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意外と知らない賃金の落とし穴を社労士が解説!①〜賃金の定義〜

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意外と知らない賃金の落とし穴を社労士が解説!①〜賃金の定義〜

意外と知らない賃金の落とし穴を社労士が解説!①〜賃金の定義〜

2024/09/23

はじめに

 従業員を雇用する企業であればどこでも、従業員に対して労働の対価として賃金を支払うかと思います。賃金の金額や支払い方などは企業によってさまざまかと思いますが、この賃金には、知っておかないとトラブルになる落とし穴がたくさん存在します。

 当ブログでは賃金に関するさまざまな注意点について、複数回にわたって解説します。

 今回は賃金の定義についてです。

 

賃金とは

 労働基準法第11条では、賃金を次のように定義しています。

 

 この法律で賃金とは、賃金、給料、手当、賞与その他名称の如何を問わず労働の対償として

 使用者が労働者に支払うすべてのものをいう。

 

 では、条文を詳細に解説していきます。

 

名称の如何を問わず

 「名称の如何を問わず」ということは、使用者が従業員に労働の対価として支給するものは、〇〇手当や、〇〇金など、一見すると賃金ではなさそうなものもすべて賃金に該当するということです。

 

労働の対償として

 「労働の対償として」とは、簡単にいうと「労働の見返りとして」ということです。反対にいうと次のような労働の見返りとは言えないものは賃金には該当しないということです。

 ・労働の対価とは関係なく任意で支払われる「結婚祝金・弔慰金・退職手当」等

  (ただし、就業規則等であらかじめ支給条件が明確になっているものは賃金となります。)

 ・住宅手当

  (ただし、住宅手当を支給しない従業員に同等の手当がされている場合には、住宅手当も含めて賃金となります。)

 ・交通費や作業衣等の実費弁償分

 ・休業補償費

 ・解雇予告手当

 ・ストックオプションから得られる利益

 ・従業員から3分の1以上の代金を支払ってもらい給付する現物給付

  (3分の1以下の場合には、3分の1と本人負担額の差額が賃金となります。)

 

使用者が労働者に支払うすべてのもの

 「使用者が労働者に支払うすべてのもの」が賃金となるので、客から受け取るチップのようなものは賃金には含まれません。(しかし、当該チップを使用者が回収し、労働者に全額を均等配分しているような場合には、賃金であると言えます。)

 また、役員報酬に関しても、原則的には役員は労働者には当たらないことから、賃金には当たらないとされています。

 

参考:所得税法上の「賃金」について

 所得税法においては、賃金は主に「給与所得」として扱われることとなりますが、所得税法は課税目的を重視した制度であるため、上記で賃金でないとされていたものも、所得税の計算においては含めなければいけないケースもあります。

 例えば、役員報酬はもちろん給与所得に含まれますし、結婚祝金等についても、その金額が社会通念上相当と認められない場合には給与所得として課税されてしまいます。

 また、解雇予告手当は、所得税法上は「退職所得」として扱われ、ストックオプションから得られる利益は、「給与所得」または「譲渡所得」として課税されます。

 

まとめ

 いかがだったでしょうか。

 賃金の定義を誤って解釈してしまうと、これに関連する、平均賃金の計算や、労働保険料や社会保険料の計算も誤ってしまう可能性があるため、今一度ご自身の会社の賃金制度について、見直してみてはいかがでしょうか。

 次回は賃金支払いの5原則について解説します。

 磯会計センターでは、茨城でお困りの中小事業主様や個人事業主様に、会計・税務・労務から補助金・融資など幅広くサポートをしておりますので、お悩み事がございましたらぜひお気軽にご相談ください。

 

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