【所得税】為替差益が生じた場合の申告について税理士が解説!
2024/02/26
はじめに
2023年も2022年に引き続き歴史的な円安を記録し、2023年10月には一時150円台に到達しています。この円安水準がいつまで続くかは予想できませんが、この円安に伴う物価高の影響によって苦しんでいる事業者も多い中、為替取引によって利益を獲得している方も多いのではないでしょうか。
今回はそういった為替差益を得た場合の確定申告について解説します。
為替差益とは
税務上、確定申告の対象となる為替差益は主に下記の3つです。会計上、為替差益は外貨を換算したことによる実現した利益と、外貨を保有していることによって生じる評価としての利益の2つの意味がありますが、確定申告の対象となるのは、外貨を換算したことによる実現した利益のみです。
1. 保有する外貨預金を日本円に交換する場合
外貨預金を預け入れた時よりも、日本円に交換するときの方が円安となっている場合、為替差益が発生します。
例えば、1ドル100円の時に100ドルの外貨預金を購入(=10,000円)した場合で、その後1ドル150円の時に当該外貨預金を売却(=15,000円)すると、5,000円の為替差益が発生しています。
2. 保有する外貨預金を別の外貨預金に交換する場合
外貨預金を預け入れた時よりも、さらに円安となっている他の外貨に交換した場合、為替差益が発生します。
例えば、1ドル100円の時に100ドルの外貨預金を購入(=10,000円)した場合で、その後1ユーロ150円、1ドル0.8ユーロの時に当該外貨預金でユーロを購入すると、「(150円×80ユーロ)ー(100円×100ドル)=2,000円」の為替差益が発生しています。
一方、例えばドル建定期預金が満期となったため、満期日に全額を払い出し、同日他の銀行に同額のドルを預け入れた場合は、外貨建て取引に該当せず、為替差益を認識しなくてもよいこととなっています。
3. 保有する外貨預金で外貨建て商品を購入する場合
こちらは意外かもしれませんが、前々から預けている外貨預金をもとに、外貨建ての商品を購入した場合も、円安が進行している場合は為替差益が発生します。
例えば、1ドル100円の時に100ドルの外貨預金を購入(=10,000円)した場合で、その後1ドル150円の時に当該外貨預金をもとに海外の株式を購入(15,000円)すると、5,000円の為替差益が発生しています。
為替差益が発生しても確定申告が不要になるケース
基本的には上記のような為替差益が発生した場合には、雑所得※1に該当し確定申告をする必要がありますが、以下の場合には、確定申告の必要はありません。
・その年分の所得の合計額が、所得控除額の合計額以下の場合
・給与所得者の給与収入が2,000万円以下であり、かつ、副業による所得(為替差益含む)の合計額が20万円以下の場合
・年金受給者の公的年金の収入金額が400万円以下であり、かつ、その他の所得(為替差益含む)の合計額が20万円以下の場合※2
※1 為替取引を事業的規模で行なっている場合には、事業所得に該当します。
※2 別途住民税の申告が必要な場合があります。
まとめ
いかがだったでしょうか。
副業による収入や、今回のような突発的な収入については、確定申告が漏れがちですので、本業以外で収入を得た場合には、確定申告の対象となるのかどうかについて、一度専門家に相談することをお勧めします。
磯会計センターでは、茨城でお困りの中小事業主様や個人事業主様に、会計・税務から補助金・融資など幅広くサポートをしておりますので、お悩み事がございましたらぜひお気軽にご相談ください。
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