融資に強い会社になろう!〜1.金融機関の種類とその特徴〜
2024/05/24
はじめに
中小企業や個人事業主は、大企業に比べて資金力が乏しく、事業拡大のためには金融機関からの融資の存在は欠かすことができません。
しかし一言に融資といっても、どういった融資が自分に合っているのか、どのように金融機関と交渉したら良いのかなど、普段金融機関と接する機会のない事業主にとっては不安なことがたくさんあるかと思います。
当ブログでは今回から複数回にわたって、様々な融資に強い会社になるための知識を紹介します。
第1回は金融機関の種類とその特徴について解説します。
政府系金融機関
政府系金融機関は①株式会社日本政策金融公庫、②株式会社日本政策投資銀行、③株式会社商工組合中央金庫、④株式会社国際協力銀行、⑤沖縄振興開発金融公庫の5つがあります。なかでも①株式会社日本政策金融公庫及び③株式会社商工組合中央金庫が、中小企業や小規模事業者向けの金融機関となっています。なお、各都道府県にある信用保証協会も政府系金融機関の一種ではありますが、また別の回で詳細を解説いたします。
① 株式会社日本政策金融公庫
株式会社日本政策金融公庫(以下、日本公庫)は、一般の金融機関が行う金融を補完するために、「国民生活事業」「農林水産事業」「中小企業事業」※ を行う政府系金融機関です。
特徴としては、自然災害や経済環境の変化などによるセーフティネットとしての機能を有している点、創業支援や事業再生、新規事業展開などのニーズにあった融資制度の種類が豊富である点、民間金融機関と連携し、地域活性化に貢献する活動をしている点などが挙げられます。
特に創業時の無担保・無保証人の融資制度は創業時の実績が乏しい事業者にとっては最適な融資制度かと思います。
※ 各事業の業務内容は下記のとおりです。
「国民生活事業」:小規模事業者への事業資金融資のほか、入学資金などの教育資金融資などを行っています。
「農林水産事業」:農林漁業や食品産業に対する融資等の様々な支援事業などを行っています。
「中小企業事業」:中小企業に対して、融資、信用保険などを行っています。
② 株式会社日本政策投資銀行
株式会社日本政策投資銀行は、経済成長に必要不可欠なインフラ系の事業など、長期的に莫大な資金が必要な事業者に向けて金融サービス行う政府系金融機関です。中小企業や小規模事業者はあまり関わることがないですが、長期的な資金が必要な大企業にとっては欠かせない金融機関となっています。
③ 株式会社商工組合中央金庫
株式会社商工組合中央金庫(以下、商工中金)は、中小企業に対して民間と同様の融資を行なっている政府系金融機関です。特徴としては、日本公庫と同様、セーフティネットの役割を担っている点や、民間金融機関よりも一般的に金利が低いことなどが挙げられます。しかし、商工中金の融資を受けるためには指定団体に加入している必要があるため、利息とは別に年会費等が発生します。また、一定の企業規模要件もあります。
④ 株式会社国際協力銀行
株式会社国際協力銀行は、国際経済や国際金融に特化し、国を代表する産業向けに融資を行う政府系金融機関です。こちらも中小企業や小規模事業者はあまり関わることがないですが、国際的に競争を行っている大企業にとっては欠かせない金融機関となっています。
⑤ 沖縄振興開発金融公庫
沖縄振興開発金融公庫は、日本の本島における日本公庫などが行っている業務を一元的に取り扱う政府系金融機関です。 また、沖縄において様々な独自制度も併せて行っています。
民間金融機関
民間金融機関は大きく分けて、①信用金庫・信用組合、②地方銀行、③都市銀行があります。
① 信用金庫・信用組合
信用金庫・信用組合は、その地域の中小企業や個人事業主などに限定して融資を行う民間金融機関です。原則信用組合の構成員限定でないと融資が受けられず、金利も他と比べると割高となっていますが、実績が少ない創業時の小規模事業者であっても積極的に融資をしてくれる傾向があり、また、定期的な訪問や面談などがあるため、借入だけでなく様々な経営に関する相談ができる可能性があります。
② 地方銀行
地方銀行は、各都道府県の大企業から小規模事業者までの幅広い事業主に対して融資を行う民間金融機関です。信用金庫・信用組合と都市銀行の中間としての立ち位置であり、信用金庫よりは金利が低く融資限度額も大きいこと、また、都市銀行よりは融資を受けやすいといった特徴があるため、事業がある程度軌道に乗った段階であれば、都市銀行並みの融資提案を受けられる可能性もあります。
③ 都市銀行
都市銀行は、全国的に展開している民間金融機関です。融資限度額が信用金庫・信用組合や地方銀行よりも高いため、大規模な設備投資をしたい場合などは都市銀行がおすすめです。ただし、融資の審査も厳しいため、実績が乏しい創業時の事業者にはあまり向いていません。また、担当者も転勤等で比較的短期間で変更される可能性も高いため、信頼性の構築や細かな経営相談も他と比べると難しいと言えます。
各タイミングでの金融機関の利用方法
ここまで、様々な金融機関を紹介していきましたが、実際どういったタイミングで、どの金融機関を利用するのが良いのかについて解説します。
① 創業時
会社の創業時は、日本公庫の「新創業融資」や「新規開業融資」という制度がおすすめです。「新創業融資」は、原則無担保・無保証人で3,000万円まで融資を受けることができる制度で、「新規開業融資」は、国民生活事業で7,200万円、中小企業事業で7億2,000万円を限度とした融資が受けることができる制度です。また、低金利かつ審査のハードルも比較的低いため、まずは日本公庫の融資を検討しましょう。
② 設立初期
設立から2期目の決算を迎えるまでの事業者は実績が少なく、金融機関側も正確な財務内容の評価が困難であるため、融資を受けることは比較的難しいです。よってこの頃に融資を受ける場合には、信用保証協会による保証付融資が行われることが多いです。詳細については別の回で解説しますが、この保証付融資を早期に解消することが、以降の民間金融機関との取引を円滑に進めるポイントととなります。
③ 3期目以降
2期目の決算が終わるといよいよ金融機関も財務内容の把握が可能となるため、上記の保証付融資が解消できれば、企業規模によって金融機関を使い分けることが多いです。小規模事業者であれば信用金庫・信用組合を、中規模の企業であれば地方銀行を、大企業や大規模な事業に取り組もうとする場合は都市銀行を選択すると良いでしょう。
また、取引を行う金融機関は複数に分散させた方が、万が一経営状態が悪化した場合に、一部の金融機関から融資を断られるようなことがあったとしても、ダメージを少なく抑えることができリスク分散になるためです。
まとめ
いかがだったでしょうか。
今回は金融機関の種類について解説しましたが、金融機関でも様々な特徴やメリット・デメリットがあるため、自分の経営環境に応じた金融機関を選べるように心がけておくことが重要となります。
次回は保証付融資について解説します。
磯会計センターでは、茨城でお困りの中小事業主様や個人事業主様に、会計・税務から補助金・融資など幅広くサポートをしておりますので、お悩み事がございましたらぜひお気軽にご相談ください。
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