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相続税の基礎知識を税理士が解説!⑦〜特定居住用宅地等〜

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相続税の基礎知識を税理士が解説!⑧〜特定事業用宅地等〜

相続税の基礎知識を税理士が解説!⑧〜特定事業用宅地等〜

2025/05/01

はじめに

 相続税は、亡くなった人から相続人等が相続や遺贈などにより財産を取得した場合に課税される税金です。厚生労働省の「人口動態統計」によると、2022(令和4)年の死亡者数は1,569,050人で、そのうち相続税が課税された割合は9.6%と、約10人のうち約1人が相続税を支払っているということとなります。

 相続税は所得税や消費税などとは異なり、一生のうちに何度も経験することはなく、難しい印象があるかと思います。実際に相続税の計算をするまでには、遺産分割から財産評価、特殊な税法の知識などの理解が必要です。

 当ブログでは、今回から複数回にわたって、相続税に関して間違えやすいポイントを解説していきます。

 第8回は小規模宅地等の特例の一つである、特定事業用宅地等についてです。

 

小規模宅地等の特例とは

 小規模宅地等の特例とは、個人が相続や遺贈によって取得した財産のうち、その相続開始の直前において被相続人等の事業の用または居住の用に供されていた宅地等のうち一定のものがある場合には、その宅地等のうち一定の面積までの部分について、相続税の課税価格が減額できる制度をいいます。相続人がこれらの宅地等を相続した場合、事業や居住の継続が不安なくできる様に配慮した特例となっています。この特例は宅地等が「特定居住用宅地等」「特定事業用宅地等」「特定同族会社事業用宅地等」「貸付事業用宅地等」に該当する場合にのみ適用可能となっています。

 

特定事業用宅地等とは

 特定事業用宅地等とは、一定の要件を満たした相続開始の直前において被相続人等の事業の用に供されていた宅地のことを指します。しかし、相続開始の直前において被相続人等の事業の用に供されていた宅地であっても、当該宅地が「3年以内事業宅地等」の場合には、小規模宅地の特例を適用することができません。

「3年以内事業宅地等」とは

「3年以内事業宅地等」とは、相続の開始前3年以内に新たに事業の用に供された宅地等を指します。しかし、「一定の規模以上の事業」を行っていた被相続人等の事業の用に供された宅地等については、3年以内事業宅地等に該当しません。「一定の規模以上の事業」とは、次の算式を満たす場合におけるその事業をいいます。

特定事業用宅地等の適用要件

特定事業用宅地等について、小規模宅地の特例を適用するためには、次の区分によっていくつかの要件があります。

① 被相続人の事業の用に供されていた宅地等の場合

 生前、被相続人の事業の用に供されていた宅地等であった場合は、その宅地等の上で営まれていた被相続人の事業を相続税の申告期限までに引き継ぎ、かつ、その申告期限まで、その宅地等の上で事業を営んでいることが要件となります。また、相続した宅地等を相続税の申告期限まで保有している必要があります。

 

② 被相続人と生計を一にしていた被相続人の親族の事業の用に供されていた宅地等

 被相続人と生計を一にしていた被相続人の親族の事業の用に供されていた宅地等の相続を受ける場合は、相続開始の直前から相続税の申告期限まで、その宅地等の上で事業を営んでいることが要件となります。また、相続した宅地等を相続税の申告期限まで保有している必要があります。

 

小規模宅地等の特例(特定事業用宅地等)の計算例

 小規模宅地等の特例を適用することによって、被相続人が所有していた事業用宅地の評価額を引き下げることができます特定事業用宅地等を相続する場合における控除割合は下記の通りです。

 

選択する宅地等 限度面積

特定居住用宅地等の評価額が減額される割合

特定事業用宅地等のみの場合 400㎡ 80%
特定居住用宅地等と特定事業用等宅地等を併用する場合 合計730㎡ 80%
特定居住用宅地等と特定事業用等宅地等と貸付事業用宅地等を併用する場合

『(特定事業用等宅地等の面積)×200/400

+特定居住用宅地等の面積×200/330 +貸付事業用宅地等』の合計200㎡

80%

 

(計算例)

・被相続人の所有していた事業用宅地の面積:500㎡

・被相続人の所有していた事業用宅地の評価額:5,000万円

⇨(減額される評価額):5,000万円 × 400㎡ / 500㎡ × 80% = 4,000万円

⇨(評価額):5,000万円 - 4,000万円 = 1,000万円

 

相続税の申告時に必要な添付書類

 特定事業用宅地等について小規模宅地の特例を適用するためには、相続税の申告が必要です。相続税の申告の際に必要となる書類は下記の通りです。

条件 必要書類 備考
全員 

戸籍の謄本又は図形式の法定相続情報一覧図の写し

戸籍謄本は、相続開始日から10日以後に作成されたものである必要があります。
全員

遺言書の写し又は遺産分割協議書の写し

遺産分割協議書の場合、印鑑証明を受けている印鑑を各相続人が押印する必要があります。
全員

相続人全員の印鑑証明書

 
全員

申告期限後3年以内の分割見込書

申告期限内に分割ができない場合のみ必要になります。

 

その他の留意事項

 相続時精算課税に係る贈与によって取得した宅地等

 相続時精算課税に係る贈与によって取得した宅地等がある場合、当該宅地等は小規模宅地の特例を適用することができません。相続時精算課税は一度選択すると撤回できないため、慎重に検討する様にしましょう。

 事業の一部を転業・廃業した場合

 特定事業用宅地等について小規模宅地の特例を適用するためには、その宅地等の上で事業を営んでいることが要件ですが、仮に事業の一部を他業種に転業した場合であっても、事業を継続していると見なされ特例の適用が受けることができます。しかし、事業用宅地の一部を貸付事業として転業した場合は、貸付事業部分は特定事業用宅地として認められません。また、事業の一部を廃業した場合も、廃業した事業部分の宅地は特定事業用宅地として認められません。

 個人の事業用資産についての相続税の納税猶予及び免除

特定事業用宅地等について小規模宅地の特例の適用を受けた場合には、小規模宅地の特例を適用した相続人だけでなく、すべての相続人について、「個人の事業用資産についての相続税の納税猶予及び免除」の適用を受けることができなくなるため、注意が必要です。

 

まとめ

 いかがだったでしょうか。

 小規模宅地の特例は、宅地の評価額を大幅に削減できる制度ですが、場合によっては要件が複雑となり、提出しなければいけない書類も多くなります。万が一不備があり特例が適用できなくなってしまうと、追加で多額の相続税を支払わなければいけなくなってしまう可能性もあるため、適用にあたっては専門家に相談することをお勧めします。

 次回は小規模宅地の特例のうち、特定同族会社事業用宅地等について解説します。

磯会計センターでは、茨城でお困りの中小事業主様や個人事業主様に、会計・税務から補助金・融資・労務など幅広くサポートをしておりますので、お悩み事がございましたらぜひお気軽にご相談ください。

 

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