【企業防衛】保険税務の取り扱いを税理士が解説!④〜医療保険〜
2024/08/08
はじめに
前回から、保険商品ごとの会計処理について解説しています。
今回はそのうち、契約者が法人のケースにおける医療保険についての会計処理を解説します。なお、投稿日現在の税制に基づく処理となることご了承ください。
医療保険とは
医療保険とは、病気やケガなどにより医療機関に罹った際に、支払う自己負担額を軽減する保険です。女性特有のほけんやがんに対する保険、入院時の保険など様々な種類があり、さらに重大疾病に対する特約がつけられたりするため、加入者のニーズに応じた保険に加入することができます。
医療保険の種類も、貯蓄型と掛け捨て型、全期払い短期払いなど様々で、会計処理もそれぞれ異なります。
医療保険の会計処理① 掛け捨て型の場合
掛け捨て型の医療保険の場合、医療保険を払込した際は、その全額を経費計上します。
医療保険の会計処理② 貯蓄型で全期払いの場合
貯蓄型で全期払いの医療保険の場合、会計処理は定期保険に準じますので、前回解説した、『【企業防衛】保険税務の取り扱いを税理士が解説!③〜定期保険〜』を参考にしてください。
医療保険の会計処理② 貯蓄型で短期払いの場合
医療保険の払込時の会計処理
医療保険の払込をした際は、支払保険料のうち「年間保険料 × 保険料払込期間 ÷ 保険期間」で算出した金額を費用計上し、残りは資産計上します※1※2。
保険料の払込期間満了後は、残保険期間にわたって、資産計上している前払保険料を均等に取り崩し費用計上します。
※1 終身タイプの保険期間は「116歳-契約年齢」で計算します。
※2 全保険会社の契約を合算した一被保険者あたり年払保険料が30万円以下の場合には、支払保険料を全額費用計上します。
医療保険の給付金受取時の会計処理
満期保険金や死亡保険金・解約返戻金を受け取った際は、受け取った金額を雑収入として計上します。
医療保険の解約返戻金受取時の会計処理
解約返戻金を受け取った際は、それまで資産計上していた前払保険料を取り崩し、保険積立金と保険金の差額を雑収入(雑損失)として計上します。
会計処理設例
(前提)
・払込期間:10年
・契約年齢:46歳
・年間保険料:1,400千円
No. | 設例 | 仕訳 |
①-1 | 医療保険の保険料(年払)を1,400千円支払った。 |
保険料 200千円 / 現金 1,400千円 前払保険料 1,200千円 |
①-2 | 保険料払込期間満了後、決算期が到来した。 |
保険料 200千円 / 前払保険料 200千円 |
②-1 | 入院をし、給付金を500千円受け取った。 |
現金 500千円 / 雑収入 500千円 |
③-1 | 15年後、医療保険を解約した。 |
現金 8,000千円 / 前払保険料 11,000千円 雑損失 3,000千円 |
まとめ
いかがだったでしょうか。
今回は医療保険の会計処理について解説しました。個人で加入することが多い医療保険ですが、法人で加入することによって従業員に対する福利厚生にも活用することができます。お近くの専門家とも相談の上、ご自身の事業の状態やライフスタイルに合わせて商品を検討することをお勧めします。
磯会計センターでは、茨城でお困りの中小事業主様や個人事業主様に、会計・税務から補助金・融資など幅広くサポートをしておりますので、お悩み事がございましたらぜひお気軽にご相談ください。
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