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【労務】年収の壁支援パッケージを税理士兼社労士が解説!③〜106万円の壁への対応〜

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【労務】年収の壁支援パッケージを税理士兼社労士が解説!③〜106万円の壁への対応〜

【労務】年収の壁支援パッケージを税理士兼社労士が解説!③〜106万円の壁への対応〜

2024/09/12

はじめに

 2023年10月から、「年収の壁・支援パッケージ」という政策がスタートしているのを皆さんはご存知でしょうか。

「年収の壁・支援パッケージ」とは、パートやアルバイトの方で、年収の壁によって労働時間を抑えている人向けに、年収の壁を意識せずに働くことができるようにする施策のことです。当ブログでは、この「年収の壁・支援パッケージ」の内容について、複数回にわたって詳しく解説します。

 今回は106万円の壁に対する支援策について解説します。

 

(おさらい)106万円の壁とは

 以下のすべての要件を満たすパートやアルバイトの人は、社会保険の加入義務が生じます。要件のうち「所定内賃金が月額8万8,000円」を年収に換算すると約106万円になることから、「106万円の壁」といわれています。

 ・勤務先の従業員数が101人以上(2024年10月以降は51人以上となります。)

 ・週の所定労働時間が20時間以上30時間未満

 ・勤務期間が2ヵ月を超える見込みがある

 ・学生ではない

 ・賃金が月額8万8,000円以上

 社会保険の加入により手取り収入が減ってしまうため、働く時間を調整している人もいらっしゃるかと思います。

 

106万円の壁に対する対応(キャリアアップ助成金)

 今回の「年収の壁・支援パッケージ」においては、従業員が106万円の壁を意識せずに働けるような環境づくりを行う企業を後押しするために、手当を支給したり、労働時間を延長する企業に対して助成金を支給するという対応が採られています。

 なお、これから説明する助成金については、令和8年3月31日までの時限措置であり、令和8年3月31日までの間に新たに社会保険の適用となった労働者が対象であることに注意してください。

 具体的には下記の通りです。

 

(1)手当等支給メニュー

  要件 申請時期 1人当たり助成額
1年目  賃金の15%以上を追加支給(手当等)

左記の取組を

6ヶ月間継続した後

2ヶ月以内

6ヶ月ごとに

10万円×2回

2年目

 賃金の15%以上を追加支給(手当等) +

 3年目以降、下の要件の取組が行われること

6ヶ月ごとに

10万円×2回

3年目  賃金の18%以上を増額(基本給)

6ヶ月で

10万円

※ 大企業は7.5万円

 

 1年目及び2年目は「社会保険適用促進手当」を支給することが要件となります。「社会保険適用促進手当」は、新たに発生した本人負担分の保険料相当額を上限として、保険料算定の基礎となる標準報酬月額・標準賞与額の算定に考慮しないことができます(最大2年間)。新たな手当を支給することとなるので、就業規則もしくは賃金規定の変更を忘れずに行うようにしましょう。

 また、事業所内でのバランスを考慮して、もともと社会保険が適用されている従業員にも同水準の手当を特例的に支給する場合にも、同様に助成金を受給することができます。

 なお、3年目に関しては、社会保険適用促進手当ではなく、基本給を増額させることが必要ですので注意しましょう。

 

(2)労働時間延長メニュー

週所定労働時間の延長   賃金(基本給)の増額 申請の時期 一人当たり助成額
4時間以上 +

左記の取組を

6ヶ月間継続した後

2ヶ月以内

6ヶ月で30万円
3時間以上4時間未満 5%以上
2時間以上3時間未満 10%以上
1時間以上2時間未満 15%以上

※ 大企業は22.5万円

 

 所定労働時間を延長させることによって社会保険を適用させる場合に、助成されるメニューです。原則、延長前6か月の週平均実労働時間と延長後6か月の週所定労働時間を比較します。

 こちらは、賃金を増加させる場合には基本給を増額させる必要があるため注意しましょう。

 

(3)併用メニュー

  要件 申請時期 一人当たり助成額
1年目  賃金の15%以上を追加支給(手当等)

左記の取組を

6ヶ月間継続した後

2ヶ月以内

6ヶ月ごとに

10万円×2回※1

2年目

(2)労働時間延長メニューのいずれかを実施

6ヶ月で30万円※2

※1 大企業は7.5万円

※2 大企業は22.5万円

 

 1年目に(1)手当等支給メニューの取組を行い、2年目に(2)労働時間延長メニューの取組を行った場合に助成されるメニューです。

 

キャリアアップ計画書

 適用するメニューについて、労働者と合意が取れ次第、まずはキャリアアップ計画書を作成し、管轄する労働局もしくはハローワークに提出する必要があります。

 キャリアアップ計画書は厚生労働省のHPから取得することができます。今回の各種メニューの適用に関する記載に当たっては、「7 社会保険適用時処遇改善コース」を選択の上、申請するようにしましょう。

まとめ

 いかがだったでしょうか。

 今回は、106万円の壁に対する支援策について解説しました。今回解説したキャリアアップ助成金は、前述した通り時限措置となっているため、お早めに専門家等とも相談するようにしましょう。また、キャリアアップ助成金はこのほかにもたくさんの種類がありますので、それらも後日解説できればと思います。

 磯会計センターでは、茨城でお困りの中小事業主様や個人事業主様に、会計・税務・労務から補助金・融資など幅広くサポートをしておりますので、お悩み事がございましたらぜひお気軽にご相談ください。

 

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