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【消費税】インボイスに関する国税庁Q&Aのポイントを税理士が解説!その1(適格請求書等保存方式の概要・適格請求書発行事業者の登録制度)

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【消費税】インボイスに関する国税庁Q&Aのポイントを税理士が解説!その1(適格請求書等保存方式の概要・適格請求書発行事業者の登録制度)

【消費税】インボイスに関する国税庁Q&Aのポイントを税理士が解説!その1(適格請求書等保存方式の概要・適格請求書発行事業者の登録制度)

2023/05/05

はじめに

 インボイス制度の開始まであと半年を切りました。皆様は、インボイス制度の対応について、どこまで検討が進んでいますでしょうか。ある程度概略を押さえて準備万端な方も、登録しかしてない方も、まだ登録していない方も様々かと思います。

 国税庁には、コールセンター等へ問い合わせがあった件について、Q&A形式で回答が記載されており、その数は2023年4月27日時点で127個とかなりの数が掲載されています。このQ&Aの中には、事業主にとってとても重要な回答や、見落としがちな回答が数多く含まれているのですが、一つ一つ確認していくのはとても労力が必要になるかと思います。

 このブログでは、複数回にわたって国税庁Q&Aの回答の中で特に重要となるポイントをピックアップして解説していきます。今回は適格請求書等保存方式の概要・適格請求書発行事業者の登録制度について解説します。インボイス制度について確認漏れが起こることのないよう、当ブログでしっかり確認していってください。

(参考:国税庁Q&A )

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/invoice_faq.htm

 

Q1.適格請求書等保存方式の概要

 Point1

適格請求書とは、次の事項が記載された書類(請求書、納品書、領収書、レシート

等)をいいます。

1 適格請求書発行事業者の氏名又は名称及び登録番号
2 課税資産の譲渡等を行った年月日
3 課税資産の譲渡等に係る資産又は役務の内容(課税資産の譲渡等が軽減対象資産

の譲渡等である場合には、資産の内容及び軽減対象資産の譲渡等である旨)
4 課税資産の譲渡等の税抜価額又は税込価額を税率ごとに区分して合計した金額及

び適用税率
5 税率ごとに区分した消費税額等(消費税額及び地方消費税額に相当する金額の合

計額をいいます。以下同じです。)
6 書類の交付を受ける事業者の氏名又は名称

 インボイスを検討するに当たって、1の登録番号にばかり気を取られがちですが、それ以外にも上記全ての項目の記載がないとインボイスとして認められないため、自社の請求書等がインボイスの要件を満たせているか、また、先方から届いた請求書等がインボイスなのかどうか、慎重に検討するようにしましょう。なお、飲食店業等の不特定多数の者に対して資産の譲渡等を行う事業については、上記6を除いた適格簡易請求書の交付でも問題ないこととなっています。仮に先方からの請求書がインボイスの要件を満たせていない場合は、先方に再発行を依頼するか、先方の確認を受けた適格請求書の記載事項が記載された仕入明細書を作成することで、要件を満たすことができます。

 Point2 

以下の請求書等の交付を受けることが困難である取引については、 一定の事項を記載した帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められます。

1 適格請求書の交付義務が免除される3万円未満の公共交通機関(船舶、バス又は鉄道)による旅客の運送
2 適格簡易請求書の記載事項(取引年月日を除きます。)が記載されている入場券等が使用の際に回収される取引(1に該当するものを除きます。)
3 古物営業を営む者の適格請求書発行事業者でない者からの古物(古物営業を営む者の棚卸資産に該当する場合に限ります。)の購入

4 質屋を営む者の適格請求書発行事業者でない者からの質物(質屋を営む者の棚卸資産に該当する場合に限ります。)の取得

5 宅地建物取引業を営む者の適格請求書発行事業者でない者からの建物(宅地建物取引業を営む者の棚卸資産に該当する場合に限ります。)の購入

6 適格請求書発行事業者でない者からの再生資源及び再生部品(購入者の棚卸資産に該当する場合に限ります。)の購入

7 適格請求書の交付義務が免除される3万円未満の自動販売機及び自動サービス機からの商品の購入等

8 適格請求書の交付義務が免除される郵便切手類のみを対価とする郵便・貨物サービス(郵便ポストに差し出されたものに限ります。)

9 従業員等に支給する通常必要と認められる出張旅費等(出張旅費、宿泊費、日当及び通勤手当)

 特に赤字掛けの1・7・8・9番はあらゆる事業者にとって発生するものかと思います。これらについてインボイスがないからといって仕入税額控除をしないのはもったいないので、ぜひ覚えておくようにしましょう。また、中古車販売業等を営んでいる事業者であれば、3番もとても重要になるかと思います。

 

Q2.登録の手続

 Point

 登録申請書は郵送だけでなく、e-taxを利用して提出できます。

 

Q3.登録通知、Q4.登録申請から登録通知までの期間

 Point

 e-taxにより提出し、電子での通知を希望することによって、書面より早く通知書を受領でき、紛失リスクも少なく済みます

 

Q5.登録の効力、Q7.登録に係る経過措置

 Point

 登録の効力は、通知の日ではなく、登記簿に搭載された日(登録日)です。令和5年10月1日から登録を受けようとする事業者は、令和5年9月30日までに登録申請書を提出すれば良いですが、登録日から通知の日までは登録番号がわからないため、別途の手続きを踏む必要があります。登録日から通知の日までの取り扱いについては、Q37にて解説します。

 

Q8.免税事業者が令和5年10月1日から令和11年9月30日までの日の属する課税期間中に登録を受ける場合

 Point

 免税事業者が令和5年10月1日から令和11年9月30日までの日の属する課税期間中に登録を受ける場合には、適格請求書発行事業者の登録申請書に”提出日から15日以降の”登録希望日を記載することで、その登録希望日から課税事業者となることができます。つまり課税期間の初日から課税事業者になる必要はなく、課税選択届出書も必要ないということです。

 

Q9.課税事業者として消費税の確定申告が必要となる期間(個人事業者の場合)

  Point

 免税事業者である個人事業者が令和5年10月1日から適格請求書発行事業者の登録を受けた場合には、令和5年10月1日から令和5年12月31日までの期間について課税事業者として消費税の申告が必要となります。つまり課税期間の途中から課税事業者になるため、令和5年10月1日以降の収支は、令和5年10月1日以前の収支とは分けて管理する必要があります。

 

Q10.簡易課税制度を選択する場合の手続等

 Point

 免税事業者が令和5年10月1日から令和11年9月30日までの日の属する課税期間中に登録を受けることとなった場合、登録日の属する課税期間中に「消費税簡易課税制度選択届出書」を提出することによって、その課税期間から、簡易課税制度の適用を受けることができます。つまり、これまでのように課税期間の前までに申請する必要はないということです。

 

Q12.新たに設立された法人等の登録時期の特例

 Point

 新たに設立された法人が、事業開始時から適格請求書発行事業者の登録を受けるためには、その課税期間の末日までに、課税選択届出書と登録申請書を併せて提出することが必要です。つまり、従来の新設法人の課税選択届出書の提出期限と同様です。なお、Q8で説明した通り、令和5年10月1日から令和11年9月30日までの日の属する課税期間中に適格請求書発行事業者の登録を受ける場合、課税選択届出書の提出は必要ありません。

 

Q14.登録の取りやめ

 Point

 適格請求書発行事業者は、「登録取消届出書」を提出することにより、登録を取りやめることができますが、課税期間の初日から起算して15日前に当該申請書を提出する必要があります。つまり3月決算の会社であれば、3月17日までに申請書を提出しなければ、翌課税期間に「適格請求書発行事業者ではない事業者」にはなれないということです。

 

Q16.相続

 Point

 親から相続を受け、事業を承継した場合、再度相続人が登録申請書を提出する必要がありますが、令和5年10月1日以後に死亡した場合は、相続人が適格請求書発行事業者の登録を受けた日の前日又は死亡した日の翌日から4月を経過する日までの期間のいずれか早い日までの期間については、相続人を適格請求書発行事業者とみなすとされています。つまり、最長4ヶ月間は被相続人の登録番号を利用できるため、その間に相続人が登録申請書を提出することによって、継続して登録事業者となることができます。

 

まとめ

 いかがだったでしょうか。

 今回は適格請求書等保存方式の概要・適格請求書発行事業者の登録制度について解説しました。次回は適格請求書発行事業者の義務等について解説します。

 磯会計センターでは、インボイス対応含め、各種税金のご相談を承っています。茨城で事業を営んでいる事業主様はぜひ一度ご相談ください。

 

参考

【消費税】インボイスに関する国税庁Q&Aのポイントを税理士が解説!その2(適格請求書発行事業者の義務等①)

【消費税】インボイスに関する国税庁Q&Aのポイントを税理士が解説!その3(適格請求書発行事業者の義務等②)

【消費税】インボイスに関する国税庁Q&Aのポイントを税理士が解説!その4(適格請求書発行事業者の義務等③)

【消費税】インボイスに関する国税庁Q&Aのポイントを税理士が解説!その5(適格請求書等保存方式の下での仕入税額控除の要件①)

【消費税】インボイスに関する国税庁Q&Aのポイントを税理士が解説!その6(適格請求書等保存方式の下での仕入税額控除の要件②・適格請求書等保存方式の下での税額計算)

 

(本記事は掲載時点の税制等に基づいて掲載しています。)

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