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【節税】iDeCoについて税理士が解説!③

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【節税】iDeCoについて税理士が解説!③

【節税】iDeCoについて税理士が解説!③

2023/09/15

はじめに

 皆さんは、iDeCo(イデコ)を活用していますでしょうか。iDeCoは別名「個人型確定拠出年金」といわれ、確定拠出年金法に基づいて実施されている私的年金の制度です。税制上のメリットを受けながら、豊かな老後生活を送るための資産形成方法として注目されている制度ですが、注意すべき点もあります。当ブログではそのiDeCo制度について数回にわたって全体像を細かく解説していきます。今回は裁定・給付についてです。

 

裁定・給付

 iDeCoの給付については一番メジャーなものとして、60歳以上になった時にもらえる老齢給付金がありますが、実はそのほかにも、障害給付金死亡給付金脱退一時金という給付の種類があります。

 

 ①老齢給付金

 老齢給付金の支給を受けるためには、次の表のように年齢に応じた「通算加入者等期間」が必要になります。

対象者 通算加入者等期間
60歳以上61歳未満 10年
61歳以上62歳未満 8年
62歳以上63歳未満 6年
63歳以上64歳未満 4年
64歳以上65歳未満 2年
65歳以上 1月

 「通算加入者等期間」とは、原則として加入者期間と運用指図者(掛金の拠出を行わず、運用の指図のみを行う者)期間を合算した期間のことをいいます※1。ただし、60歳到達月の翌月以降の期間は算入しません。つまり、仮に55歳からiDeCoを始めた場合は最長でも5年しか通算加入者等期間を有することができないため、裁定請求は63歳にならないと行えないということです※2

 なお、裁定請求は支給要件を満たした時点から75歳になるまでの間で自由に行うことができます。受給権を有した後は加入者ではないため掛金を拠出することはできませんが、運用指図者として運用の指図を行うことはできるため、あえて支給を遅らせてより大きな運用利益を得ることも可能ということです※3

 また、給付の受取方法としては、原則としては一時金として一括で受け取ることとなりますが、運営管理機関が規約で定めている場合には、5年以上20年以下の期間で、運営管理機関が定める方法で年金として受け取ることができ、さらに一部の年金資産を一時金で受け取り、残りの年金資産を年金で受け取る方法を取り扱っている運営管理機関もあります。税務上の取り扱いとしては、一時金として一括で受け取る場合は退職所得として、年金として受け取る場合は雑所得としてそれぞれ所得に加算されます。
 ※1 企業型確定拠出年金から年金資産を移換したことがある方の通算加入者等期間は、当該企業型確定拠出年金も通算加入者等期間として合算されます。

 ※2 60歳以上で初めてiDeCoに加入した方は、通算加入者等期間を有していなくても加入から5年を経過した日から受給できます。

 ※3 75歳までに受給の請求をしなかった場合には、運営管理機関の裁定に基づいて一時金が支給されることになります。

 

 ②障害給付金

 障害給付金は、加入者または過去に加入者であったものが、75歳に達する日の前日までの間において、国民年金法による障害等級(1級または2級)に該当する障害を有することとなり、傷病が続いた状態で1年6ヵ月を経過した場合に支給を請求することができる」というものです。60歳に達していなかったとしても支給される給付金であるため、障害状態により生活資金を要することになった場合の補填としても活用することができます。なお、給付の受取方法は老齢給付金と同様となりますが、所得としては課税されない点が老齢給付金とは異なります。

 

 ③遺族給付金

 遺族給付金は、「加入者または過去に加入者であったものが死亡したときに、そのものの遺族に対して支給する」というものです。給付を受け取れる遺族とその順位は下記のとおりです。

 第1位:指定受取人

 第2位:配偶者(死亡の当時、事実上婚姻関係と同様の事情にあった者を含む)

 第3位:子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹の順で、死亡したものの収入によって生計を維持していたもの

 第4位:第3順位のもの以外で、死亡した人の収入によって生計を維持していた親族

 第5位:子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹の順で、第3順位の人に該当しないもの

 なお、同順位の遺族が2人以上いる場合には、その中の代表者1人に一括して支払われます。

 また、死亡一時金は相続税の課税対象となりますが、裁定請求が死亡から3年以内であれば死亡退職金の非課税枠(500万円×法定相続人の数)により給付額の一部が非課税で受け取ることができます。例えば子ども2人が法定相続人の場合は、500万円×2=1,000万円が非課税となります。請求が死亡から3年を超えると相続税ではなく、一時所得として所得税の対象となります。さらに請求が死亡から5年を超えると遺族給付金が受け取れなくなる可能性があるため、もしもの時のためにiDeCoに加入していることや受け取りには請求手続きが必要であることを遺族と共有しておきましょう。

 

 ④脱退一時金

 当分の間、下記の全てに当てはまる方は、脱退一時金を請求することができます。

 ・60歳未満であること

 ・企業型確定拠出年金の加入者でないこと

 ・iDeCoに加入できない者であること

 ・日本国籍を有する海外居住者(20歳以上60歳未満)でないこと

 ・障害給付金の受給権者でないこと

 ・企業型確定拠出年金の加入者及びiDeCoの加入者として掛金を拠出した期間が5年以内であること、又は個人別管理資産額が25万円以下であること

 ・最後に企業型確定拠出年金又はiDeCoの資格を喪失してから2年以内であること

 脱退のためにはこれらの要件を全て満たしていないといけないため、実際に脱退一時金を請求できる方は一部かと思います。なお、脱退一時金は税務上は一時所得として所得税の課税対象となります。

 

まとめ

 いかがだったでしょうか。

 一番オーソドックスな老齢給付金を前提においた資産運用をしつつ、万が一のためにその他の障害給付金、死亡給付金、脱退一時金について認識を持っておくと良いかと思います。

 また、次回は移管・メリットデメリットについて解説しますのでそちらも参考にしてみてください。

 磯会計センターでは、茨城でお困りの中小事業主様や個人事業主様に、会計・税務から補助金・融資など幅広くサポートをしておりますので、お悩み事がございましたらぜひお気軽にご相談ください。

 

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