【基礎論点】所得税の仕組みを税理士が解説!⑧山林所得
2024/01/26
はじめに
所得税は、個人の所得に対してかかる税金で、1年間の全ての所得から所得控除を差し引いた残りの課税所得に税率を適用し税額を計算します。(平成25年からは復興特別所得税も併せて徴収されています。)
今回は確定申告を予定している方や、確定申告が必要かどうかわからない人向けに、所得税の基本論点や計算の流れ等を複数回に分けて解説します。第8回は山林所得についてです。
山林所得とは
山林所得とは、山林を伐採して譲渡したり、立木のままで譲渡することによって生ずる所得をいいます。山林の「譲渡」には、通常の売買のほか、交換、競売、公売、代物弁済、収用、法人に対する現物出資なども含まれます。
ただし、下記の場合には所得税は課税されません。
・山林を国や地方公共団体に寄附した場合や、公益法人等に寄附し国税庁長官の承認を受けた場合
・山林を相続税の物納に充てた場合
・資力を失い、債務を弁済することが著しく困難な場合に、滞納処分や強制執行、競売、破産手続などにより、山林(山林を継続的に譲渡している人が所有しているものを除きます。)を譲渡した場合
また、下記は山林所得と似ていますが、異なる所得となりますので注意しましょう。
項目 | 所得区分 | |
山林を土地付で譲渡する場合の土地の部分 |
譲渡所得 |
|
山林を取得してから5年以内に譲渡した場合 | 事業所得又は雑所得 |
山林所得の計算
山林所得の金額は、『総収入金額-必要経費-特別控除額(最高50万円)ー青色申告特別控除(最高10万円)』で計算されます。また、税額の計算に当たっては、他の所得と合計せず、「(課税山林所得金額×5分の1× 税率)×5」で計算します。
総収入金額
譲渡の対価が収入金額となります。なお、山林を伐採して自己の家屋を建築するために使用するなど家事のために消費した場合は、その消費したときの時価が総収入金額に算入されます。
必要経費
山林の原則として取得から売却までにかかった費用を必要経費に算入することができます。例えば植林費などの取得費のほか、下刈費などの育成費、維持管理のために必要な管理費、さらに、伐採費、運搬費、仲介手数料、青色事業専従者給与額などの譲渡費用です。
また、必要経費には、概算経費控除といわれる特例もあります。伐採または譲渡した年の15年前の12月31日以前から引き続き所有していた山林を伐採または譲渡した場合は、収入金額から伐採費などの譲渡費用を差し引いた金額の50%を、伐採費などの譲渡費用に加算して必要経費とすることができます。
特別控除額
特別控除額は「収入金額-必要経費」の額が限度で、最高50万円となります。
青色申告特別控除
こちらは『【基礎論点】所得税の仕組みを税理士が解説!④不動産所得』を参考にしてください。ただし適用できる金額は10万円となります。
その他
山林所得の税金が軽減される特例が下記の通りいくつか挙げられます。詳細については国税庁HPを参考にしてください。
・森林計画特別控除の特例
・収用などにより山林を譲渡した場合の特例
・山林の譲渡代金が貸倒れになった場合の特例
・保証債務を履行するため山林を譲渡した場合の特例
まとめ
いかがだったでしょうか。
山林所得は、山林を所有していなければ一般的には関わることのない論点かと思いますが、計算に当たっては各種の特例や税率の計算方法など、他の所得と異なる点もあります。計算や申告に関して不安がある方は専門家に相談するようにしましょう。
次回は譲渡所得について解説します。
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