意外と知らない賃金の落とし穴を社労士が解説!⑥〜休業手当〜
2024/10/24
はじめに
従業員を雇用する企業であればどこでも、従業員に対して労働の対価として賃金を支払うかと思います。賃金の金額や支払い方などは企業によってさまざまかと思いますが、この賃金には、知っておかないとトラブルになる落とし穴がたくさん存在します。
当ブログでは賃金に関するさまざまな注意点について、複数回にわたって解説します。
今回は休業手当についてです。
休業手当の要件
休業手当とは、会社側の都合により労働者を休ませた場合に支払わなければならない賃金のことです。休業手当の規定を設けることによって、労働者の生活保護を図っています。
会社側の都合によるものとは主に下記のような場合が挙げられます。
・経営悪化により仕事量が減少し、休業した期間
・親会社の経営難などの影響により仕事量が減少し、休業した期間
・解雇予告手当を支払わずに即時解雇した場合に、解雇が成立するまで労働者が休業していた期間
なお、コロナウイルスに感染した場合の休業手当の考え方は、「厚生労働省 新型コロナウイルスに関するQ&A(企業の方向け)」を参考にしてください。
インフルエンザに関しては、季節性インフルエンザの場合は休業手当は必要ですが、新型インフルエンザ等、1類感染症~3類感染症や特定の感染症にかかった場合は、法律で老僧者の就業を禁止しているため、休業手当は不要です。
反対に、下記による場合は会社側の都合とはいえません。
・天災事変等不可抗力の事情や、休電等の事情により、休業した期間
・健康診断の結果、医師から休業を言い渡された期間
また、休業手当は、労働者が労働意欲や労働能力があるにもかかわらず、休業を言い渡された場合にのみ支給されます。よって、病気によって休業している場合※1 や、そもそも休日となっている場合、労働者がストライキを起こして休業している場合※2 などは、休業手当は支給されません。
※1 労働災害と認定される怪我や疾病で休業した場合は「休業補償」が適用される場合があります。
※2 ストライキに参加している労働者だけでなく、ストライキに参加していない労働者も、ストライキによって労働することができない場合には、原則として休業手当の支給は不要です。
休業手当の計算
休業手当は、休業期間につき『平均賃金 × 60%』が支払われます。平均賃金の計算については、「意外と知らない賃金の落とし穴を社労士が解説!③〜平均賃金〜」を参考にしてください。
なお、休業手当は全1日の休業である必要はなく、一部休業であっても支払われます。この場合、労働した分の賃金が『平均賃金 × 60%』に満たない場合、『平均賃金 × 60%』と『実際に支払われた賃金』の差額が支払われます。(例えば平均賃金が10,000円の労働者について、一部休業によって4,000円だけ支払われた場合には、『10,000円 × 60% = 6,000円』- 『4,000円』= 2,000円が休業手当として支給されます。)
まとめ
いかがだったでしょうか。
前述したように、休業手当は従業員の生活保障のためになくてはならない制度です。会社都合で休業をさせる場合には、従業員が不利益を被らないように努力する必要があります。また、2020年の新型コロナウイルス感染症により、急速にテレワークなどのワークスタイルが普及しましたが、このような柔軟な働き方も併せて検討する必要があるでしょう。
磯会計センターでは、茨城でお困りの中小事業主様や個人事業主様に、会計・税務・労務から補助金・融資など幅広くサポートをしておりますので、お悩み事がございましたらぜひお気軽にご相談ください。
(※当該記事は投稿時点の法令等に基づいて掲載しております。当ウェブサイト上のコンテンツについて、できる限り正確に保つように努めていますが、掲載内容の正確性・完全性・信頼性・最新性を保証するものではございません。)
----------------------------------------------------------------------
株式会社磯会計センター
〒308-0844
茨城県筑西市下野殿852-3 メゾンルーチェⅡ
電話番号 : 0296-24-3630
FAX番号 : 0296-25-1588
----------------------------------------------------------------------