【基礎論点】所得税の仕組みを税理士が解説!⑥退職所得
2024/01/22
はじめに
所得税は、個人の所得に対してかかる税金で、1年間の全ての所得から所得控除を差し引いた残りの課税所得に税率を適用し税額を計算します。(平成25年からは復興特別所得税も併せて徴収されています。)
今回は確定申告を予定している方や、確定申告が必要かどうかわからない人向けに、所得税の基本論点や計算の流れ等を複数回に分けて解説します。第6回は退職所得についてです。
退職所得とは
退職所得とは、退職手当、一次恩給その他の退職により一時に受ける給与のことです。一般的な退職金のほか、退職手当とされるものは下記の通りです。
・解雇予告手当
・打切支給の退職手当
・国民年金法又は厚生年金保険法等に基づく一時金
・確定給付企業年金法に基づく一時金(自己負担分を除く)
・確定拠出年金法に基づく一時金
・小規模企業共済の一時金のうち、事業の廃止等による共済金又は65歳以上のものが解約したことに伴う解約手当金
一方、死亡したものの退職手当金等で、死亡後3年以内に支給が確定したものは相続税の課税価格に算入されるため、所得税としては非課税となります。なお、死亡後3年を超えて支給が確定したものは、遺族の一時所得になります。
退職所得の計算
退職所得の金額は、原則として、「(収入金額-退職所得控除額)×1/2=退職所得の金額」で計算します。※1
退職所得控除額は勤続年数に応じて次のように算定されます。
勤続年数※2 | 退職所得控除額※3 |
20年以下 | 40万円×勤続年数(最低80万円) |
20年超 | 800万円+70万円×(勤続年数-20年) |
また、同じ年に2ヶ所以上から退職金をもらう場合や、前年以前4年内に他の退職金がある場合、役員退職金の実務については、下記を参考にしてください。
『【税金】同じ年に2箇所以上から退職金をもらう場合の退職所得を税理士が解説!』
『【税金】前年以前4年内に他の退職金がある場合の退職所得控除の調整を税理士が解説!』
『【税金】役員退職金の実務③(常勤役員が非常勤役員となった場合・使用人から役員へ昇格した場合)』
『【税金】役員退職金の実務④(退職金と役員退職金の双方の支給があった場合・役員退職金の分割支給)』
『【税金】役員退職金の実務⑤(役員退職慰労金制度の廃止による打切支給・死亡した役員の退職金)』
なお、退職所得は他の所得と総合せず、分離課税とされ、超過累進税率により所得税が課税されます。
※1 特定役員退職手当等は1/2をしない金額とします。特定役員退職手当等とは、法人の役員や国家公務員等で、勤続年数が5年以下であるものが支払いを受ける退職手当をいいます。
※2 勤続年数の1年未満の端数は切り上げます。
※3 障害者になったことに直接起因して退職した場合には、上記により求めた金額に100万円を加算した金額が退職所得控除額とされます。
まとめ
いかがだったでしょうか。
退職所得は、さまざまな事情により計算方法が異なる場合があります。計算や申告に関して不安がある方は専門家に相談するようにしましょう。
次回は事業所得について解説します。
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