意外と知らない労働時間の落とし穴について社労士が解説!⑧〜事業場外みなし労働時間制〜
2025/01/13
はじめに
企業の労働時間問題に関しては、コロナ禍で加速した働き方改革をはじめ、最近ではさまざまな業種での残業の上限規制が制定されたりと、日々変化が激しい論点であり、かつ適切に労働時間を管理することは、継続的な企業の発展の根底となる事項です。
当ブログでは今回から、このような労働時間問題の中でも、意外と知られていない論点や間違えやすい事項を複数回にわたって解説します。
第8回は事業場外みなし時間労働制についてです。
事業場外みなし時間労働制
労働基準法において、時間外労働・休日労働に関しては次のような条文があります。
第三十八条の二 労働者が労働時間の全部又は一部について事業場外で業務に従事した場合において、労働時間を算定し難いときは、所定労働時間労働したものとみなす。ただし、当該業務を遂行するためには通常所定労働時間を超えて労働することが必要となる場合においては、当該業務に関しては、厚生労働省令で定めるところにより、当該業務の遂行に通常必要とされる時間労働したものとみなす。 (出典:e-Gov 法令検索 労働基準法) |
事業場外みなし労働時間制は、営業担当者などの主に事業場外で業務を行う従業員について、労働時間を算定することが困難となる場合に、その算定方法を別途規定したものです。事業場外みなし労働時間制は、いつでもどの事業場でも適用できるのではなく、通常所定労働時間を超えて残業が発生するような場合には、労使協定を締結し、行政長官に届け出なければ、事業場外みなし労働時間制は採用できません。
そのほかにも、事業場外みなし労働時間制を採用するにあたっては、注意すべき点がいくつかあります。
労働時間を算定し難い時
事業場外みなし労働時間制を適用できるのは、あくまで労働時間を算定し難い時であるため、事業場外であっても、労働時間を管理するものが同行していたり、随時通信機器等を用いて使用者の指示を受けながら作業している場合には、事業場外みなし労働時間制は適用されません。また、先に事業場内で業務内容や帰社時刻などの指示を受けた後に指示通り業務を行い、事業場に戻るような場合にも、事業場外みなし労働時間制は適用されません。
なお、最近では在宅勤務も主流になりつつありますが、在宅勤務についても下記の要件を満たす場合には、事業場外みなし労働時間制が適用されます。
① 当該業務が、起居寝食等私生活を営む自宅で行われること。
② 当該情報通信機器が、使用者の指示により常時通信可能な状態におくこととされていないこと。
③ 当該業務が、随時使用者の具体的な指示に基づいて行われていないこと。
労使協定によって定めるみなし労働時間
事業場外みなし労働時間制は、原則事業場内と事業場外の全てを所定労働時間労働したとみなします(一括みなし)。しかし、通常所定労働時間を超えて残業が発生するような場合には、下記の事項を労使協定を締結し、行政官庁に届け出る必要があります。
労使協定に定める事項 | 内容 |
対象とする業務 | 事業場外で行う業務を規定します。 |
みなし労働時間 |
事業場外で通常必要とする1日の時間数を定めます。 |
有効期間 |
- |
事業場外で通常必要とする1日の時間数は、突発的に発生するものを除き、できるだけ労働時間に含んだ上で、労働時間の平均を算定する必要があります。また、一部が事業場外での労働となる場合、事業場内の時間は別途把握する必要があり、労使協定によって、みなすことはできません。結果として、事業場外のみなし労働時間制と事業場内の労働時間を合計した時間が実際の労働時間となります。
さらに、事業場外の労働時間が、業務の閑散等によって著しく差異が発生する場合には、業務や時期ごとにそれぞれ定めることが望ましいとされています。
まとめ
いかがだったでしょうか。
事業場外みなし労働時間制は、労働時間を算定することが困難となる場合に、別途労働時間を規定するものですが、事業場外みなし労働時間制を採用したからといって、労働時間を把握しなくて良いということにはならず、時間外労働に対しては適切に割増賃金を支払わなければなりません。また、テレワークにおいても通信機器が発達した現在においては、そもそも事業場外みなし労働時間制が適用できないケースも増えてきているため、安易に適用するのではなく、専門家に相談の上判断するようにしましょう。
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