早期経営改善計画策定支援について税理士が開設！

はじめに

　皆さんは、「早期経営改善計画策定支援」をご存知でしょうか。

　早期経営改善計画策定支援とは、経営改善に取り組む中小企業者等が、国が認定した税理士などの専門家の支援を受けて資金繰り計画などの経営改善計画を策定する際に、当該支援費用の補助を受けることができる事業です。要件を満たすことによって最大2/3（上限35万円）の助成がされる大変魅力的な制度ですが、今回はこの早期経営改善計画策定支援による補助金の支給を受けるための要件などを解説します。

 

対象事業者

　早期経営改善計画策定支援は以前説明した持続化補助金やものづくり補助金、業務改善助成金のような業種による人数要件はありません。中小企業庁によれば「資金繰り管理や採算管理など基本的な内容の経営改善の取組を必要とする者であって、認定経営革新等支援機関たる専門家の支援を受けることにより、資金実績・計画表やビジネスモデル俯瞰図、アクションプランなどの経営改善計画を早期に策定し、金融機関へ提出するとともに伴走支援を受けながら改善実行することで、今後の自己の経営について見直す意思を有する者」であれば該当するとされています。

 

対象経費、補助率、補助上限額

　当事業で対象となる支援費用とその補助率は、計画策定支援、伴走支援(決算期)、伴走支援(期中)及び金融機関交渉費用の2/3であり、それぞれの費用に対して下記の上限額が定められています。

・計画策定支援：15万円

・伴走支援(決算期)：5万円

・伴走支援(期中)：5万円

・金融機関交渉費用：10万円

 

早期経営改善計画書の作成ポイント

　早期経営改善計画策定支援には、早期経営改善計画書の作成が必要不可欠ですが、早期経営改善計画書の作成にあたっては、以下の着眼点に沿った検討内容が記載されていることがポイントとされています。

1.収益力改善支援

・現状分析(会社基本情報・財務・商流・業務プロセス・外部環境)

・経営課題の明確化
・経営改善策の検討
・数値計画策定

・アクションプランの策定

・資金繰りの検討

2.ガバナンス体制の整備支援

・現状把握

・課題明確化

・対応策の検討と事業者へのアドバイス

 

　詳細は支援する認定経営革新等支援機関に確認をしつつ作成することをお勧めします。

 

早期経営改善計画策定支援の実施例

　ここで中小企業庁の事例集で記載されている事例を紹介します。

事例概要

・電気工事業、売上高4億円、業歴28年、従業員14名

・民間工事受注(マンション向け配電工事等)が中心、過去の太陽光パネル設置特需の収益で内部留保はあるも、近年は赤字基調

・経営者は10年以内には後継者に代表者を引継ぎたい意向

経営者と支援者による現状分析と課題抽出

・受注工事毎の収支を精査、一部不採算のものがあり、営業体制を確認したところ、営業と現場で目標やノウハウが共有されておらず、交流もほぼないことが判明

・経営者と支援者で「ガバナンス体制の整備に関するチェックシート」を活用して現状確認したところ、経営者が財務内容をあまり把握できておらず、試算表・資金繰り表も作成できていないなど問題点も判明

経営改善計画の内容

・工事毎の収支管理の徹底を最優先とし、週次で会議を開き、営業と現場責任者で工事予定を共有する等、相互のコミュニケーションを推進

・本件を契機に、経営者の財務・収支管理への関与や、金融機関等へのこまめな情報共有と後継者の同席等のガバナンス体制の整備と、今後の事業承継を見据えた経営者保証の解除の取り組みを盛り込んだ計画策定

計画策定後のフォローと支援結果

・営業と現場が密に連絡を取れる体制となり、工事毎の採算への意識も高まったことで、採算性の高い受注増加やコスト削減が図れて収支が安定

・財務基盤が強化(黒字化によるキャッシュフロー改善等)されたこと、月次試算表の提出やこまめな業況報告により経営の透明性が高まったことから、金融機関は経営者保証を解除でき、後継者への承継を円滑に実施

 

（参照：中小企業庁　経営改善計画策定支援事業 (405事業・ポスコロ事業)の支援の想定事例集）

 

まとめ

　いかがだったでしょうか。

　物価高騰などによって売上高の減少や借入の増大に直面している企業の多くは、第三者が介入することによって課題点が明確になり、業績が改善する傾向にあります。当該制度を有効活用し、現状分析と計画の策定を行ってみてはいかがでしょうか。もちろん、磯会計センターも当該支援を行っております。

　磯会計センターでは、茨城でお困りの中小事業主様や個人事業主様に、会計・税務から補助金・融資など幅広くサポートをしておりますので、お悩み事がございましたらぜひお気軽にご相談ください。

 

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