【税制改正】令和6年度税制改正の概要を税理士が解説!
2023/12/25
はじめに
2023年12月14日に、与党より「令和6年度税制改正大綱」が公表されました。
今回は、この大綱をもとに主要な項目に関しての簡単な概要を解説します。それぞれの詳細については後日改めて解説しますので、そちらも併せてご参考ください。
個人所得課税
①所得税・個人住民税の定額減税
2024年分の所得税額から、合計所得金額が1,805万円以下の者に対して、下記の金額が特別控除として控除されます。
所得税: 本人→3万円
同一生計配偶者及び扶養親族→1人につき3万円
個人住民税:本人→3万円
同一生計配偶者及び扶養親族→1人につき3万円
②ストックオプション税制
A 「権利行使により交付される株式が譲渡制限株式である」ストックオプションを上場前に権利行使する場合で、「当該譲渡制限株式の管理をストックオプション発行会社が行なっている場合」株式の証券会社への保管委託要件が不要となります。
B 一部の会社に対する権利行使価格の限度額が以下の通りに引き上げられます。
・設立5年未満の株式会社が発行する新株予約権→2,400万円
・設立5年以上20年未満の非上場株式会社が発行する新株予約権→3,600万円
・設立5年以上20年未満の上場後5年未満の株式会社が発行する新株予約権→3,600万円
C ストックオプションを社外高度人材に対して付与する場合の要件が一部緩和され、対象者が拡充されています。
③子育て支援に関する政策税制
住宅借入金等を有する場合の所得税の特別控除について、「40歳未満で配偶者を有する者」「40歳以上で40歳未満の配偶者を有する者」「19歳未満の扶養親族を有する者」(以下、子育て特例対象個人)に対して新たに借入限度額が設けられます。
住宅の区分 | 借入限度額 | |
原則 | 住宅被災者の場合 | |
認定住宅 | 5,000万円 | 5,000万円 |
ZEH水準省エネ住宅 | 4,500万円 | |
省エネ基準適合住宅 | 4,000万円 |
また、子育て特例対象個人が既存住宅を特定の改修工事した場合、工事費用相当額(限度額250万円)の10%が所得税から特別控除することができます。
これらの控除は、合計所得金額が2,000万円以上の者には適用がありません。
④土地・住宅税制
下記の税制に関して、適用期間延長や、適用要件の変更等の改正がされます。
・収容交換等の場合の譲渡所得の5,000万円特別控除
・特定土地区画整理事業等のために土地等を譲渡した場合の2,000万円特別控除
・特定の民間住宅地造成事業のために土地等を譲渡した場合の1,500万円特別控除
・特定の居住用財産の買い替え及び交換の場合の長期譲渡所得の課税の特例
・居住用財産の買替え等の場合の譲渡損失の繰延控除等
・特定居住用財産の譲渡損失の繰延控除等
・既存住宅の耐震改修をした場合の所得税額の特別控除
・既存住宅に係る特定の改修工事をした場合の所得税額の特別控除
・小笠原諸島への帰島に伴う譲渡所得等の課税の特例
・認定住宅等の新築等をした場合の所得税の特別控除
資産税関連
①土地に係る固定資産税等の負担調整措置
現行の『負担調整措置』『条例減額制度』『下落修正措置』の適用が3年間延長されます。
②相続税・贈与税
下記の税制に関して、適用期間延長や、適用要件の変更等の改正がされます。
・直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置
・特定の贈与者から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の相続時精算課税制度の特例
・個人の事業用資産に係る相続税・贈与税の納税猶予制度
・非上場株式にかかる相続税・贈与税の納税猶予制度
法人税関連
①賃上げ促進税制(大企業)
・資本金1億円超で従業員数が2,000人以下の法人を「中堅企業」とし、これまでの大企業と区分して税制が適用されます。
主な変更点は下記のとおりです。
項目 | 改正前 | 改正後 | ||
法人区分 | 大企業 | 大企業 | 中堅企業 | |
給与等の増加割合 | 3%以上 |
15% |
10% | 10% |
4%以上 |
25% |
15% |
25% | |
5%以上 |
20% |
|||
7%以上 | 25% | |||
加算要件①(5%加算) |
教育訓練費の 増加割合 が20%以上 |
教育訓練費の増加割合が10%以上 かつ 教育訓練費が雇用者給与等支給額の0.05%以上 |
||
加算要件②(5%加算) | ー |
以下のいずれかを取得 ・プラチナくるみん認定 ・プラチナえるぼし認定 |
以下のいずれかを取得 ・プラチナくるみん認定 ・プラチナえるぼし認定 ・えるぼし認定(3段階目) |
②賃上げ促進税制(中小企業)
・損失が発生したため等、当該税制による税額控除ができなかった場合、当該税額控除額を5年間繰り越せるようになりました。
・加算要件が下記のとおり変更されました。
項目 | 改正前 | 改正後 | ||
加算要件①(10%加算) |
教育訓練費の 増加割合 が10%以上 |
教育訓練費の増加割合が5%以上 かつ 教育訓練費が雇用者給与等支給額の0.05%以上 |
||
加算要件②(5%加算) | ー |
以下のいずれかを取得 ・プラチナくるみん認定 ・プラチナえるぼし認定 ・えるぼし認定(3段階目) |
③戦略分野国内生産促進税制の創設
「半導体、電気自動車、鉄鋼、基礎科学品、航空機燃料に関する設備の新設、増設等をした事業者」で、「産業競争力強化法の事業適応計画について認定を受けた事業者」は、認定後10年にわたって、生産販売量もしくは設備の取得価格を基礎とした一定の金額を税額控除できる制度が創設されます。
④イノベーションボックス税制の創設
特許権譲渡等取引を行った場合に、当該取引に係る所得の一定額を損金算入できる制度が創設されます。
⑤交際費等の損金不算入制度
損金不算入となる交際費等の範囲から除外される一定の飲食費にかかる金額基準を1人当たり1万円以下に引き上げる改正がされます。
消費税関連
①事業点免税制度の見直し
消費税の納税義務の免除の特例や簡易課税制度を利用した租税回避行為を是正するため、これらの制度について、一定の要件の見直しがされています。
まとめ
いかがだったでしょうか。
今回解説した内容は、税制改正の一部であり、解説した内容に関してもその他の詳細な要件等がある場合があります。これらの詳細については後日解説しますので、そちらも合わせてご参考にしていただければと思います。
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