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【会計処理】圧縮記帳について税理士が解説!②〜国庫補助金等〜

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【会計処理】圧縮記帳について税理士が解説!②〜国庫補助金等〜

【会計処理】圧縮記帳について税理士が解説!②〜国庫補助金等〜

2024/08/26

はじめに

 みなさんは「圧縮記帳」という会計処理をご存知でしょうか。圧縮記帳とは、節税対策のうち繰延節税を目的として行われる会計処理であり、固定資産の取得等をした際に、一定の要件を満たした場合に、取得等のために享受した利益に対する課税を繰り延べる効果を持っています。

 今回はこの圧縮記帳のうち、国庫補助金等の概要及び論点について解説します。

 

圧縮記帳とは

 圧縮記帳は、節税対策のうち繰延節税を目的として行われる会計処理です。例えば、固定資産の取得のために補助金等の交付を受けた場合、補助金は受領時に「国庫補助金受贈益」という、企業の利益として計上されます。つまり、その補助金を受領したことにより法人税等の負担が大きくなってしまいます。よって、せっかく補助金をもらったとしても、一部しか固定資産の取得のために使用できなくなってしまいます。そこで、圧縮記帳という会計処理を用いることによって、当該利益に対する課税を繰り延べることができるという仕組みです。

 

国庫補助金等の交付

 固定資産の取得や改良に充てるために国または地方公共団体の補助金等(以下「国庫補助金等」といいます。)の交付を受けた場合で、その国庫補助金等をもって固定資産の取得や改良をした場合には、圧縮記帳の会計処理が適用できます。

対象となる補助金は国や地方公共団体のみでなく、持続化補助金やものづくり補助金なども対象となります。すべての補助金等が対象となるわけではないため、補助金の税法上の取り扱いをよく確認するようにしましょう。

 なお、国庫補助金等による圧縮記帳の場合、圧縮限度額は補助金の額となります。

 

返還の必要がある場合

 国庫補助金等の圧縮記帳には、返還不要の確定という条件があります。一般的には返還不要の通知を受けた国庫補助金等が、返還を要しないことが確定した国庫補助金等に該当するとされています。仮に国庫補助金等について返還が行われるか否かが未確定の場合、圧縮記帳は適用できません。しかしこの場合、下記のように特別勘定を用いた経理処理を行うことによって、圧縮記帳と同様の効果を得ることができます。

(例)補助金:500万円

   機械装置の取得価格:1,500万円

   耐用年数:5年(定額法)

1年目 仕訳
補助金の交付を受けた(未確定) 現預金        500万円 / 仮受金        500万円
機械装置を取得した 機械装置     1,500万円 / 現預金      1,500万円
減価償却の計上 減価償却費      300万円 / 減価償却費累計額   300万円

 

2年目 仕訳
補助金の交付を受けた(確定) 仮受金        500万円 / 国庫補助金収入    500万円
圧縮損の計上① 固定資産圧縮損    400万円 / 機械装置       400万円
減価償却の計上② 減価償却費      200万円 / 減価償却費累計額   200万円

 

① (補助金の交付時の固定資産の帳簿価格)×(国庫補助金等の額 ÷ 固定資産の取得価格)

 = 1,200万円 ×( 500万円 ÷ 1,500万円 )

② (固定資産の取得価格 - 国庫補助金等の額)× 償却率

 =( 1,500万円 - 500万円 )× 0.2

 

 なお、国庫補助金等には、「交付の条件に違反した場合には返還しなければならないこと。」や「一定期間内に相当の収益が生じた場合には返還しなければならないこと。」といった返還要件が付されることが多いですが、仮に当該条件が付されたとしても、返還を要しないことが確定しているかどうかの判定には関係がないとされています。

 

補助金が事後交付される場合の会計処理

 最近では、補助金の交付決定がなされた後、実際に固定資産の取得を行い、その後審査の上補助金の交付を受けるケースが増えてきています。

 具体的には、固定資産の取得と補助金の交付の間に、決算を迎えた場合には、下記のように通常とは異なる特殊な処理を行うこととなります。

(例)補助金:500万円

   機械装置の取得価格:1,500万円

   耐用年数:5年(定額法)

1年目 仕訳
機械装置を取得した 機械装置     1,500万円 / 現預金      1,500万円
減価償却の計上 減価償却費      300万円 / 減価償却費累計額   300万円

 

2年目 仕訳
補助金の交付を受けた 現預金        500万円 / 国庫補助金収入    500万円
圧縮損の計上① 固定資産圧縮損    400万円 / 機械装置       400万円
減価償却の計上② 減価償却費      200万円 / 減価償却費累計額   200万円

 

① (補助金の交付時の固定資産の帳簿価格 - 特別償却準備金の残額)×(国庫補助金等の額 ÷ 固定資産の取得価格)

 =( 1,200万円 - 0 )×( 500万円 ÷ 1,500万円 )

② (固定資産の取得価格 - 国庫補助金等の額)× 償却率

 =( 1,500万円 - 500万円 )× 0.2

 

まとめ

 いかがだったでしょうか。

 今回は国庫補助金等の交付を受けた際の圧縮記帳について、一部の論点を解説しました。国庫補助金等はその内容によって募集要項等から交付方法まで様々です。それぞれの補助金等に併せて、圧縮記帳のタイミング等についても早めに検討することをお勧めします。

 次回は保険差益の交付を受けた場合の圧縮記帳の論点について解説します。

 磯会計センターでは、茨城でお困りの中小事業主様や個人事業主様に、会計・税務から補助金・融資など幅広くサポートをしておりますので、お悩み事がございましたらぜひお気軽にご相談ください。

 

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