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【所得税】住宅ローン控除の論点を税理士が解説!〜①住宅を新築・取得した場合〜

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【所得税】住宅ローン控除の論点を税理士が解説!〜①住宅を新築・取得した場合〜

【所得税】住宅ローン控除の論点を税理士が解説!〜①住宅を新築・取得した場合〜

2024/04/29

はじめに

 皆様は住宅ローン控除を利用したことがありますでしょうか。

 マイホームの購入等に当たっては、通常金融機関から借入を行うこととなりますが、住宅ローンは人生においてとても大きな決断であり、相当なプレッシャーがかかるものかと思います。さらに住宅ローンは通常長期間にわたって金利負担が大きくのしかかり、経済的にも圧迫を受けることとなります。こうした負担を軽減するために制定されたのが住宅ローン控除(正式名称は「住宅借入金等特別控除」と言います。)です。

 今回はこの住宅ローン控除について、細かい論点を含め解説いたします。なお、今回は令和5年度の所得税の申告時点に基づく法令にて解説を行いますので、令和6年度の確定申告にあたって改正されたものが公表された場合には、順次解説いたします。

 なお、住宅ローン控除の基礎的な情報をまとめたものや、年末調整時に記入する「住宅借入金等特別控除申告書」の書き方などを、別途当ブログにて解説していますので、ぜひそちらも併せてご覧ください。

 

【基礎論点】所得税の仕組みを税理士が解説!⑮税額計算及び税額控除(住宅借入金等特別控除)

【2023年】年末調整の全てを徹底解説!⑤〜住宅借入金等特別控除申告書の書き方〜

 

住宅ローン控除の概要

 住宅ローン控除とは、個人が住宅ローン等を利用してマイホームの新築、取得または増改築等(以下「取得等」といいます。)をした場合で、一定の要件を満たすときに、その取得等に係る住宅ローン等の年末残高の合計額等を基として計算した金額を、居住の用に供した年分以後の各年分の所得税額から控除する制度のことをいい、細かく「住宅借入金等特別控除」と「特定増改築等住宅借入金等特別控除」に分かれます 。

 第1回は住宅を新築・取得した場合の住宅ローン控除について、要件や控除額について解説いたします。

※ 令和4年以後に住宅ローン等を利用し、特定の増改築等を行い居住の用に供した場合には、特定増改築等住宅借入金等特別控除を受けることができません。

 

住宅を新築・取得した場合の住宅ローン控除

 

適用要件

 住宅の新築・取得に際し、住宅ローン控除の適用を受けるためには、以下の要件を満たす必要があります。

番号 要   件
住宅の新築等の日から6か月以内に居住の用に供していること。

その年の年分の12月31日まで引き続き居住の用に供していること。

(個人が死亡した年に適用を受ける場合には、死亡した日まで引き続き住んでいること。)

次の①または②のいずれかに該当すること。

① 下記②以外の場合

 イ 床面積※1 50㎡以上であり、かつ、床面積の2分の1以上が居住用であること。

 ロ この特別控除を受ける年分の合計所得金額が2,000万円以下であること。

② 特例居住用家屋または特例認定住宅等の場合※2

 イ 住宅の床面積が40㎡以上50㎡未満であり、かつ、床面積の2分の1以上が居住用であること。

 ロ 合計所得金額が1,000万円以下であること。

住宅ローン※3 の返済期間が10年以上であること。
2以上の住宅を所有している場合には、主として居住の用に供すると認められる住宅であること。

居住年を含む前3年間に一定の譲渡所得の課税の特例の適用を受けていないこと※4 

7

居住年の翌年以後3年以内に居住した住宅以外の一定の資産を譲渡し、当該譲渡について

上記6に掲げる譲渡所得の課税の特例を受けていないこと。

8 生計を一にする親族や特別な関係のある者からの取得でないこと。
9 贈与による住宅の取得ではないこと。

 

※1 床面積の判断基準は、原則登記簿に表示されている床面積により判断します。(マンションの場合は、共有部分については床面積に含めず、登記簿上の専有部分の床面積で判断します。)

  また、店舗や事務所などと併用になっている住宅や、配偶者と共有する場合は、按分等はせずに建物全体の床面積によって判断します。

※2 特例居住用家屋または特例認定住宅等とは、床面積が40㎡以上50㎡未満で令和5年12月31日以前に建築基準法第6条第1項の規定による建築確認を受けた居住用家屋または認定住宅等をいいます。

※3 住宅ローン控除の対象となる借入金は、銀行等の金融機関の借入金だけでなく、建設業者や勤務先に対する債務なども含まれます。

  ただし、勤務先からの借入金の場合には、0.2%に満たない利率による借入金は対象外であり、また、親族や知人からの借入金も対象外となっています。

※4 一定の譲渡所得の課税の特例は次のとおりです。

  ・居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例

  ・居住用財産の譲渡所得の特別控除(被相続人の居住用財産の譲渡所得の特別控除により適用する場合を除きます。)

  ・特定の居住用財産の買換えの場合の長期譲渡所得の課税の特例

  ・財産を交換した場合の長期譲渡所得の課税の特例

  ・既存市街地等内にある土地等の中高層耐火建築物等の建設のための買換え及び交換の場合の譲渡所得の課税の特例

 

控除額および控除期間

 住宅を新築・取得した場合の控除額及び控除期間は、住宅ローンの年末残高の合計額を基に、下記の計算方法により算出します。ただし、年末残高よりも住宅の取得金額※1 が小さいときは、住宅ローンの年末残高の合計額ではなく、住宅の取得金額を用います。

住宅の区分 借入限度額 控除率 税額の最大控除額 控除期間
・認定長期優良住宅
・認定低炭素住宅
4,500万円 0.7% 31.5万円 13年
特定エネルギー消費性能向上住宅 3,500万円 0.7% 24.5万円 13年
エネルギー消費性能向上住宅 3,000万円 0.7% 21万円 13年
一般の新築住宅 3,000万円 0.7% 14万円 10年

 

※1 住宅の取得等に関し、補助金等の交付を受けた場合や、「住宅取得等資金の贈与の特例」を適用した場合には、その補助金等の額を控除します。

 

提出書類

 住宅ローン控除の適用を受ける初年度は確定申告が必要となり、さらに下記の提出書類等を添付する必要があります。

 

番号 提  出  書  類

「(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書」

2

(連帯債務がある場合のみ)

「(付表)連帯債務がある場合の住宅借入金等の年末残高の計算明細書」

3

金融機関等から交付された「住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書」

4

「登記事項証明書」など、床面積を明らかにする書類※1

5 「工事請負契約書」や「売買契約書」の写しなど、取得対価の額を明らかにする書類
6

(補助金等の交付を受けた場合のみ)

補助金等の額を明らかにする書類

(住宅取得等資金の贈与の特例を受けた場合のみ)

贈与税の申告書など、住宅取得等資金の額を明らかにする書類の写し

(住宅が認定住宅等の場合のみ)

・認定長期優良住宅の場合:「認定通知書」あるいは「住宅用家屋証明書」の写し

・低炭素建築物の場合:「認定通知書」あるいは「住宅用家屋証明書」の写し

・低炭素建築物とみなされる特定建築物の場合:「住宅用家屋証明書(特定建築物用)」の写し 

・特定エネルギー消費性能向上住宅の場合:「住宅省エネルギー性能証明書」もしくは

 「建設住宅性能評価書」の写し

・エネルギー消費性能向上住宅の場合:「住宅省エネルギー性能証明書」もしくは

 「建設住宅性能評価書」の写し

 

 また、住宅ローン控除の適用を受ける2年目以降は、必要事項を記載した確定申告書に上記の1〜3を添付することで適用を受けることができますが、給与所得者については、年末調整で「住宅借入金等特別控除申告書」と「住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書」を勤務先に提出することによって適用を受けることができます。

 

※1 「登記事項証明書」は、計算明細書へ「不動産番号」を記載した場合、添付は不要となります。

 

まとめ

 いかがだったでしょうか。

 住宅ローン控除の適用において、住宅を新築・取得した場合の要件等は、住宅ローン控除の論点の中で一番基本的なものとなります。次回以降で他の派生論点について解説しますのでお楽しみにしていただければと思います。

 次回は買取再販住宅を取得した場合の住宅ローン控除について解説します。

 磯会計センターでは、茨城でお困りの中小事業主様や個人事業主様に、会計・税務から補助金・融資など幅広くサポートをしておりますので、お悩み事がございましたらぜひお気軽にご相談ください。

 

(※当該記事は投稿時点の法令等に基づいて掲載しております。当ウェブサイト上のコンテンツについて、できる限り正確に保つように努めていますが、掲載内容の正確性・完全性・信頼性・最新性を保証するものではございません。)

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