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【税金】役員退職金の実務⑤(役員退職慰労金制度の廃止による打切支給・死亡した役員の退職金)

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【税金】役員退職金の実務⑤(役員退職慰労金制度の廃止による打切支給・死亡した役員の退職金)

【税金】役員退職金の実務⑤(役員退職慰労金制度の廃止による打切支給・死亡した役員の退職金)

2023/07/12

はじめに

 『役員退職金』は、取締役または監査役が退任した場合に、就任から退任までの期間に応じて支払われる金銭です。役員退職金の支給や計算に関する手続きは、一般の従業員に対する退職金の手続きとは異なる部分があります。ここでは役員退職金の実務上の取り扱いについて、テーマごとに複数回に分けて解説していきます。

 最終回となる第5回は役員退職慰労金制度の廃止による打切支給及び死亡した役員の退職金についてです。

 

役員退職金制度の廃止による打切支給

 これまで役員が退職した際に支給していた役員退職金の制度を、経営状態の悪化などを理由に廃止するケースがあるかと思いますが、その際に、役員就任日から廃止日までの期間について、打切支給として役員退職金見合いの金額を算定し支給した場合に、当該役員退職慰労金は退職所得として扱うことができるのかという論点があります。

 こちらに関して結論は、「給与所得」となります。

前回『【税金】役員退職金の実務①(支給方法及び計算方法)』で説明したように、そもそも役員退職金については、通常の退職金とは違い退職金規定の作成は必要ありません。一般的には取締役又は監査役が任期満了又は辞任等の理由によって退任した場合に支払われる金銭であり、役員退職慰労金が退職所得とされるためには、通常、役員に「退職の事実」が必要となります。(ただし『【税金】役員退職金の実務③(常勤役員が非常勤役員となった場合・使用人から役員へ昇格した場合)』で解説したような分掌変更等があった場合は除きます。)

 したがって上記のような役員退職慰労金の打切支給については、役員に退職の事実や分掌変更等の事実も認められないため、その役員の就任日から本件制度廃止日までの期間に係る職務執行の対価として、賞与の支給があったものと取り扱われ、給与所得となるということです。

 

死亡した役員の退職金

 死亡した役員に支給される退職金のことを「死亡退職金」と言います。似たものに「弔慰金」がありますが、弔慰金は故人の功労に報いる意味合いが強く、死亡退職金は受け取る予定であった退職金見合いとなるもので、遺族の生活保障の意味合いが強いと考えられています。

 弔慰金については非課税限度額があり、以下の非課税限度額を超えると相続税として課税対象とされます。
①業務中の場合:死亡時の月額給与(除く賞与)×36か月分
②業務外の場合:死亡時の月額給与(除く賞与)×6か月分

 死亡退職金は、被相続人の死亡後3年以内に支給が確定したものが、相続財産とみなされて相続税の課税対象となり、3年を超えると遺族の一時所得となり、所得税の課税対象となります。3年以内に支給される死亡退職金にも以下の非課税限度額があります。

 非課税限度額=500万円×法定相続人の数

 (※相続人以外の人が取得した退職手当金等には、非課税の適用はありません。)

 また、役員であれば会社の株式を持っていることが通常と考えられますが、相続財産の評価に関して、当該株式の1株当たりの純資産価額(相続税評価額によって計算した金額)の計算に当たって、被相続人の死亡に伴い評価会社が相続人に対して支払う死亡退職金は負債として取り扱うことができ、株価を引き下げる効果があります。

 

まとめ

 いかがだったでしょうか。

 特に死亡退職金については、相続税との兼ね合いで重要な論点となるため、具体的な内容に関しては専門家にお問い合わせをすることをお勧めします。

 磯会計センターでは、茨城でお困りの中小事業主様や個人事業主様に、会計・税務から補助金・融資など幅広くサポートをしておりますので、お悩み事がございましたらぜひお気軽にご相談ください。

 

(本記事は、掲載時点の税制等に基づき記載しております。)

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