【消費税】農業従事者が知っておきたいインボイスの特例制度を解説！

はじめに

　前回、『【消費税】インボイス制度って何？免税事業者が考えるべきポイントは？』という記事で、「農業を営んでいる事業者であって、一定のケースに該当する場合には、インボイスの発行が免除されるケースがあります。」という説明をさせていただきました。

　今回は農業従事者がインボイスを検討するにあたってのポイントを説明したいと思います。

 

農業従事者はインボイスを発行しなくても良い場合がある

　インボイスを発行するためには課税事業者になる必要があります。しかし、適格請求書の発行は買手である取引相手から求められたときに発行すれば問題ありません。

　さらに農業従事者の場合、一部の取引形態によっては、自ら適格請求書を発行しなくても良いケースが存在します。

 

　１．農協特例を利用する場合

　農業協同組合や農事組合法人など（以下これらを併せて「農協等」といいます。）の組合員その他の構成員が、農協等に対して、無条件委託方式かつ共同計算方式により販売を委託した、農林水産物の販売（その農林水産物の譲渡を行う者を特定せずに行うものに限ります。）は、インボイスを交付することが困難な取引として、組合員等から購入者に対するインボイスの交付義務が免除されます。

　これは委託販売をしていることから、農業従事者が農作物の買手に対して直接インボイスを交付することができないためです。

　無条件委託方式および共同計算方式とは次のような取引を言います。

　・無条件委託方式：出荷した農林水産物について、売値、出荷時期、出荷先等の条件を付けずにその販売を委託すること。

　・共同計算方式：取引額の計算において、その農林水産物の種類、品質、等級などの区分ごとに平均した金額を根拠に算出すること。

　上記の取引の場合、買手は農協等が作成する一定の書類を保存することで仕入税額控除ができます。

　また、「農協等」の中には中小企業等協同組合法に規定する事業協同組 合なども含まれるため、免税事業者は一度、出荷先が特例の対象になっているのか確認することをお勧めします。

 

　２．卸売市場特例を利用する場合

　卸売市場において、卸売業者が卸売の業務として生産者から委託を受けて行う商品の販売は、インボイスを交付することが困難な取引として、生産者から購入者に対するインボイスの交付義務が免除されます。

　1の場合と同様に、委託販売をしていることから、生産者が商品の買手に対して直接インボイスを交付することができないためです。

　ここでいう卸売市場とは、すべての卸売市場ではなく、以下の卸売市場に限られています。

　① 農林水産大臣の認定を受けた中央卸売市場
　② 都道府県知事の認定を受けた地方卸売市場
　③ ①及び②に準ずる農林水産大臣の確認を受けた卸売市場

　上記の取引の場合、買手は卸売市場が作成する一定の書類を保存することで仕入税額控除ができます。

　この場合も免税事業者は一度、出荷先が特例の対象になっているのか確認することをお勧めします。

 

　３．媒介者交付特例を利用する場合

　生産者が１・２以外の直売所等の媒介者に対して販売委託する場合、生産者から購入者に対するインボイスの交付義務が免除されます。

　上記の取引の場合、買手は媒介者が作成するインボイスを保存することで仕入税額控除ができます。

　ただし、１・２と異なる点として、媒介者交付特例の適用を受けるには、生産者もとインボイスの発行事業者となっている必要があります。生産者は商品を販売するまでに、自分がインボイスの発行事業者であることを、媒介者に通知しなければなりません。

　課税事業者になることは問題ないけれど、インボイスの発行などの事務処理を行うことが難しいと考えている農業従事者の方は、この特例が利用できるか否かを検討してみましょう。

 

まとめ

　いかがだったでしょうか。

今回は農業従事者のインボイス制度の特例について大まかに説明しました。農業従事者の方は、上記特例が利用できる売上先の比重などを考慮して、インボイスの登録事業者になるか否かを検討してみてはいかがでしょうか。

　

　磯会計センターでは、顧問先に対して、インボイス課税事業者の登録申請だけでなく、インボイスの課税事業者になるべきか否かの相談も承っております。

　インボイスのことについてもっとよく知りたい！インボイスの登録申請をしたほうが良いのかわからない！といった茨城の事業者様は、ぜひ一度ご相談ください。

 

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