意外と知らない健康保険の落とし穴について社労士が解説!①〜健康保険の適用事業所〜
2025/05/12
はじめに
健康保険は、企業に勤める従業員やその被扶養者が業務上以外の理由で病気や怪我、死亡、出産をした場合に、保険給付を行うことを目的とした社会保障制度のひとつです。健康保険制度は医療保険制度の基本であり、高齢化の進展や、疾病構造の変化、社会経済状況の変化等に応じて定期的に改正がなされているため、情報を常にアップデートする必要があります。当ブログでは、複数回にわたって健康保険に関する基本的な知識や、間違えやすい論点などを解説していきます。
第1回は健康保険の適用事業所についてです。
適用事業所
適用事業所とは、その名の通り健康保険を適用する事業所を指しますが、細かくは強制適用事業所と任意適用事業所に区分されます。
強制適用事業所
強制適用事業所は、法律上当然に健康保険の適用を受ける事業所を指します。具体的には下記のいずれかの要件に該当する事業所です。
① 適用業種である事業の事業所であって、常時5人以上の従業員を使用するもの
適用業種である事業の事業所とは、「法定17業種」と呼ばれる下記の業種です。
・物の製造、加工、選別、包装、修理又は解体の事業
・土木、建築その他工作物の建設、改造、保存、修理、 変更、破壊、解体又はその準備の事業
・鉱物の採掘又は採取の事業
・電気又は動力の発生、伝導又は供給の事業
・貨物又は旅客の運送の事業
・貨物積みおろしの事業
・焼却、清掃又はと殺の事業
・物の販売又は配給の事業
・金融又は保険の事業
・物の保管又は賃貸の事業
・媒介周旋の事業
・集金、案内又は広告の事業
・教育、研究又は調査の事業
・疾病の治療、助産その他医療の事業
・通信又は報道の事業
・社会福祉法に定める社会福祉事業及び更生保護事業法に定める更生保護事業 ・弁護士、公認会計士その他政令で定める者が法令の規定に基づき行うこととされている
法律又は会計に係る業務を行う事業
② 国・地方公共団体・法人
よってそれ以外の個人事業主としての、「農林水産業等の第1次産業の事業」「接客娯楽業」「神社、寺院、教会等の宗教業」は、強制適用事務所とはなりません。
また、強制適用事業所の要件を満たしている限り、たとえ全従業員の同意があったとしても、適用事業所でなくすことはできません。
任意適用事業所(任意包括事業所)
強制適用事業所以外の事業所であっても、被保険者となるべき従業員の2分の1以上の同意を得て、厚生労働大臣の認可を受けることによって、適用事業所となることができます。このような方法で健康保険の適用事業所となった事業所を任意適用事業所といいます。
任意適用事業所となった場合、同意を得る際に不同意であった従業員も含めて、包括的に被保険者となります。
任意適用事業所の場合は、被保険者のうち4分の3以上の同意を得て、厚生労働大臣の認可を受けることによって、認可のあった翌日に、適用事業所でなくすことができます。
また、強制適用事業所が、従業員が減少したり業種が変更したりすることによって、強制適用事業所の要件を満たさなくなる場合があります。この場合は任意適用の申請をすることなく、自動的に任意適用があったものとみなされます。
適用事業所のまとめ

(出典:厚生労働省 個人事業所に係る適用範囲の在り方について)
適用事業所に関する届出
初めて適用事業所となった際には、5日以内に「新規適用届」「被保険者資格取得届」「被扶養者(異動)届」を提出する必要があります。いずれも日本年金機構のHPに、記載例とともに掲載されていますので、ご確認いただければと思います。
(出典:日本年金機構HP)
新規適用届を提出するときは、必要に応じて下記の添付書類を添付します。
・法人登記簿謄本原本(法人事業所のみ。90日以内に交付されたもの)
・事業主世帯全員の住民票原本(個人番号の記載がないもの)(個人事業主のみ。90日以内に発行されたもの)
・公租公課の領収書(個人事業主のみ。原則1年分・コピー可)
任意適用事業所の申請にあたっては、「任意適用申請書」を提出する必要があります。
任意適用申請書を提出するときは、必要に応じて下記の添付書類を添付します。
・任意適用同意書:従業員の2分の1以上の同意を得たことを証する書類
・事業主世帯全員の住民票原本(個人番号の記載がないもの)(90日以内に発行されたもの)
・賃貸借契約書のコピー等、事業所所在地の確認できるもの(事業所の所在地が個人事業主の住民票の住所と異なる場合)
・公租公課の領収書(原則1年分・コピー可)
反対に、適用事業所が休止、廃止等の事情、任意適用事業所が被保険者の4分の3以上の同意により、脱退が認可された場合等により適用事業者に該当しなくなった際には、5日以内に「適用事業所全喪届」を提出する必要があります。
適用事業所全喪届を提出するときは、必要に応じて下記の添付書類を添付します。
(原則)下記(1)、(2)のいずれか
(1)解散登記の記入がある法人登記簿謄本のコピー(破産手続廃止または終結の記載がある閉鎖登記簿謄本のコピーでも可)
(2)雇用保険適用事業所廃止届(事業主控)のコピー
(原則の添付ができない場合)下記(3)~(9)のいずれか
(3)給与支払事務所等の廃止届のコピー
(4)合併、解散、休業等異動事項の記載がある法人税、消費税異動届のコピー
(5)法人等の事務所等閉鎖届のコピー
(6)労働保険概算・増加概算・確定保険料申告書のコピー(事業廃止等年月日の記載があるもの)
(7)休業等の確認ができる情報誌、新聞等のコピー
(8)事業廃止等を議決した取締役会議事録のコピー
(9)その他、適用事業所に該当しなくなったことを確認できる書類
(任意適用事業所が任意に脱退する場合)下記(10)および(11)
(10)任意適用取消申請書
(11)被保険者の4分の3以上の同意を得たことを証する書類(当該事業所の被保険者が0人の場合には、当該同意書は不要)
まとめ
いかがだったでしょうか。
個人事業主であっても、要件に該当する場合には、適用事業所となる場合があります。また、要件を満たさなくとも適用事業所となれる場合がありますので、専門家とも相談の上検討するようにしましょう。
次回は、被保険者の具体例について解説します。
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