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電子帳簿保存法の内容を税理士が解説!③〜電子帳簿等保存の保存方法〜

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電子帳簿保存法の内容を税理士が解説!③〜電子帳簿等保存の保存方法〜

電子帳簿保存法の内容を税理士が解説!③〜電子帳簿等保存の保存方法〜

2023/10/30

はじめに

 2024年1月1日から電子帳簿保存法が改正され、電子取引について電子データでの保存が義務となります。

 当ブログでは、電子帳簿保存法が改正されることによって今後中小企業がどのような体制を整えていく必要があるのか、複数回にわたって解説していきます。今回は電子帳簿等保存の保存方法についてです。

 前提として、電子帳簿等保存は電子取引と違い、適用は任意となります。よって後述するメリットや要件などを勘案して採用するか否かを検討するようにしましょう。

 

電子帳簿保存法の概要

・電子帳簿保存法の範囲

 ①電子帳簿等保存(PC等で作成した帳簿書類)

 ②スキャナ保存(紙でやりとりし、スキャナで保存した自己が作成した書類や取引先が作成した書類)

 ③電子取引(電子でやりとりし、スキャナで保存した自己が作成した書類や取引先が作成した書類)

 

 

電子帳簿等保存の対象書類

 電子帳簿等保存の対象は、PC等で作成した帳簿書類を指します。具体的には以下が挙げられます。

 

 ①会計ソフトで作成している仕訳帳、総勘定元帳、経費帳、売上帳、仕入帳などの帳簿
 ②会計ソフトで作成した損益計算書、貸借対照表などの決算関係書類
 ③パソコンで作成した見積書、請求書、納品書、領収書などを取引相手に紙で渡したときの書類の控え

 

 ③について、こちらはあくまで取引先に対しては紙で渡し、自社では紙で出力していないケースになります。取引先に対しても電子で送付した場合は電子取引の対象になるため注意しましょう。

 

電子帳簿等保存のメリット

 A:過少申告加算税の軽減措置

 電子帳簿保存の方法としては、一般的な要件のほかに、優良な電子帳簿として認められるための追加的な要件があります。この優良な電子帳簿として認められた場合には、後からその電子帳簿に関連する過少申告が判明しても過少申告加算税が5%軽減される措置を受けることができます。ただし、当該措置を受けるための届出書をあらかじめ税務署に提出している必要があります。

 B:保管スペースの削減

 電子保存を行うことによって、紙の原本は不要になりますので、保存スペースが不要になります。

 

電子帳簿等保存の保存方法

 電子帳簿等保存の保存方法をまとめると下記の通りとなります。(○がついてる箇所が必要な要件となります。)

 

要件 帳簿(上記①②) 帳簿
(上記③)
優良 一般

①記録事項の訂正・削除に関する要件

②業務処理期間外の入力に関する要件

③相互関連性に関する要件
④システム関係書類等に関する要件
⑤保存場所に関する要件
⑥検索に関する要件
⑦電子データのダウンロードに関する要件

※国税庁に掲載されている表と一部異なりますが、実務上はこちらで問題ありません。

 

①記録事項の訂正・削除に関する要件

 記録事項の訂正・削除を行った場合には、これらの事実及び内容を確認できる会計システムを使用することが求められます。一部の安価な会計システムでは、訂正・削除時に履歴が残らない仕様となっており、この仕様の場合は原則要件を満たさないため注意が必要です。

(※国税庁のQ&Aによると、入力誤りについて訂正又は削除を行うための期間があらかじめ内部規程等に定められており、かつ、その期間が入力した日から1週間を超えない場合には、その期間について訂正又は削除の履歴を残さないシステムを使用することが認められるとされています。)

 

②業務処理期間外の入力に関する要件

 通常の業務処理期間を経過した後に入力を行った場合には、その事実を確認できる電子計算機処理システムを使用することが求められます。「通常の業務処理期間」とは通常行っている日次や週次、月次でのデータの入力の期間のことで、事務処理規定等で定めることが定められた期間と解されています。

 また、会計システムにおいて入力日付のデータを持たない場合であっても、月次決算を行い決算を確定し、追加入力ができなくなる場合などは要件に該当するものとされています。

 

③相互関連性に関する要件

 電子化した帳簿の記録事項とその帳簿に関連する他の帳簿の記録事項との間において、相互にその関連性を確認できることが求められます。会計システムにおいて連番管理等がなされていれば基本的には問題ないかと思われます。

 

④システム関係書類等に関する要件

 システム仕様書や事務処理マニュアル等のシステム関係書類等を備え付けることが求められます。

 

⑤保存場所に関する要件

 保存場所に、電子計算機、プログラム、ディスプレイ、プリンタ及びこれらの操作マニュアルを備え付け、記録事項を画面・書面に整然とした形式及び明瞭な状態で速やかに出力できるようにしておくことが求められます。例えば税務調査の際に、会社のPCやプリンタを提示できれば問題ないかと思われます。仮にPC等を保持しておらず全てをスマートフォン等で管理している場合もその他の要件を満たしていれば問題ありません。プリンタについても、コンビニ等の有料プリンタの利用も可能です。

 

⑥検索に関する要件

 取引年月日、取引金額、取引先により検索できることが求められます。PDF形式で保管しているのであれば、特段問題ないかと思います。

 

⑦電子データのダウンロードに関する要件

 税務職員による質問検査権に基づく電子データのダウンロードの求めに応じることができるようにしておくことが求められます。

 

まとめ

 いかがだったでしょうか。

 最初に説明したように電子帳簿等保存は義務ではなく任意ですので、メリット等を勘案して採用するかどうかを検討しましょう。

 次回は電子帳簿等保存法に関する罰則について解説します。

 磯会計センターでは、茨城でお困りの中小事業主様や個人事業主様に、会計・税務から補助金・融資など幅広くサポートをしておりますので、お悩み事がございましたらぜひお気軽にご相談ください。

 

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