負担付贈与について税理士が解説!
2025/03/17
はじめに
皆様は「負担付贈与」という言葉をご存知でしょうか。負担付贈与は住宅ローン控除の関係や、相続税対策で活用される手法ですが、今回はこの負担付贈与の特徴や具体例を解説していきます。
負担付贈与とは
「負担付贈与」とは、贈与を受けた人(受贈者)に一定の債務を負担させることを条件にした財産の贈与をいいます。負担付贈与は例えば下記のようなケースで利用されることがあります。
・親が住宅ローンを組んで購入したり、ペアローンで共有財産として所有した物件を渡す代わりに、ローンの残債を支払ってもらうケース
・親が子に現金を贈与する代わりに、家事や介護等をしてもらうケース
負担付贈与の特徴は下記の3つです。
① 通常の贈与であれば、贈与が終わった時点で契約は終了しますが、負担付贈与の場合は、贈与を行なった後も贈与を受けた人に負担が残ります。
② 負担付贈与も贈与の一種であるため贈与税が課税されますが、通常の贈与の場合、その財産の相続税評価額を用いて贈与税を算出しますが、負担付贈与の場合は、贈与財産の価格(時価)から負担額を控除した価額に対して贈与税が課税されることとなります。ここでいう贈与財産の価格(時価)とは、贈与された財産が土地や借地権などである場合および家屋や構築物などの不動産である場合には、通常の取引価額に相当する金額、つまり市場価格となります。市場価格は相続税評価額よりも高く設定されているため、通常の贈与よりも財産の価値が高く評価され、贈与税が高額になる場合があるため注意が必要です。一方、贈与された財産が上記の不動産以外のものである場合は、通常の贈与と同様に相続税評価額を用いることとなります。
③ 通常の贈与であれば、贈与をした側は何ら税金は発生しませんが、負担付贈与の場合は、負担額でその贈与財産を譲渡したことになりますので、譲渡益が生じる場合には、所得税の対象となります。
具体例(ペアローンによる共有財産を単独ローンに切り替え、単独の持分とする場合)
それではよくあるケースとして下記にて、妻がペアローンで共有財産として所有した物件を夫に渡す代わりに、ローンの残債を支払ってもらう場合の課税関係を、具体例とともに解説します。
具体例1 共有不動産の時価が残債よりも小さく、取得時の価格よりも残債が小さい場合
取得時の土地の価格:4,000万円( 持分割合 夫:妻 = 50:50 )
住宅ローンの当初借入金額:4,000万円( 持分割合 夫:妻 = 50:50 )
住宅ローンの残債:夫1,500万円、妻1,500万円
贈与時の不動産の時価:2,000万円( 持分割合 夫:妻 = 50:50 )
○夫に対する税金(=贈与税)
課税価格 = 共有不動産の時価 - 負担する残債 - 110万円
⇨1,000万円 - 1,500万円 - 110万円 = -610万円 ⇨贈与税はかからない
○妻に対する税金(=所得税)
課税価格 = 住宅ローンの残債 - 共有不動産の取得時の価格
⇨1,500万円 - 2,000万円 = -500万円 ⇨所得税はかからない
具体例2 共有不動産の時価が残債よりも小さく、取得時の価格よりも残債が大きい場合
取得時の土地の価格:4,000万円( 持分割合 夫:妻 = 50:50 )
住宅ローンの当初借入金額:6,000万円( 持分割合 夫:妻 = 50:50 )
住宅ローンの残債:夫2,500万円、妻2,500万円
贈与時の不動産の時価:2,000万円( 持分割合 夫:妻 = 50:50 )
○夫に対する税金(=贈与税)
課税価格 = 共有不動産の時価 - 負担する残債 - 110万円
⇨1,000万円 - 2,500万円 - 110万円 = -1,610万円 ⇨贈与税はかからない
○妻に対する税金(=所得税)
課税価格 = 住宅ローンの残債 - 共有不動産の取得時の価格
⇨2,500万円 - 2,000万円 = 500万円 ⇨500万円 × 所得税率の分だけ所得税がかかる
具体例3 共有不動産の時価が残債よりも大きく、取得時の価格よりも残債が小さい場合
取得時の土地の価格:4,000万円( 持分割合 夫:妻 = 50:50 )
住宅ローンの当初借入金額:4,000万円( 持分割合 夫:妻 = 50:50 )
住宅ローンの残債:夫1,500万円、妻1,500万円
贈与時の不動産の時価:6,000万円( 持分割合 夫:妻 = 50:50 )
○夫に対する税金(=贈与税)
課税価格 = 共有不動産の時価 - 負担する残債 - 110万円
⇨3,000万円 - 1,500万円 - 110万円 = 1,440万円 ⇨ 1,440万円 × 贈与税率の分だけ所得税がかかる
○妻に対する税金(=所得税)
課税価格 = 住宅ローンの残債 - 共有不動産の取得時の価格
⇨1,500万円 - 2,000万円 = -500万円 ⇨所得税はかからない
具体例4 共有不動産の時価が残債よりも大きく、取得時の価格よりも残債が大きい場合
取得時の土地の価格:4,000万円( 持分割合 夫:妻 = 50:50 )
住宅ローンの当初借入金額:6,000万円( 持分割合 夫:妻 = 50:50 )
住宅ローンの残債:夫2,500万円、妻2,500万円
贈与時の不動産の時価:6,000万円( 持分割合 夫:妻 = 50:50 )
○夫に対する税金(=贈与税)
課税価格 = 共有不動産の時価 - 負担する残債 - 年110万円
⇨3,000万円 - 2,500万円 - 110万円 = 440万円 ⇨ 440万円 × 贈与税率の分だけ所得税がかかる
○妻に対する税金(=所得税)
課税価格 = 住宅ローンの残債 - 共有不動産の取得時の価格
⇨2,500万円 - 2,000万円 = 500万円 ⇨500万円 × 所得税率の分だけ所得税がかかる
このように、共有不動産の時価が残債よりも大きい場合や、取得時の価格よりも残債が大きい場合は、贈与税や所得税が発生します。共有不動産の時価が残債よりも大きいという状況は、不動産の相場が上昇したときや、住宅ローンの繰上償還を行っていた場合には起こり得るでしょう。また、取得時の価格よりも残債が大きくなる状況は、例えば購入金額以上に住宅ローンを組んだ場合には起こるかと思われますので、こういった場合には注意するようにしましょう。
なお、今回は土地の負担付贈与を解説しましたが、建物を負担付贈与する際の取得費は、減価償却考慮後の金額となるため注意しましょう。
まとめ
いかがだったでしょうか。
具体例で解説したように、負担付贈与はケースによって発生する税金が大きく異なります。通常の贈与と違い、贈与する側も税金が発生する場合がありますので、お近くの専門家に相談の上、検討することをお勧めします。
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