【事業】交際費の論点を税理士が解説!①〜交際費の要件〜
2023/10/02
はじめに
企業を運営する中で、取引先との飲食のためなどの交際費は重要な活動のための費用かと思います。しかし交際費は、損金算入の要件があったり範囲が決められていたりと、正しい知識を必要とする科目です。今回から複数回にわたって交際費の論点を解説していきます。今回は交際費の要件についてです。
交際費の要件
法人税法上、交際費は「交際費、接待費、機密費その他の費用で、法人が、その得意先、仕入先その他事業に関係のある者などに対する接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為(以下「接待等」といいます。)のために支出するもの」と規定されています。この上で、「東京高裁平成15年9月9日」によると、税務上の交際費等とは次の3つの要件を満たすものであるとされています。
①交際費等を支出した相手が、事業に関係ある者である
②交際費等を支出した目的が、事業関係者等との間の親睦を密にして取引関係の円滑な進行を図るものである
③交際費等の行為の形態が、接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為である
①交際費等を支出した相手が、事業に関係ある者である
「事業に関係のある者等」には、直接その法人の営む事業に取引関係のある者だけではなく、間接にその法人の利害に関係ある者及びその法人の役員、従業員、株主等も含まれます(措置通61の4(1)-22)。つまり、得意先や仕入先などといった直接の取引先以外にも、下記のような相手に対するものは交際費に該当します。
・製造業者における小売業者
・現時点で事業に関係のない者であっても、新しく取引をする者や近い将来に事業に関係する者
・役員、従業員、株主等およびその家族や親族
・特定の一般消費者(例えば、医薬品メーカーにおける医師や病院など。)
②交際費等を支出した目的が、事業関係者等との間の親睦を密にして取引関係の円滑な進行を図るものである
交際費等を支出した目的が、取引関係の円滑な進行を図るものであるか否かについては、画一的な判断ではなく、具体的な事情を総合的に判断するとともに、主観的事情と客観的事情も同じく考慮するべきとされています。(後日具体的な判例を紹介します。)
③交際費等の行為の形態が、接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為である
「東京高裁平成15年9月9日」によると、「交際費等に該当するためには、「行為の形態」として「接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為」であることが必要であることからすれば、接待等に該当する行為すなわち交際行為とは、一般的に見て、相手方の快楽追求欲、金銭や物品の所有欲などを満足させる行為をいう。」とされています。
まとめ
いかがだったでしょうか。
取引先に関しては、一般的に考えられている交際費の支出相手よりも、範囲が広くなっているかと思います。接待等をされる際はこれらを踏まえ、参加者などを決定してみてはいかがでしょうか。
次回は交際費の範囲(交際費に含まれない支出)を解説します。
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