融資に強い会社になろう!〜4.シンジケートローンの特徴〜
2024/05/31
はじめに
中小企業や個人事業主は、大企業に比べて資金力が乏しく、事業拡大のためには金融機関からの融資の存在は欠かすことができません。
しかし一言に融資といっても、どういった融資が自分に合っているのか、どのように金融機関と交渉したら良いのかなど、普段金融機関と接する機会のない事業主にとっては不安なことがたくさんあるかと思います。
当ブログでは今回から複数回にわたって、様々な融資に強い会社になるための知識を紹介します。
第4回はシンジケートローンの特徴について解説します。
シンジケートローンとは
シンジケートローンとは、複数の金融機関が協調してシンジケート団(複数の金融機関で結成される団体)を組成し、一つの契約書に基づき同一条件で融資を行う資金調達手法です。
シンジケートローンにおいてはシンジケート団をとりまとめる「アレンジャー」という幹事金融機関が存在します。企業のメインバンクがアレンジャーを務めるのが一般的で、事業主はアレンジャーに対して金利や返済期間などの貸出条件の設定を行います。そのほかにもアレンジャーは、参加する金融機関を募集※ したり、契約書の作成・締結を行なったりします。
また、基本的にアレンジャーは同様に「エージェント」にも就任します。エージェントは、参加金融機関の事務代行として、資金決済代行や、情報の伝達を行います。
※ 募集の方法は、事業主が取引していない新規取引金融機関も含めて募集する「ジェネラル・シンジケーション方式」と、事業主が取引している金融機関等、限られた金融機関のみを募集する「クラブ・ディール方式」があります。
シンジケートローンの種類
シンジケートローンの形態は、大きく分けて以下の3通りあります。
タームローン方式
証書貸付の形態をシンジケートローン方式で行う方法です。主に長期的な設備投資などで利用される傾向があります。
コミットメントライン方式
当座貸越の形態をシンジケートローン方式で行う方法です。主に短期的な運転資金などで利用される傾向があります。
コミット型タームローン方式
当座貸越の形態をシンジケートローン方式で行う方法ですが、資金調達時期が未確定の長期的な設備投資などで利用される傾向があります。
シンジケートローンのメリット・デメリット
メリット
① 多額の融資を同一条件で受けられる
シンジケートローンでは複数の金融機関が契約をするため、金融機関にとっては単独で融資を行うよりもリスクを抑えることができることから、多額の融資を実行できる可能性があります。また、すべての金融機関が同一の融資契約を実行するため、たとえば低金利を提示した金融機関に他の金融機関も併せることになるというメリットがあります。
② 新規の融資先の開拓が可能になる
シンジケートローンの募集方法によっては、事業主がこれまで取引したことのない金融機関と取引を開始することができるようになるため、今後の調達手段が多様化することとなり、リスク分散が可能になります。
③ 事務負担の軽減
通常複数の金融機関との融資を実行する場合、対応する時間や利息の交渉などの事務負担も融資の回数分行わなければならないですが、シンジケートローンであれば、契約の締結はアレンジャーとまとめて行うこととなるため、事業主の事務負担が軽減されます。
デメリット
① アレンジャーに対する手数料がかかる
シンジケートローンの融資の実行する場合は、アレンジャーに対してアレンジメントフィーとして融資額の数%の支払いが発生します。たとえば10億円の融資で料率が1.5%の場合、1,500万円の手数料が発生することとなるため、通常の融資よりも手数料はかなり多額となります。
② コベナンツ条項の設定
コベナンツ条項とは、契約書に記載される特約条項のことです。シンジケートローンの場合コベナンツ条項が設定されることが多く、情報開示義務や財務制限、事業維持などの条項がありますが、たとえば「経常利益が2期連続して赤字にならないこと」などの条項が設定される可能性もあるため、一般的な融資形態よりも厳しい経営状態が求められます。
まとめ
いかがだったでしょうか。
シンジケートローンは大企業ならではの融資形態かと思っている中小事業主の方もいらっしゃるかもしれませんが、最近は中小事業主もシンジケートローンを利用するケースが増えてきています。事業拡大のチャンスになる可能性もあるため、大規模な設備投資を検討しているような方は一度相談してみてはいかがでしょうか。
次回は事業計画書について解説します。
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