【2024年版】年末調整の全てを徹底解説!①〜概要(年末調整とは?)〜
2024/10/31
はじめに
今年も年末調整の時期が近づいてきました。会社勤めの方の中にはすでに、年末調整関係の資料を会社からもらっているという方もいらっしゃるかと思いますが、書類の書き方がイマイチわからないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
一方経営者の視点でも、年末調整はどのような流れで何をしなければならないのか、どこに何を提出しなければいけないのかなど、押さえておかなければいけないポイントがたくさんあり、混乱しやすいところかと思います。
また、2024年は定額減税の関係で、年末調整に関してもさまざまな変更点があります。
当ブログでは、今回から数回にわたってこれらの年末調整の全容を詳しく解説しますので、ぜひ最後までご覧になっていただければと思います。
第1回はそもそも年末調整は何のためにやるのかといった概要から、対象者、罰則などについて解説します。
年末調整とは?
従業員は、原則その支払われる給与から、所得税があらかじめ天引きされています(このことを源泉徴収といいます。)。しかしこの源泉徴収された所得税というのはあくまで概算であり、本来納める所得税とは差額があります。年末調整は本来の従業員が納めるべき所得税と、あらかじめ源泉徴収された所得税との差額を精算する手続きです。実際の税金額が源泉徴収額より多ければ差額を納付し、少なければ差額が還付されます。
つまり、年末調整を正しく行わないと、本来還付されるはずの税金が還付されないといったことが発生してしまいます。また、年末調整を実施しない場合は従業員が自身で確定申告を行う必要があり、納税が遅れると延滞税がかかってしまいます。
年末調整の流れ
経営者が押さえておくべき年末調整のスケジュールは下記の通りです。
11月中:従業員に対して申告書類の配布
11月〜12月:申告書類の回収・チェックの実施
12月中旬〜1月上旬:年末調整の実施、源泉徴収票の作成、源泉徴収税の納付(1月10日まで)
1月中:法定調書合計表、支払調書、源泉徴収票、給与支払報告書の作成及び提出(1月31日まで)
それぞれの詳細は後々のブログにて解説しますが、これだけ多くのことを対応しなければならないため、経営者はあらかじめスケジュールを立て、余裕を持って年末調整を行う必要があるかと思います。
年末調整の対象者
年末調整の対象となる人は、会社などに1年を通じて勤務している人や、年の中途で就職し年末まで勤務している人です。会社を設立している場合、たとえ経営者一人の会社であったとしても、当該経営者は年末調整の対象となります。
ただし、次の2つのいずれかに当てはまる人は除かれます。
① 1年間の給与の総額が2,000万円を超える人
② 災害減免法の規定により、その年の給与に対する源泉徴収について徴収猶予や還付を受けた人
また、原則として年の途中で退職した従業員に対しては年末調整は行いませんが、次の5つのいずれかに当てはまる場合、年の中途で退職した場合であっても年末調整の対象となります。
① 海外支店等に転勤したことなどの理由により非居住者となった人
② 死亡によって退職した人
③ 著しい心身の障害のために退職した人(退職した後に再就職をし給与を受け取る見込みのある人は除きます。)
④ 12月に支給されるべき給与等の支払を受けた後に退職した人
⑤ いわゆるパートタイマーとして働いている人などが退職した場合で、本年中に支払を受ける給与の総額が103万円以下である人(退職後その年に他の勤務先から給与の支払を受ける見込みのある人は除きます。)
年末調整をしない場合の罰則
年末調整を適切に行わなかった雇用主には以下のような罰則やペナルティが科せられます。
① 1年以下の懲役または50万円以下の罰金
年末調整を実施しなかった場合や、年末調整書類に虚偽の記載をし、税務署の承認を受けた場合は、所得税法の第242条に抵触し、1年以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられます。
② 10年以下の懲役もしくは200万円以下の罰金またはその両方
従業員から源泉徴収した所得税を税務署に納付しなかった場合は、所得税法第240条に抵触し、10年以下の懲役または200万円以下の罰金またはその両方が課せられる可能性があります。
③ 過少申告加算税と延滞税
申告した源泉徴収税額に不足があった場合には過少申告課税が、源泉徴収した税金の納付が遅れた場合には延滞税がそれぞれ加算されます。
万が一期日までに書類を提出することができない場合は、事前に管轄の税務署や自治体に連絡し、提出が遅れる旨を申し入れておくようにすれば、①②の罰則を受けるような大きな問題にはならないかと思います。
まとめ
いかがだったでしょうか。
年末調整の作業をうっかり漏らしてしまうことのないよう、前持った準備を心がけるようにしましょう。
次回は扶養控除等(異動)申告書の書き方について、解説します。
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