【事業】交際費の論点を税理士が解説!②〜交際費の範囲〜
2023/10/04
はじめに
企業を運営する中で、取引先との飲食のためなどの交際費は重要な活動のための費用かと思います。しかし交際費は、損金算入の要件があったり範囲が決められていたりと、正しい知識を必要とする科目です。当ブログでは複数回にわたって交際費の論点を解説しています。今回は交際費の範囲についてです。
交際費の範囲
法人税法上、交際費は「交際費、接待費、機密費その他の費用で、法人が、その得意先、仕入先その他事業に関係のある者などに対する接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為(以下「接待等」といいます。)のために支出するもの」と規定されています。その上で、次に掲げる費用は交際費等から除かれます。
①福利厚生と考えられるもの
②一人あたり5,000円未満の飲食費となるもの
③宣伝や広告費と考えられるもの
④寄付金と想定されるもの
⑤会議費とされるもの
①福利厚生と考えられるもの
福利厚生費は、従業員に対する「福利厚生」を目的とした支出です。福利厚生と交際費の棲み分けは判断が難しいですが、専ら従業員の慰安のために行われる運動会、演芸会、旅行等のために通常要する費用や、社員全員を対象とした忘年会等の飲食代で通常要する費用は福利厚生費として処理されることとなります。
②一人あたり5,000円未満の飲食費となるもの
当該飲食費には、飲食をするための会場代やお土産代なども含まれます。ただし専らその法人の役員もしくは従業員またはこれらの親族に対する接待等のために支出するものは除きます。
また、この規定は次の事項を記載した書類を保存している場合に限り適用されます。
・飲食等のあった年月日
・飲食等に参加した得意先、仕入先その他事業に関係のある者等の氏名または名称およびその関係
・飲食等に参加した者の数
・その飲食等に要した費用の額、飲食店等の名称および所在地(店舗がない等の理由で名称または所在地が明らかでないときは、領収書等に記載された支払先の氏名または名称、住所等)
・その他飲食等に要した費用であることを明らかにするために必要な事項
これらの要件を満たす場合、交際費に含めないこととなりますので、「会議費」等の別の勘定科目を用いると良いでしょう。
(5,000円の判定や交際費等の額の計算は、法人の適用している消費税等の経理処理(税抜経理方式または税込経理方式)により算定した価額により行います。)
③宣伝や広告費と考えられるもの
カレンダー、手帳、手ぬぐいなどを贈与するために通常要する費用や、次のような不特定多数の者に対する宣伝的効果を意図した費用は、交際費等には含まれないものとされ、広告宣伝費となります。
・抽選による金品を交付
・製品の試飲、試食
・見本品や試用品の提供
・アンケートを依頼した場合の、その謝礼としての金品の交付
④寄付金と想定されるもの
一般的に寄附金、拠出金、見舞金などと呼ばれるものは寄附金に含まれますが、金銭や物品などを贈与した場合に、それが寄附金になるのかそれとも交際費等になるのかは、個々の実態をよく検討した上で判定する必要があります。ただし、事業に直接関係のない者に対する金銭の贈与は、原則として寄附金になります。
⑤会議費とされるもの
会議を行う場所で提供される飲食物に必要な費用は、原則、金額にかかわらず「会議費」となります。これらは会議が実際に行われて、会議に関連した費用であるかを示しておくように議事録等があるとなお良いでしょう。
まとめ
いかがだったでしょうか。
交際費に該当しない上記の費用については、勘定科目を分けて計上したり、証拠書類をしっかりと準備しておき、万が一の税務調査の際にも説明できるように備えておくと良いでしょう。
次回は交際費の損金算入限度額について解説します。
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