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意外と知らない賃金の落とし穴を社労士が解説!③〜平均賃金〜

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意外と知らない賃金の落とし穴を社労士が解説!③〜平均賃金〜

意外と知らない賃金の落とし穴を社労士が解説!③〜平均賃金〜

2024/10/07

はじめに

 従業員を雇用する企業であればどこでも、従業員に対して労働の対価として賃金を支払うかと思います。賃金の金額や支払い方などは企業によってさまざまかと思いますが、この賃金には、知っておかないとトラブルになる落とし穴がたくさん存在します。

 当ブログでは賃金に関するさまざまな注意点について、複数回にわたって解説します。

 今回は平均賃金についてです。

 

平均賃金

 平均賃金とは、手当や補償、減給制裁の制限額を算定する際などに用いられる1日あたりの賃金のことを指します。

 具体的には、原則として下記のように算定されます。

 

平均賃金※ 事由の発生した日以前3か月間に支払われた賃金の総額 ÷ その期間の総日数(暦日数)

※ 原則は一円未満を四捨五入します。

 

 ただし、パート・アルバイト等で賃金が日給、時間給、出来高払制等によって算定されている場合、労働日数が少ないと平均賃金が低額になる可能性があります。そのため、このような労働者に対しては以下の最低保障額が定められています。

 

平均賃金 =(事由の発生した日以前3か月間に支払われた賃金の総額 ÷ その期間の労働日数)× 60%

 

 また、日雇労働者の場合は、稼働にむらがあり、日によって勤務先が変わることもあるため、原則による計算式では平均賃金が正確に算定されない場合があります。よって、一般労働者とは区別して以下の金額で算定されます。

 

平均賃金 =(同一事業場1ヶ月間に支払われた賃金の総額 ÷ 1ヶ月間の総労働日数)× 73%


 それではそのほか、計算にあたっての詳細な注意点を、ポイントごとに解説します。 

 

算定事由と算定事由発生日

 平均賃金を算定する主な事由と、その事由が発生したとされる算定自由発生日は下記のとおりです。

 

平均賃金を算定する事由 算定事由発生日
解雇予告手当  労働者に解雇の通告をした日

休業手当

 休業日の初日
年次有給休暇中の賃金  年次有給休暇の初日
災害補償  事故発生日又は診断によって疾病の発生が確定した日
減給の制裁  制裁の意思表示が相手方に到達した日

 

 表を見てもらうと分かるように、残業代を支給する際の割増賃金は、平均賃金とは異なる方法で算定されるため注意しましょう。(詳細は次回解説します。)

 また、実務においては、月給制で賃金の締切日を定めていることが多いかと思われますが、その場合には算定事由発生日の直前の賃金締切日から起算した3ヶ月間で算定をします。例えば本日10月7日が算定事由発生日の場合、原則は7月8日〜10月7日の3ヶ月が算定期間となりますが、毎月末日が賃金締切日であった場合は、7月1日〜9月30日の3ヶ月が算定期間となります。

 ちなみに、雇入れの初日に上記の事由が生じた場合には、都道府県労働局長が定めるところにより平均賃金が決定されます。

 

総日数から控除する期間

 

算定期間に下記の期間が含まれる場合、当該期間も含めて平均賃金の計算を行うと、平均賃金が著しく低くなるおそれがあることから、労働者の生活を保障するため、その期間は平均賃金の算定期間から控除されます。併せてその期間中の賃金についても、賃金の総額から除外されます。

 

 ① 業務上負傷し、又は疾病による療養のために休業した期間

 ② 産前産後に休業した期間

 ③ 使用者の責めに帰すべき事由によって休業した期間

 ④ 育児休業または介護休業をした期間※1

 ⑤ 試用期間※2

 ⑥ 労働争議により正当な争議行為を行うことによる休業期間

 ⑦ 組合専従期間

 ※1 育児介護休業法にある「子の看護休暇」や「介護休暇」は、上記には該当しません。

 ※2  試用期間中に算定事由が発生した場合、試用期間中の日数及びその賃金にて平均賃金を算定することとなります。

 

 上記の休業期間の中に、一部休業が含まれる場合には、支払賃金の大小に関わらずその期間も休業扱いとなります。

 また、また、上記の休業が3ヶ月以上にわたる場合には、算定期間が1日も無くなってしまいますが、その場合は都道府県労働局長が定めるところにより平均賃金が決定されます。

 

算定基礎から除外される賃金

 以下の賃金は、平均としての賃金算定に馴染まないものであることから、計算における賃金の総額には含まれません。

 

 ① 臨時に支払われた賃金(結婚手当など)

 ② 3ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金

 ③ 労働協約で定められていない現物給与

 

 つまり、基本給以外の毎月支払われる通勤手当などについては、平均賃金の算定に加える必要があるので注意しましょう。

 

まとめ

 いかがだったでしょうか。

 平均賃金は、労働者の生活を保護するための大変重要なものであるため、算定にあたっては間違いがないように慎重に計算を行うようにしましょう。判断に迷う場合にはお近くの専門家に相談することをお勧めします。

 次回は割増賃金について解説します。

 磯会計センターでは、茨城でお困りの中小事業主様や個人事業主様に、会計・税務・労務から補助金・融資など幅広くサポートをしておりますので、お悩み事がございましたらぜひお気軽にご相談ください。

 

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