経営改善計画策定支援について税理士が開設!
2023/10/20
はじめに
皆さんは、「経営改善計画策定支援」をご存知でしょうか。
前回解説した「早期経営改善計画策定支援」と似た制度ではありますが、経営改善計画策定支援は、金融支援を伴う本格的な経営改善の取組が必要な中小企業・小規模事業者を対象として、認定経営革新等支援機関が経営改善計画の策定を支援し、経営改善の取組みを促すもので、要件を満たすことによって経営改善計画策定支援に必要となる費用の最大2/3(上限700万円)の助成がされる大変魅力的な制度です。
当該事業には「通常枠」「中小版GL枠」があり、それぞれで対象事業者や補助経費、補助上限等が異なっています。今回はそれぞれの枠において経営改善計画策定支援による補助金の支給を受けるための要件などを解説します。
対象事業者
「通常枠」
「借入金の返済負担等の影響による財務上の問題を抱えており、自ら経営改善計画等を策定することが難しいものの、経営改善計画の策定支援を受けることにより、金融機関からの支援が見込める中小企業・小規模事業者」と規定されています。
「中小版GL枠」
「「中小企業の事業再生等に関するガイドライン<第三部>中小企業の事業再生等のための私的整理手続」に基づき計画策定を行う中小企業・小規模事業者」と規定されています。通常枠に加え、中小企業活性化協議会による事業再生等の支援設けることとなります。
ただし、いずれの枠においても、1行取引で信用保証協会保証付き借入が無い場合は対象外となります。
対象経費、補助率、補助上限額
「通常枠」
通常枠で対象となる支援費用とその補助率は、DD・計画策定支援、伴走支援(モニタリング)、金融機関交渉費用の2/3であり、それぞれの費用に対して下記の上限額が定められています。
・DD・計画策定支援:200万円
・伴走支援(モニタリング):200万円
・金融機関交渉費用:10万円
「中小版GL枠」
当事業で対象となる支援費用とその補助率は、DD支援、計画策定支援、伴走支援の2/3であり、それぞれの費用に対して下記の上限額が定められています。
・DD支援:300万円
・計画策定支援:300万円
・伴走支援:100万円
早期経営改善計画書との違い
①金融機関との連携の有無
早期経営改善計画策定支援の場合、金融機関との連携は必須ではなく、企業と認定支援機関の2社で進めることが可能ですが、経営改善計画策定支援の場合、金融機関との連携は必須となります。そのためモニタリングの期間や回数も経営改善計画策定支援の方が長いです。
②補助上限額
上記で説明した通り、経営改善計画策定支援の場合は最大で700万円もの補助を受けることができるため、早期経営改善計画策定支援(最大35万円)よりも補助額は大きいです。しかしその分時間と費用がかかり、計画についてもより要件が厳しく、ハードルが高いものを求められます。
経営改善計画策定支援の実施例(通常枠)
ここで中小企業庁の事例集で記載されている事例を紹介します。
事例概要
・衣服製造業、売上高2億円、業歴34年、従業員12名
・主に百貨店やスーパーで販売される婦人・子供服を製造。近年の輸入品・海外OEMの増加や消費嗜好の変化に加え、コロナ禍での需要減少により資金繰りが逼迫。
経営者と支援者による現状分析と課題抽出
・財務状況を精査、一定のキャッシュフロー(CF)はあるが、長期借入金の本数が多く、約定弁済が大きいため、資金繰り逼迫していることが判明。
・セグメント別の収支状況等を精査、原材料が高騰する中で、主要販売先 (売上の7割)への販売価格がここ15年改定されていないことが判明。
・業務フローを精査、製造工程に一部非効率なフローがあることが判明。
経営改善計画の内容
・既存の借入を短期のものも含めて、金融機関毎にまとめて長期(期間10年)で借換え、約定弁済額が返済に充てられるCF(フリーキャッシュフロー)の範囲となるよう設定。
・主要販売先への価格交渉を行うとともに、非効率な工程の動線の見直しを実施、効率化による生産力の余剰で受注生産拡大に向けた営業を拡大。
計画策定後のフォローと支援結果
・借換後の返済は滞りなく、金融機関からの信頼が回復。
・新規受注生産が想定以上に好調で、主要販売先の販売比率も5割に低下。
・主要販売先との取引も改善し、CFにも余裕が出てきたため、本格的な受注増加に向け、様々な受注に柔軟に対応できる生産ラインの拡大を金融機関に打診中。
(参照:中小企業庁 経営改善計画策定支援事業 (405事業・ポスコロ事業)の支援の想定事例集)
まとめ
いかがだったでしょうか。
早期経営改善計画策定支援よりもハードルが高い分、金融機関とセットで経営改善を図るため、より資金面での不安が解消されます。当該制度を有効活用し、現状分析と計画の策定を行ってみてはいかがでしょうか。もちろん、磯会計センターも当該支援を行っております。
磯会計センターでは、茨城でお困りの中小事業主様や個人事業主様に、会計・税務から補助金・融資など幅広くサポートをしておりますので、お悩み事がございましたらぜひお気軽にご相談ください。
(※当該記事は投稿時点の法令等に基づいて掲載しております。当ウェブサイト上のコンテンツについて、できる限り正確に保つように努めていますが、掲載内容の正確性・完全性・信頼性・最新性を保証するものではございません。)
----------------------------------------------------------------------
株式会社磯会計センター
〒308-0844
茨城県筑西市下野殿852-3 メゾンルーチェⅡ
電話番号 : 0296-24-3630
FAX番号 : 0296-25-1588
補助金申請業務を茨城で代行
----------------------------------------------------------------------