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相続税の基礎知識を税理士が解説!⑨〜特定事業用宅地等〜

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相続税の基礎知識を税理士が解説!⑨〜特定同族会社事業用宅地等〜

相続税の基礎知識を税理士が解説!⑨〜特定同族会社事業用宅地等〜

2025/05/08

はじめに

 相続税は、亡くなった人から相続人等が相続や遺贈などにより財産を取得した場合に課税される税金です。厚生労働省の「人口動態統計」によると、2022(令和4)年の死亡者数は1,569,050人で、そのうち相続税が課税された割合は9.6%と、約10人のうち約1人が相続税を支払っているということとなります。

 相続税は所得税や消費税などとは異なり、一生のうちに何度も経験することはなく、難しい印象があるかと思います。実際に相続税の計算をするまでには、遺産分割から財産評価、特殊な税法の知識などの理解が必要です。

 当ブログでは、今回から複数回にわたって、相続税に関して間違えやすいポイントを解説していきます。

 第9回は小規模宅地等の特例の一つである、特定同族会社事業用宅地等についてです。

 

小規模宅地等の特例とは

 小規模宅地等の特例とは、個人が相続や遺贈によって取得した財産のうち、その相続開始の直前において被相続人等の事業の用または居住の用に供されていた宅地等のうち一定のものがある場合には、その宅地等のうち一定の面積までの部分について、相続税の課税価格が減額できる制度をいいます。相続人がこれらの宅地等を相続した場合、事業や居住の継続が不安なくできる様に配慮した特例となっています。この特例は宅地等が「特定居住用宅地等」「特定事業用宅地等」「特定同族会社事業用宅地等」「貸付事業用宅地等」に該当する場合にのみ適用可能となっています。

 

特定同族会社事業用宅地等とは

 特定同族会社事業用宅地等とは、一定の要件を満たした相続開始の直前から相続税の申告期限まで一定の法人の事業(不動産貸付業、駐車場業、自転車駐車場業および準事業を除きます。)の用に供されていた宅地のことを指します。一定の法人とは、相続開始の直前において被相続人および被相続人の親族等が法人の発行済株式の総数または出資の総額の50%超を有している場合におけるその法人をいいます。

 特定同族会社事業用宅地等について、小規模宅地の特例を適用するためには、相続税の申告期限において当該法人の役員であり、相続した宅地等を相続税の申告期限まで保有している必要があります。また、同族会社の事業の用に供されているということは、相続した宅地等を当該同族会社に貸し付けていることとなりますが、相当の対価(利益を得られる対価か、近隣相場並みの対価である必要があります。)を得て同族会社に宅地等を賃貸する必要があります。さらに、宅地等の上に建てられている建物等の所有者が、当該同族会社か、被相続人か、生計を一にする親族である必要もあります。

 

小規模宅地等の特例(特定同族会社事業用宅地等)の計算例

 小規模宅地等の特例を適用することによって、被相続人が所有していた特定同族会社事業用宅地等の評価額を引き下げることができます特定同族会社事業用宅地等を相続する場合における控除割合は下記の通りです。

 

選択する宅地等 限度面積

特定同族会社事業用宅地等の評価額が減額される割合

特定同族会社事業用宅地等のみの場合 400㎡ 80%
特定居住用宅地等と特定同族会社事業用等宅地等を併用する場合 合計730㎡ 80%
特定居住用宅地等と特定同族会社事業用等宅地等と貸付事業用宅地等を併用する場合

『(特定事業用等宅地等の面積)×200/400

+特定居住用宅地等の面積×200/330 +貸付事業用宅地等』の合計200㎡

80%

 

(計算例)

・被相続人の所有していた同族会社事業用宅地の面積:500㎡

・被相続人の所有していた同族会社事業用宅地の評価額:5,000万円

⇨(減額される評価額):5,000万円 × 400㎡ / 500㎡ × 80% = 4,000万円

⇨(評価額):5,000万円 - 4,000万円 = 1,000万円

 

相続税の申告時に必要な添付書類

 特定同族会社事業用宅地等について小規模宅地の特例を適用するためには、相続税の申告が必要です。相続税の申告の際に必要となる書類は下記の通りです。

条件 必要書類 備考
全員 

戸籍の謄本又は図形式の法定相続情報一覧図の写し

戸籍謄本は、相続開始日から10日以後に作成されたものである必要があります。
全員

遺言書の写し又は遺産分割協議書の写し

遺産分割協議書の場合、印鑑証明を受けている印鑑を各相続人が押印する必要があります。
全員

相続人全員の印鑑証明書

 
全員

申告期限後3年以内の分割見込書

申告期限内に分割ができない場合のみ必要になります。
全員 特定同族会社の定款の写し  
全員 株主一覧表(特定同族会社が証明したもの) 相続開始の直前において被相続人および被相続人の親族等が法人の発行済株式の総数または出資の総額の50%超を有していることを証明する必要があります。

 

その他の留意事項

 相続時精算課税に係る贈与によって取得した宅地等

 相続時精算課税に係る贈与によって取得した宅地等がある場合、当該宅地等は小規模宅地の特例を適用することができません。相続時精算課税は一度選択すると撤回できないため、慎重に検討する様にしましょう。

 役員要件及び株主要件

 特定同族会社事業用宅地等について小規模宅地の特例を適用する場合、被相続人が仮に一切株式を所有していなかったとしても、被相続人の親族等が法人の発行済株式の総数または出資の総額の50%超を有していれば問題ありません。また、被相続人には役員要件はありませんので、相続開始時に被相続人が役員でなかったとしても大丈夫です。また、相続人には役員要件がありますが、株主要件はありませんので、株式を一切所有していなかったとしても小規模宅地等の特例を適用することができます。

 宅地等が法人の社宅として利用されていた場合

 当該同族会社の従業員の社宅として、宅地等が利用されていたとしても、事業の用に供されている宅地等と認められるため、特定同族会社事業用宅地等に該当します。ただし、当該社宅を被相続人等の親族のみが使用している場合は、特例の適用は出来ないため注意しましょう。

 

まとめ

 いかがだったでしょうか。

 小規模宅地の特例は、宅地の評価額を大幅に削減できる制度ですが、場合によっては要件が複雑となり、提出しなければいけない書類も多くなります。万が一不備があり特例が適用できなくなってしまうと、追加で多額の相続税を支払わなければいけなくなってしまう可能性もあるため、適用にあたっては専門家に相談することをお勧めします。

 次回は小規模宅地の特例のうち、貸付事業用宅地等について解説します。

磯会計センターでは、茨城でお困りの中小事業主様や個人事業主様に、会計・税務から補助金・融資・労務など幅広くサポートをしておりますので、お悩み事がございましたらぜひお気軽にご相談ください。

 

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