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法人成りした場合のベストな役員報酬と利益のバランスを税理士が解説!③〜役員報酬を決める際のポイント〜

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法人成りした場合のベストな役員報酬と利益のバランスを税理士が解説!④〜役員報酬を決める際のポイント〜

法人成りした場合のベストな役員報酬と利益のバランスを税理士が解説!④〜役員報酬を決める際のポイント〜

2023/11/10

はじめに

 個人事業主の方で、一定以上の所得になったために法人成りを検討している方は、法人成りした後の自分の役員報酬額に悩まれる方が多いと思います。役員報酬に対しては給与所得としての所得税や住民税などが、会社の利益に対しては法人税や事業税などがかかりますが、いったいこのバランスをどのようにすれば良いのかを、複数回にわたってシミュレーションを交えて解説します。今回は実際に役員報酬を決定する際のポイントを解説します。当記事はすでに会社を設立している方で、税金が高くて悩まれている方も必見です。

 なお、法人成りのメリット・デメリット等についてはこちらを参考にしてください。

【事業】株式会社設立の流れとポイントを解説!

【事業】法人成りのメリット・デメリットを税理士が解説!その1

【事業】法人成りのメリット・デメリットを税理士が解説!その2

【事業】税理士が考える法人成りのベストなタイミングはいつ?

 

役員報酬を大きくすることのメリット

 

 手取りを多くもらうことで、個人で投資を行い、運用益を得ることができる

 個人での手取りを多くすることで、多く得た報酬をもとに自由に運用をすることができる。(法人の利益としておくと、事業運営上全く関係ない投資に対しては他の役員の理解を得る必要があったり、そもそも投資対象が限られている場合がある。)投資による運用益を獲得することができれば、実質的な税負担割合を減らすことができる。

 

 社会保険料を多く負担することで、老後の年金額や傷病の場合等の手当て金額が増える

 社会保険料が増えるということは厚生年金保険料が増えるということであり、そうなると老後受け取る老齢厚生年金の額も上がることになります。

 また、健康保険では、病気やけが、出産で会社を休んだ際に請求することで傷病手当金(出産手当金)が支給されます。傷病手当金の額は支払開始前1年間の報酬額が多くなればその分受け取れる傷病手当金の額は多くなります。

 

役員報酬を大きくすることのデメリット

 

 社会保険料が増えることにより、高額療養費の自己負担額が上がる

 高額療養費とは、治療費が決められた自己負担額を超えた場合に、その超えた部分を還付してもらえるというものです。この自己負担額は、役員報酬が増えることによって、自己負担額も増えていく仕組みになっているため、結果的に還付される金額が少なくなってしまいます。

 

会社利益を大きくすることのメリット

 

 自己資金の範囲内で設備投資等が行いやすくなる

 法人の利益が増えるということは、法人内に資金が貯まるため、多額の設備投資を行う際にも、金融機関から借入を行うことなく設備投資を行うことができるため、借入をすることに抵抗がある経営者は、会社の利益を最優先に考えることが良いと思います。

 

 自己資本が増え、第三者や金融機関からの評価が上がる

 経常的に会社の利益が確保できているということは、金融機関の視点からも高評価につながり、融資の際にも有利に働きます。また、上場などを考えている会社は、どれだけ会社から利益を生み出せるかは非常に重要な指標になります。

 

会社利益を大きくすることのデメリット

 

 後継者への株式の贈与や相続の際に、多額の税金が発生する

 法人の利益が積み上がると、その分株式の評価額も高くなります。よって、後継者へ株式を贈与したり、相続が発生した場合に多額の贈与税や相続税がかかり、後継者の負担がかなり大きくなります。

 

役員報酬と会社利益の最も良いバランスは?

 これまで様々なことを述べてきましたが、結論として個人的な意見としての最適なバランスは、「所得が少ないうちは、所得の半分を役員報酬として設定し、所得が増えてきた場合には、会社利益を800万円に抑えて、残りを役員報酬とする」だと考えます。

 まず所得が少ないうちは、所得の半分を役員報酬とすることによって、税負担を少なくすることができ、かつ、役員報酬とするのメリットと会社利益とするメリットを両方享受できることができます。

 また、所得が増えてきて会社利益が800万円を超えてくると、累進課税により法人税等が非常に重くのしかかります。さらに後継者への負担を考慮すると、上場などを考えない場合は会社利益を800万円以上とするメリットはそれまで大きくないと考えます。よって所得税としての税負担が多少大きくなったとしても、役員報酬として手取りに含め、それを投資に回すことによって運用益を獲得する方が、資金を最大化することができると考えます。

 

まとめ

 いかがだったでしょうか。

 個人的な意見を最後に述べさせていただきましたが、前述するように「上場を目指している場合」や「借入を極力したくない場合」など、経営者の方針によって、最適なバランスは異なってきます。一つ覚えて欲しいこととしては、役員報酬と会社利益のバランスを考える際は、税負担だけでなく、資金繰りや将来の会社の目標、老後の生活設計などを総合的に勘案して決定することが大切だということです。これから法人成りを検討している方、すでに法人を設立しておりバランスに悩まれている方は、ぜひ一度専門家に相談することをお勧めします。

 磯会計センターでは、茨城でお困りの中小事業主様や個人事業主様に、会計・税務から補助金・融資など幅広くサポートをしておりますので、お悩み事がございましたらぜひお気軽にご相談ください。

 

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