【消費税】インボイスに関する国税庁Q&Aのポイントを税理士が解説!その2(適格請求書発行事業者の義務等①)
2023/05/08
はじめに
インボイス制度の開始まであと半年を切りました。皆様は、インボイス制度の対応について、どこまで検討が進んでいますでしょうか。ある程度概略を押さえて準備万端な方も、登録しかしてない方も、まだ登録していない方も様々かと思います。
国税庁には、コールセンター等へ問い合わせがあった件について、Q&A形式で回答が記載されており、その数は2023年4月27日時点で127個とかなりの数が掲載されています。このQ&Aの中には、事業主にとってとても重要な回答や、見落としがちな回答が数多く含まれているのですが、一つ一つ確認していくのはとても労力が必要になるかと思います。
このブログでは、複数回にわたって国税庁Q&Aの回答の中で特に重要となるポイントをピックアップして解説していきます。今回は適格請求書発行事業者の義務等のQ24〜Q40について解説します。インボイス制度について確認漏れが起こることのないよう、当ブログでしっかり確認していってください。
(参考:国税庁Q&A )
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/invoice_faq.htm
Q25.適格簡易請求書の交付ができる事業
Point
①小売業②飲食店業③写真業④旅行業⑤タクシー業⑥駐車場業(不特定かつ多数の者に対するものに限ります。)⑦その他これらの事業に準ずる事業で不特定かつ多数の者に資産の譲渡等を行う事業については、適格簡易請求書を交付することができます。つまり①〜⑤については、「不特定かつ多数の者に対するもの」との限定はないため、どのような形態でも適格簡易請求書を交付することができます。
Q26.適格請求書の様式 Q27.手書きの領収書
Point
適格請求書の様式は決められていないため、必要事項が記載された書類であれば手書きでも適格請求書に該当します。
Q29.少額な対価返還等に係る適格返還請求書の交付義務免除に係る1万円未満の判定単位
Point
課税事業者に返品や値引き等の売上げに係る対価の返還等を行う場合、適格返還請求書の交付義務が課されていますが、売上げに係る対価の返還等に係る税込価額が1万円未満である場合には、その適格返還請求書の交付義務が免除されます。
ここでいう税込1万円未満の単位ですが、請求や債権の単位ごとの減額金額により判定することとなります。つまり、400,000円の請求に関し、1商品当たり100円のリベートをして合計20,000円のリベートとなったとしても、適格返還請求書の交付義務は免除されないこととなります。
Q30.売手が負担する振込手数料相当額 Q31.売手が負担する振込手数料相当額に係る経理処理の変更
Point1
振込手数料相当額について、売手が「支払手数料」のような科目を用いて、銀行から役務提供を受けたことに対する経費として処理している場合、課税仕入れとみなされます。つまり、銀行などから都度適格請求書を受領するか、仕入明細書等を作成し、買手の確認を受ける必要があります。
一方、振込手数料相当額について、売手が「売上値引き」のような科目を用いて、
売上に係る対価の返還等を行っている場合、1万円未満であれば適格返還請求書の交付義務が免除されることとなります。
Point2
インボイス制度を期に、科目を「支払手数料」から「売上値引き」に変更することは問題ありませんが、適用税率については売上に係る対価の返還等の基となる課税資産の譲渡等の適用税率を用いる点に注意してください。そのため、軽減税率(8%) 対象の売上を対象とした振込手数料相当額の売上値引きには、軽減税率(8%) が適用されます。
Point3
科目については「支払手数料」としつつ、消費税法上、売上に係る対価の返還等とすることもできますが、この場合であっても、Point2のように適用税率に応じた区分のほか、帳簿に売上に係る対価の返還等に係る事項を記載する必要があります。
Q35.継続した取引における修正した適格請求書等の交付方法
Point
適格請求書に誤りがあった場合には、修正した適格請求書等を再交付する必要がありますが、例えば、先月以前の単価や数量誤りを当月の請求書で調整している場合、適格請求書と適格返還請求書は一つの書類で交付することができます。よって、適格請求書と適格返還請求書と両者の要件を満たす書類を作成するようにしましょう。
Q37.登録日から登録の通知を受けるまでの間の取扱い
Point
登録日から通知日までにはタイムラグがあるため、通知日までは登録番号を請求書等に記載することができません。この場合、通知を受けた後に登録番号を相手方に書面等で通知することで、適格請求書の記載事項を満たすことができます。
Q38.令和5年10月1日前後の取引に係る適用関係
Point
例えば売手が出荷基準で売上計上しており、買手が検収基準で売上計上している状況で、令和5年9月30日に出荷し、令和5年10月1日に検収した場合、買手は適格請求書の保存が必要ですが、売手から適格請求書が発行されない可能性がありますが、このようなケースでは適格請求書の保存は必要ありません。
Q40.資産の譲渡等の時期の特例と適格請求書の交付義務
Point
例えば、工事進行基準に該当するような取引を行なった場合、工事の完成より前に、進捗度に応じて売上を計上していくこととなりますが、適格請求書発行事業者は、工事完成時に適格請求書の交付をすれば良いこととされています。
まとめ
いかがだったでしょうか。
今回は適格請求書発行事業者の義務等のQ24〜Q40について解説しました。次回は適格請求書発行事業者の義務等のQ41〜Q51を解説します。
磯会計センターでは、インボイス対応含め、各種税金のご相談を承っています。茨城で事業を営んでいる事業主様はぜひ一度ご相談ください。
参考
【消費税】インボイスに関する国税庁Q&Aのポイントを税理士が解説!その1(適格請求書等保存方式の概要・適格請求書発行事業者の登録制度)
【消費税】インボイスに関する国税庁Q&Aのポイントを税理士が解説!その3(適格請求書発行事業者の義務等②)
【消費税】インボイスに関する国税庁Q&Aのポイントを税理士が解説!その4(適格請求書発行事業者の義務等③)
【消費税】インボイスに関する国税庁Q&Aのポイントを税理士が解説!その5(適格請求書等保存方式の下での仕入税額控除の要件①)
【消費税】インボイスに関する国税庁Q&Aのポイントを税理士が解説!その6(適格請求書等保存方式の下での仕入税額控除の要件②・適格請求書等保存方式の下での税額計算)
(本記事は掲載時点の税制等に基づいて掲載しています。)
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