融資に強い会社になろう!〜5.事業計画書の書き方〜
2024/06/03
はじめに
中小企業や個人事業主は、大企業に比べて資金力が乏しく、事業拡大のためには金融機関からの融資の存在は欠かすことができません。
しかし一言に融資といっても、どういった融資が自分に合っているのか、どのように金融機関と交渉したら良いのかなど、普段金融機関と接する機会のない事業主にとっては不安なことがたくさんあるかと思います。
当ブログでは今回から複数回にわたって、様々な融資に強い会社になるための知識を紹介します。
第5回は事業計画書の書き方について解説します。
事業計画書とは
事業計画書とは、事業の内容や今後の目標、売上などの損益計画を記載した書類です。
事業計画書を作成することによって事業主の頭の中のイメージが具体的になり、今まで知らなかった競合他社やユーザー層などを理解する機会にもなります。また、従業員と目標を共有する際も、言葉だけでなく資料があることで共有しやすくなります。
事業計画書の作成は義務ではないため、中小企業の事業主の中には作成していない方もいるかもしれませんが、金融機関からの融資を受ける際に事業計画書の提出が求められることがあります。
事業計画書の作成ポイント
金融機関へ事業計画書を提出する際のポイントは下記のとおりです。
① 事業目的・商品の強みが明確か
金融機関から融資を受ける際には、資金用途を明確にする必要がありますが、前提として企業としての活動方針や、商品の強みを記載します。他の記載でも同じことが言えますが、できるだけ抽象的な記載を避け、具体的な表現ができると良いでしょう。
② 正確な情報かつ現実的な目標であるか
事業計画書の損益数値と決算書の数値が異なっていたり、事業主の説明と商品の内容が異なっていると、金融機関からの信頼関係に大きく影響してしまうため、作成にあたってはミスの内容に記載することは大前提となります。
そして、金融機関は融資が適切に返済されることが一番のポイントですので、金融機関に提出する事業計画書に記載される目標や損益の計画は、確実に実現できる記載にすることが必要です。たとえば、赤字が続く会社の目標として何の見込みもなく、「来期までに黒字化します!」という計画を掲げても、金融機関からの信頼は得られません。
資金繰り計画とは
資金繰り計画とは、事業計画書の一部ともいえる書類で、会社の資金の出入りについて記載した書類です。金融機関から融資を受ける際にはこの資金繰り計画の提出はほぼ必須と言えます。事業を運営していると、利益は出ているのに資金がないといった状況がありますが、これは損益の流れと資金の動きが一致していないことが要因です。つまり、事業計画書に記載する損益計画と資金繰り計画は、厳密には内容が異なることとなります。
損益計画の場合、決算書の作成をしたことがある方であれば記載は難しくないかもしれませんが、資金繰り計画は、専門家でも作成の精度にかなり差が出てきてしまうくらい難易度が高いため、逆をいえば作成のノウハウがある会社は、それだけで金融機関から信頼を得やすくなるでしょう。
資金繰り計画の作成ポイント
事業計画書に記載する損益計画と資金繰り計画は主に下記の点で異なるため、作成にあたってはこれらを考慮する必要があります。
① 売上計上と入金タイミングのズレ(仕入計上と出金タイミングのズレ)
売上を現金ではなく売掛により計上する場合、会計上はモノやサービスを提供した時点で売上を計上しますが、実際の入金は翌月や翌々月になることが多いです。仕入の場合も同様に、会計上はモノやサービスの提供を受けた時点で仕入を計上し、実際の支払いはその後になるでしょう。
② 棚卸資産の購入
棚卸資産を購入した場合、その棚卸資産を実際に販売して初めて経費として計上できるため、資金計画上は先に資金だけ支出されていても、損益計画上は経費としては計上されていない場合があります。また、有価証券を購入した場合なども同様に、資金の出入りと損益の計上額は異なります。
③ 固定資産の購入
固定資産を購入した場合、減価償却という方法により一定期間を通じて経費として計上されるため、資金計画上は先に資金だけ支出されていても、損益計画上の経費計上額とは異なります。
④ 借入及び返済
借入をした場合、資金は増えますが損益には全く影響はありません。反対に借入を返済した場合、資金は減りますが損益は影響ありません。資金繰り計画の作成にあたっては、事業活動により得られた資金のうち、いくらが返済に充てられるのかについても、重要な指標になります。
まとめ
いかがだったでしょうか。
事業計画書をどれだけ精度高く作成できるかが、金融機関からの評価を高め、有利な条件で融資を行うための一番重要なポイントと言っても過言ではありません。特に資金繰り計画についてはその作成が難しいため、不安がある場合には一度専門家に相談の上、一緒に計画書を作成することをお勧めします。
次回はリース取引と融資の関係について解説します。
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