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【2024年改正】賃上げ促進税制の変更点を税理士が解説!

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【2024年改正】賃上げ促進税制の変更点を税理士が解説!

【2024年改正】賃上げ促進税制の変更点を税理士が解説!

2024/06/28

はじめに

 令和6年度税制改正の目玉の一つに賃上げ促進税制の改正が挙げられます。賃上げ促進税制とは、前年度より給与等を増加させた場合に、その増加額の一部を法人税(個人事業主は所得税)から税額控除できる制度ですが、今回はこの改正点を中心に解説いたします。

 なお、中小企業向け賃上げ促進税制の概要や、用語の解説等は『【節税】中小企業向け賃上げ促進税制を税理士が解説!』を参考にしてください。

 

賃上げ促進税制の改正点

 ① 大企業向け

 これまで、資本金1億円超かつ従業員数が1,000人超の会社は大企業とされ、給与等の増加割合が3%以上の場合増加額に対して15%、4%以上の場合増加額に対して25%の税額控除が適用されていましたが、改正により、3%以上の場合増加額に対して10%、4%以上の場合増加額に対して15%の税額控除に変更されました。また、新たに5%及び7%の枠が新設され、5%以上の場合増加額に対して20%、7%以上の場合増加額に対して25%の税額控除が適用されることとなります。

 また、賃上げ促進税制には上乗せ要件があり、教育訓練費の増加割合が20%以上の場合、税額控除率に5%加算がされていましたが、改正により、教育訓練費の増加割合が10%以上、かつ、教育訓練費が雇用者給与等支給額の0.05%以上の場合、税額控除率に5%加算がされることとなりました。

 さらに、新たに上乗せ要件として、子育てとの両立・女性活躍支援を行っている企業に対する控除が新設されました。具体的には、プラチナくるみん認定、または、プラチナえるぼし認定を取得した場合、税額控除率に5%加算がされることとなりました。

 ここまでの改正をまとめると下記のとおりです。改正により、通常の給与等の増加割合による要件はこれまでよりも多少厳しくなっていますが、上乗せ要件を考慮すると最大控除率は5%増加しています。

項目 改正前 改正後
税額控除率 10%

3%以上
15%

3%以上

4%以上

20%

5%以上

25% 4%以上 7%以上
加算要件①(5%加算)

教育訓練費の

増加割合

20%以上

教育訓練費の増加割合が10%以上

かつ

教育訓練費が雇用者給与等

支給額の0.05%以上

加算要件②(5%加算)

以下のいずれかを取得

・プラチナくるみん認定

・プラチナえるぼし認定

 

② 中堅企業向け

 大企業のうち、従業員数が2,000人以下の会社を中堅企業とし、大企業とは異なる要件が設けられることとなりました。大企業と比較した要件をまとめると下記のとおりで、大企業よりも給与等の増加割合による要件や、子育てとの両立・女性活躍支援の要件が緩くなっています。

  大企業 中堅企業
税額控除率 10%

3%以上

3%以上
15%

4%以上

20% 5%以上
25% 7%以上

4%以上

加算要件①(5%加算)

教育訓練費の増加割合が10%以上

かつ

教育訓練費が雇用者給与等支給額の0.05%以上

加算要件②(5%加算)

以下のいずれかを取得

・プラチナくるみん認定

・プラチナえるぼし認定

以下のいずれかを取得

・プラチナくるみん認定

・プラチナえるぼし認定

・えるぼし認定(3段階目)

 

③ 中小企業向け

 資本金1億円以下の法人や従業員数1000人以下の個人事業主は大企業とは異なる要件が設けられています。今回の改正により、大企業等と同様に、教育訓練費の増加割合による要件が変更され、子育てとの両立・女性活躍支援の要件が新設されています。これによって、上乗せ要件を考慮すると最大控除率は5%増加することとなります。

項目 改正前   改正後

税額控除率

15% 1.5%以上
30% 2.5%以上
加算要件①(10%加算)

教育訓練費の

増加割合

10%以上

教育訓練費の増加割合が5%以上

かつ

教育訓練費が雇用者給与等

支給額の0.05%以上

加算要件②(5%加算)

以下のいずれかを取得

・プラチナくるみん認定

・プラチナえるぼし認定

・えるぼし認定(2段階目)

 

 また、中小企業の場合、損失が発生したため等、当該税制による税額控除ができなかった場合、当該税額控除額を5年間繰り越せるようになりました。これによって、所得が発生しない場合であっても、賃上げを実施するインセンティブが働くことになったと考えられます。

 

まとめ

 いかがだったでしょうか。

 賃上げの動きはここ数年で活発化しています。賃上げに対する支援策も今回の税制だけではありません。さまざまな制度を活用して従業員満足度を高めつつ効率化を促進できるような企業体制を構築していきましょう。

 磯会計センターでは、茨城でお困りの中小事業主様や個人事業主様に、会計・税務から補助金・融資など幅広くサポートをしておりますので、お悩み事がございましたらぜひお気軽にご相談ください。

 

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