【税金】ふるさと納税の控除上限額の落とし穴について税理士が解説!
2023/07/21
はじめに
皆さんはふるさと納税を利用していますでしょうか。ふるさと納税の制度を利用して寄附を行うと、寄附した金額から自己負担分の2,000円を差し引いた額を税金から控除することができます。節税対策として一番メジャーとも言えるふるさと納税ですが、様々なサイト等で、「控除上限額のシミュレーション」だったり、下記のような「控除上限額の目安」の表を見かけるかと思います。
給与収入 | ふるさと納税を行う方の家族構成 | |||||
独身 又は 共働き |
夫婦又は共働き + 子1人 (高校生) |
共働き + 子1人 (大学生) |
夫婦 + 子1人 (高校生) |
共働き 高校生) |
夫婦 高校生) |
|
300万円 | 28,000円 | 19,000円 | 15,000円 | 11,000円 | 7,000円 | ー |
350万円 |
34,000円 | 26,000円 | 22,000円 | 18,000円 | 13,000円 | 5,000円 |
400万円 |
42,000円 | 33,000円 | 29,000円 | 25,000円 | 21,000円 | 12,000円 |
450万円 | 52,000円 | 41,000円 | 37,000円 | 33,000円 | 28,000円 | 20,000円 |
500万円 |
61,000円 | 49,000円 | 44,000円 | 40,000円 | 36,000円 | 28,000円 |
550万円 | 69,000円 | 60,000円 | 57,000円 | 48,000円 | 44,000円 | 35,000円 |
この「控除上限額」の考え方については、間違えやすい落とし穴があります。今回はその「控除上限額」の仕組み及びふるさと納税の節税額の考え方について、解説します。
控除上限額とは
まずはじめに押さえておきたいポイントとしては、様々なサイトで載せられている「控除上限額」とは、『ふるさと納税できる金額』でもなければ、『税金が控除される上限額』でもありません。正しくは『自己負担額の2,000円を除いた全額が所得税及び個人住民税から控除される、ふるさと納税額の目安』を指しています。つまり、控除上限額以上のふるさと納税を行なったとしても、その一部は税金が控除されるのです。
ここで、詳しく控除額の計算方法を確認しましょう。ふるさと納税を行なった場合、所得税と住民税合計で、下記の①+②+③の金額が控除されます。
①所得税からの控除 = (ふるさと納税額-2,000円)×「所得税の税率」
(なお、控除の対象となるふるさと納税額は、総所得金額等の40%が上限です。)
②住民税からの控除(基本分) = (ふるさと納税額-2,000円)×10%
(なお、控除の対象となるふるさと納税額は、総所得金額等の30%が上限です。)
③住民税からの控除(特例分) = (ふるさと納税額 - 2,000円)×(100% - 10%(基本分) - 所得税の税率)
住民税からの控除の特例分は、この特例分が住民税所得割額の2割を超えない場合は、上記③の計算式で決まります。
③'住民税からの控除(特例分) = (住民税所得割額)×20%
特例分(③で計算した場合の特例分)が住民税所得割額の2割を超える場合は、上記③’の計算式となります。
少し難しいかもしれませんが、まとめると、『ふるさと納税額から2,000円を差し引いた額』に『100%から所得税率と住民税率を引いた割合』を『掛け算した金額』が住民税所得割額の2割を超えない場合、自己負担額の2,000円を除いた全額が所得税及び個人住民税から控除され、住民税所得割額の2割を超えた部分については、①+②分のみ控除されるということです。(各サイトの「控除上限額」はこの住民税所得割額の2割を目安に記載しているということになります。)
例えば、控除上限額が28,000円の場合で、38,000円の寄付を行った場合、28,000円分については、自己負担額の2,000円を除いた26,000円分控除され、10,000円分については、①及び②の部分が控除できるため、仮に所得税の税率が15%だとすると、①+②で2,500円分控除できることとなります。よって、控除上限額に達してしまったとしても、ふるさと納税を利用することで通常で買う場合よりもお得に返礼品を受け取ることができるかもしれないのです。
ただし、上記はあくまで一例であり、個々人の所得状況や家族構成割合等によって控除できる金額に違いが出るため、詳細を確認したい場合は税理士などの専門家に相談するのが良いでしょう。
また、ここまでの説明は確定申告をする場合の説明であり、サラリーマンなどがワンストップ特例制度を使っている場合には、上記住民税所得割額の2割を超えた部分については、②の部分しか控除されないため、さらに慎重な検討が必要になるかと思います。
まとめ
いかがだったでしょうか。
これまで控除上限額に達してしまったためふるさと納税を諦めてしまっていた人は、この機会に詳細な控除額を計算して、今よりお得にふるさと納税を利用してはいかがでしょうか。
磯会計センターでは、ふるさと納税による節税効果のシミュレーションも承っております。茨城でお困りの中小事業主様や個人事業主様に、会計・税務から補助金・融資など幅広くサポートをしておりますので、お悩み事がございましたらぜひお気軽にご相談ください。
(本記事は、掲載時点の税制等に基づき記載しております。)
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