時期・届出について解説します。
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